Citrix製品でNVIDIA「GRID」を実行
「GPU仮想化」が覆す「仮想デスクトップで画像アプリは使えない」という常識
米中西部の大学がCitrix環境にNVIDIAの技術を導入し、仮想デスクトップ/アプリケーションの配信で複雑な画像を使ったアプリケーションを利用できるようにした。
GPU仮想化は、画像が豊富なアプリケーションのパフォーマンスを改善できるだけでなく、BYOD(私物端末の業務利用)の時代において、そうしたアプリケーションへのアクセスを拡張することもできる。
米リベラルアーツカレッジは最近、学生や教職員によるデスクトップPCとアプリケーションへのアクセスに関して重大な問題に直面した。学内のコンピュータはPCと米AppleのMacBookがほぼ半々に分かれるが、多くのアプリケーションはWindows向けに設計されていたため、Macでの仮想環境にうまく対応できなかった。
「学生にとっては時間ばかりかかって煩わしい。パフォーマンスはあまり良くないし、アプリケーションのクラッシュで多くの問題にぶつかっていた」。同校のインフラサービス責任者、クリス・ミールケ氏はそう振り返る。
同校は、米Citrix Systemsの「Citrix XenServer」ハイパーバイザー搭載の「Citrix XenApp」および「Citrix XenDesktop」を導入し、デスクトップとアプリケーション環境の完全仮想化に踏み切った。これで環境の一貫性が高まり、いつでもどのデバイスからでも、アプリケーションにアクセスしやすくなった。
グラフィックスの高速化
しかしある特定のアプリケーションについては、Citrix製品だけではパフォーマンスの向上が不十分だった。同校で位置情報システム(GIS)に関係する科目を履修している学生は、米Esriが開発したアプリケーション「ArcGIS」を使っている。ArcGISは地形モデルを作成し、そのモデリングをアプリケーション内で実行する。
ミールケ氏によると、同アプリケーションは画像が集中的に使われていて、グラフィックスアクセラレーションなしにCitrix環境で使用するとクラッシュする。
「ユーザーがたった1人でも(パフォーマンスは)限界に近い。そこへ他のユーザーが加われば、たちまちひどいパフォーマンスになる」(ミールケ氏)
技術コンサルティングング会社は同校に対し、GPUを仮想化してArcGISアプリケーションのグラフィックを高速化するために、米NVIDIAの「GRID」を検討するよう勧めた。同校は「GRID K2」カードを借りて校内の環境でテストした結果、ArcGISの使い勝手とパフォーマンスが向上することが分かった。
ミールケ氏は言う。「複数のインスタンスで同時に画像を処理する読み込みテストを実施したところ、驚くほどパフォーマンスが向上した。それまで使っていた物理コンピュータ実習室でのパフォーマンスさえもはるかに上回った」
パフォーマンス向上に加えて、NVIDIA技術のもう1つの利点は、物理コンピュータ実習室環境の外にあるデバイスからでもユーザーがArcGISにアクセスできることだった。それまで同アプリケーションには、この実習室でしかアクセスできなかった。
同氏によると、NVIDIA以外にどのメーカーのグラフィックアクセラレーション製品を検討したかは思い出せないものの、同校がGRID K2に落ち着くまでには、他のNVIDIA製グラフィックスカードも検討した。GRID K2を選んだのは、Citrix環境に対応した専用の設計を採用していたためだという。
NVIDIAと競合する企業には米AMDや米Qualcommなどがある。
同校は、それぞれ2個のGPUを搭載したNVIDIA GRID K2カード2枚を導入した。このGPUはユーザーを増やしたいだけ増やしても負荷を調整できる。
「パフォーマンスに関しては転換点がある。特定の1台のサーバ上でユーザーが増え過ぎるとパフォーマンスが低下する。だがハードリミットや高速限界はない」(同氏)
NVIDIAに関して同校に特に大きな問題は生じておらず、NVIDIA製品の利用を拡大する具体的な計画はない。ただ、全キャンパスで仮想デスクトップ環境内に「Microsoft Office 2013」を導入するのに合わせてNVIDIAの利用実験を行い、パフォーマンス向上につながるかどうかを試すことも検討しているという。
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