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テスラが壊した自動車の常識 “デジタルの発想”が生んだ3つの成功要因とは:実践事例に学ぶDXの知恵【第3回】
Teslaは自動車の製造販売に新風を巻き起こした。同社のビジネスモデルの中核になる「3つの要素」とは何か。DXを目指す他業界が学べる点はどのようなものなのか。
電気自動車(EV)メーカーのTeslaは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を成した企業の典型例だ。自動車運転の体験にITを組み込み、自動車産業におけるチェンジメーカーの地位を確立した。Teslaがこだわるビジネスモデルから、DXの実践で学ぶべきポイントを探る。
製品設計とビジネスモデルに光る「3つの強み」
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連載:実践事例に学ぶDXの知恵
顧客満足度とDX
Teslaが製造する自動車の特徴は「無線通信の活用」だ。ソフトウェアのアップデートを無線通信で実施することから、走行中の自動車からリアルタイムでデータを収集して不具合や改善点を速やかに把握することまで、自動車業界の常識を破壊してきた。
Teslaの成功は、ITを前提とした3つの要素で成り立っていると考えられる。
- 直販モデル
- ディーラーを挟まず、TeslaのWebサイトを通じて自動車を販売する。その結果、顧客の購入体験に同社が介入できるようになる
- 自社生産戦略
- 部品の調達を社外のサプライヤーに依存せず、シートからバッテリーまでさまざまな部品を自社で開発している。自動車業界の標準からは逸脱しているが、一般的な自動車生産プロセスよりもコストを抑えることができ、臨機応変な開発が可能になる
- イノベーションの速さ
- バッテリーやモーターなどの部品を生産する「ギガファクトリー」で自動車生産を完結させることで、自社製品の需要に速やかに応えることができる。その結果、他自動車メーカーに対する優位性を確立できる
コンサルティング会社PSG Consultingのマネージングディレクターであるアントニー・エドワーズ氏は、世界の自動車業界をけん引するTeslaから学ぶべきこととして「創造的であること」を挙げる。「自分たちの市場や業界にITは関係ないと考える人は、考え直すべきだ」と同氏は強調し、別の分野に挑戦することを推奨する。
第4回は、DXによって新しいサービスを生み出した3つの事例を紹介する。
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