ダイヤルアウトとシングルサインオンが可能に
「Amazon Chime」アプリが機能拡充、AWSのコラボツールへの本気度は?
クラウドを利用したオンライン会議アプリ「Amazon Chime」がダイヤルアウトとシングルサインオンの機能を追加した。しかし、競合する「Cisco Webex」や「Zoom」にはまだ後れを取っている。
Amazon Web Services(AWS)はオンライン会議アプリ「Amazon Chime」の機能を徐々に充実させ、企業の関心を集めようとしている。
2018年8月にはダイヤルアウト機能を追加し、会議が始まるときに電話番号で着信を受けて参加できるようになった。これでどこにいても簡単に会議に参加できる。
同じく2018年8月に、Amazon Chimeとシングルサインオンベンダー大手Oktaのソフトウェアの統合も発表した。Oktaの機能は企業で使う各種アプリのユーザー名とパスワード情報を集約するため、ユーザーは1組のサインオン資格情報を覚えるだけで済む。
2018年7月には、Amazon Chimeのビデオ会議を「Google Chrome」で実施できるようにした。メッセージング機能やビデオ会議以外の会議機能のほとんどはどの主要ブラウザでもサポートしているが、Amazon Chimeのビデオ会議をサポートするインターネットクライアントはChromeだけだ(デスクトップアプリをインストールすることもできる)。
Nemertes Researchのアナリスト、アーウィン・レイザー氏は「こうした変更は、AmazonがZoomやBlueJeans、GoToMeeting、Cisco Webexなどに対抗するための段階的機能強化だ」と見ている。
現時点ではブラウザ内ビデオ会議機能のサポートは全てのオンライン会議システムに期待されており、シングルサインオン機能は多くの大企業にとって不可欠の機能だ、と同氏は指摘する。
コラボレーション市場のシェア拡大を狙うが
2017年2月に誕生したAmazon Chimeは、先行する他のオンライン会議システムに依然として水をあけられている。Amazonは近年、コンタクトセンタープラットフォーム「Amazon Connect」などを投入してエンタープライズ市場進出に力を入れている。
IDCのアナリスト、ウェイン・カーツマン氏は、AmazonのAI音声アシスタントのビジネス版「Alexa for Business」は、エンタープライズ市場で勢いを増していく可能性があるが、Amazon Chimeアプリはまだあまり関心を集めていないという。
「Alexa for Businessは他の製品との連携を中心に浸透しそうだが、Amazon Chimeの方は、これから長期に生き残り、競合製品より優れていて、信頼できるクラウド型カスタムサービスであることを立証しなければならない」(カーツマン氏)
企業向けコラボレーション市場に進出している大手コンシューマーベンダーはAmazonだけではない。Googleもチームコラボレーションアプリ「Hangouts Chat」とオンライン会議システム「Hangouts Meet」で参入している。
Amazonの一部門として約175億ドルの売上高を生み出すAWSは、柔軟な低料金でAmazon Chimeへの関心を呼び込もうとしている。
Amazon Chimeの提供開始当初の料金は、ライセンスの有効と無効をユーザーごとにオンデマンドで切り替え、サブスクリプション料金を配分する方式だった。その後、従量課金制を導入し、会議に使用した日を対象に1日1ユーザー当たり3ドル、1か月の上限を1ユーザー15ドルにするように変えた。
AWSは2018年3月、Amazon Chimeに従量課金制を採用することを発表し、頻繁に利用するほぼ全ての企業で費用が下がると述べた。しかし、こうした積極的な料金体系も多くの企業の注目を集めることはできなかった。
Constellation Researchのアナリスト、アラン・レポフスキー氏は次のように話す。「Amazon Chimeについて耳にすることはあまりない。開発者が簡単にカスタムアプリケーションに音声とビデオの機能を追加できるようにすれば、よい差別化要因になるのではないか。そうすればWebexと競合するのではなくTwilioに対抗できるだろう」
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