激化するコミュニケーションツール市場の争い
「Google Meet」がZoomとの競争に出遅れた理由 「Gmail」成功が足かせに?
GoogleのWeb会議ツール「Google Meet」は、機能の充実やコンシューマーへの無償提供といった取り組みで「Zoom」「Microsoft Teams」といった競合に後れを取っている。なぜ出遅れたのか。
Googleは、競合各社の後を追う形でWeb会議ツール「Google Meet」の無償提供に踏み切った。この動きは競合のZoom Video CommunicationsのWeb会議ツール「Zoom」に追い付く助けになり得るが、アナリストによるとMeetには依然としてビジネスユーザーに不可欠な機能が欠けているという。具体的にはバーチャル背景機能、投票機能、グループ分け機能などだ。一度に画面に表示できる人数も16人までとZoomの49人よりも少ない。
2020年3月にGoogleは、クラウドオフィススイート「G Suite」のユーザーがMeetの最新バージョンを利用できるようにした。その後、Meetが誰でも無料で利用できるようになったのは同年5月に入ってからだった。
Microsoft、Zoom Video Communications、Cisco Systemsは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に拡大すると程なく、無料版のWeb会議ツールの機能を拡張した。Meetの一部無料化が遅れたことで、Googleはユーザーを失った可能性がある。「この競争からGoogleが離脱することはまずないだろう。だが同社は不意を突かれたのだ」と、調査会社Wainhouse Researchの上級アナリストであるクレイグ・ダール氏は言う。
Meetはなぜ出遅れたのか
Googleによると、Meet会議の「参加者」は1日当たり1億人に上る。参加者とは会議に出席した人数のことで、1人が1日に複数の会議に出席すれば、出席した会議の数だけ参加者としてカウントする。Meet会議の1日当たりの参加者を他のWeb会議ツールと比較すると、Microsoftのユニファイドコミュニケーションツール「Microsoft Teams」が達成した2億人の半分であり、Zoomの3億人に比べると3分の1にとどまる。
Googleはかつて、コンシューマー向けツールを企業に向けて提供した。「Meetのコンシューマー向け提供はこの逆のアプローチを取った」と、信用調査企業S&P Global傘下の調査会社451 Researchでアナリストを務めるラウル・カスタニョンマルティネス氏は指摘する。
「Gmail」の成功が足かせか
「Googleは以前から、企業向けコミュニケーションツール市場の戦略で一貫性を欠いていた」と、あるアナリストは分析する。競合他社がチームコミュニケーションを重視したメッセージングツールやWeb会話ツールに注力する中で、Googleはメールに重点を置き続けてきた。
後発のZoom Video CommunicationsやSlack Technologiesが市場シェアを獲得すると、先行組のMicrosoftやCisco SystemsはGoogleよりも早く対抗した。調査会社Nemertes Researchのアナリストであるアーウィン・ラザール氏は「Googleは多くの機会を逸した。同社はいまだにメールに執着し過ぎている」と語る。
そうした中、Googleもようやくコミュニケーションツール市場での照準が定まってきた兆候がある。同社は2020年中にコミュニケーションツールを統合し、提供ツールの重複を減らす計画だ。
Googleは、Gmailに組み込まれたチャット・Web通話ツール「Hangouts」を段階的に廃止し、「Google Chat」(旧「Hangouts Chat」)とMeetに切り替える計画だ。この変更はまず企業を対象とし、続いてコンシューマーを対象とする。さらにWebメディアThe Informationによると、Gmailとファイル同期ツール「Google Drive」、Hangouts Chat、Meetを1つにまとめたアプリケーションをGoogleが開発中だといううわさがある。
それでもGoogleは通話、メッセージング、Web会議、ファイル共有を組み合わせたアプリケーションは開発していない。それ故に、こうした機能をまとめて提供しているMicrosoft Teamsに対して不利な状況にある。ただしGoogleにとって、Web会議は単なる部品の一つにすぎない。同社の最終的な目標は、この市場でMicrosoft 365を抑えてG Suiteを成長させることだ。
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