「API」に著作権はあるのか【前編】
JavaのAPI流用は合法――「Java著作権訴訟」でGoogleがOracleに勝訴の影響は?
「Java」のAPIに関する著作権を巡る米最高裁判所での訴訟で、GoogleがOracleに勝訴した。その要因とは何か。今回の結果がJavaに与える影響とは。専門家の意見から探る。
GoogleがOracleと争っていた著作権訴訟で、米最高裁判所がGoogleに勝訴の判決を言い渡した。Oracleは2010年にGoogleを相手に訴訟を起こした。プログラミング言語および開発環境「Java」のAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)に関するソースコード1万1500行以上をGoogleが引用したことにより、Javaを管理するOracleの著作権を侵害したというのが、訴えの骨子だ。このAPIはSun Microsystemsが開発したもので、Oracleは2010年に同社を買収した。問題のソースコードは「Android」の開発に使われていた。
JavaのAPIソースコード流用は合法――判決の影響は
米最高裁判所は、Oracleの訴えを認めた地方裁判所と高等裁判所の判決を覆し、GoogleによるJavaのAPIソースコードの利用は、著作権法が定める「公正な利用」に該当すると判断した。この判決について、情報サービス会社Informaで技術関連調査を手掛けるOmdiaのアナリスト、ブラッド・シミン氏は「Androidが実行したプログラムのソースコードがJavaのAPIの一部だったという事実に尽きる」と言う。
APIは「インタフェース」、すなわちJavaの著作権で保護されるプログラムにアクセスする機能的手段にすぎない。この事実に基づき、最高裁は「コピーされたソースコードは著作権の保護対象とはならない」という見解を示した。
この判決に関して、Javaの生みの親であるジェームズ・ゴスリング氏は「正しい結末だ」と語り、Oracleがもし勝訴していれば「自らダメージを被っていたはずだ」とみる。「Oracleには同じような問題を引き起こしかねない、クラウドサービス連携用APIが複数ある」とゴスリング氏は語る。
訴訟はゴスリング氏の言葉を借りれば「乱闘」だった。OracleはGoogleに約90億ドルの損害賠償を要求した。OracleがSun Microsystemsを買収した直後、ゴスリング氏はある記者にこう話したという。「当初Oracleの弁護士から説明を受けた際、Javaに関するSunの知的財産と、Sunが保有する特許について話をした弁護士の目には『ドルマーク』が浮かんで見えた」
プログラミング言語開発を手掛けるxqiz.itのCEOキャメロン・パーディー氏は、今回の訴訟について「巨大な利益を上げている2社の間で起こったことがポイントだ」と語る。バーディー氏はかつてOracleの開発担当シニアバイスプレジデントを務め、OracleがSun Microsystemsを買収した当時、Oracleに在籍していた。「守るべき『小さな者』はここにはいない。1人の巨大ないじめっ子が、もう1人の巨大ないじめっ子から何かを奪おうとしているにすぎない」と同氏は言う。
ある重要なJava関係者は匿名で、最高裁の判決を「開発者とオープンソースにとって素晴らしい内容だ」と称賛した。今回の判決により、プロプライエタリで著作権のあるAPIを再利用して、互換あるいは代替となるプログラムをオープンソースソフトウェアとして実現できることが明確になった。
中長期的に見ると、今回の判決はJavaにどう影響するのか。Oracleはこれまでに今回のような訴訟によって、Javaのソースコードが複製され独自に改変されるのを防ごうとしてきた。そうした訴訟において同社は著作権、特許、商標の3つを根拠にしている。「その3本足のうちの1本が蹴り飛ばされた」とその人物は話す。Googleはこの訴訟に勝つことで、ソースコード利用に関するルールを明確化したと同氏は説明する。
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