DRaaSという選択肢もある
病院がクラウドベースの災害復旧(DR)を計画する時に気を付けるべき5つのポイント
IT部門/医療情報部門は、法令順守や接続性の強化に取り組み、医療データを確実に保護しなければならない。災害復旧(DR)の目的でクラウドを利用する際に考えるべき5つのポイントを紹介する。
米国の医療業界ではクラウドコンピューティングへの移行が進んでいる。だが、全てのIT部門が全てを一度に移行しているわけではない。医療機関の災害復旧(DR)をクラウドでホストする場合もあれば、仮想マシンなどのコンポーネントを移行させる場合もある。クラウドは参入費用が安く、経年劣化するバックアップやDRのハードウェアをDRaaS(DR as a service)に置き換える柔軟性もある。このメリットを活用するIT部門は増えているが、最も重要なデジタル資産のホスト先として外部のベンダーを利用する予定なら、複数の要素を考慮に入れなくてはならない。
米国医療機関のIT部門の大半はここ10年、システム障害発生に備え、成熟したバックアップツールとDRツールを使用してきた。これにより、システムとデータを保護し復旧可能な状態に保っている。医療機関のユーザーは、IT担当者が99.9%のシステム稼働時間を保証できると常に信頼している。ただし、データの保護を目的としたクラウドサービスの利用は増えている。そのため、IT部門はクラウドベースのDRオプションという新しい現実に適応しなければならない。医療ITのプロフェッショナルは、医療機関向けのクラウドベースのDR計画を導入する場合に考慮すべき事項がある。本稿では、そのうち主なものを幾つか紹介する。
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HIPAAなどのコンプライアンス要件
医療機関のIT部門は、転送中でも保存時でも医療情報(PHI)を暗号化して保護し、HIPAA(米国医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)コンプライアンスの厳しい要件に準拠しなければならないことを認識している。従って、全てのバックアップを確実に保護するため完全に暗号化し、安全な場所に間違いなく保存する必要がある。クラウドDRサービスは新しく、そのセキュリティは評判になっている。だが、IT部門にとっては、DRaaS(Disaster Recovery as a Service)による新しい戦略を採用してもHIPAAの要件を全て満たさなければならないことは変わらない。例えば事業提携契約書を締結したり、あらゆるHIPAAの要件を適切な構成と設定で順守したりする必要がある。順守できなければ、データの漏えいや不必要なリスクが増加する恐れがある。
クラウドDRサイトとオンプレミスワークロードの間の接続性
クラウドコンピューティングの魅力の1つは、スケーラビリティの点での柔軟性だ。Webポータルで幾つかオプションを選択すれば、多くのストレージとコンピューティング能力を数分で素早くプロビジョニングできる。DRaaSにも同様の柔軟性がある。そのため、新しいシステムをプロビジョニングしてDRを拡張することを考えている組織にとってDRaaSは魅力的だ。だが、DRを実装する際によく突き当たる一般的な問題は、大量のデータトラフィックだ。原因は、オンプレミスワークロードとDR先の間のバックアップとレプリケーションにある。接続性や適切な帯域幅を確保できるかどうかが、DR導入の成否を分ける可能性がある。DRシナリオにおいて高速接続はシステム復旧に欠かせないため、1つでも計算ミスがあるとシステムがタイムリーに復旧されない場合がある。
復旧失敗の可能性に対処する頻繁なテスト
医療機関向けのクラウドベースDRツールが従来のDRツールよりも格段に優れている点は、テストと復旧システムの点での柔軟性だ。インフラにそこまで投資する必要はなく、復旧テスト目的で必要な数だけサーバを稼働させられる。従量課金モデルならば、ハードウェアの追加購入に伴う負担が軽減する。このような理由でクラウドが使いやすいのは確かだ。だが、レプリケーションと接続性の問題が懸念されるため、クラウド環境では従来のDR環境と同程度(またはそれ以上)のテストが必要になる。クラウドベンダーは、数回クリックするだけで運用システムの保護を維持しつつ独立してテストを実行できる使いやすいDRツールやサービスを提供している。
インスタントフェイルオーバーとバックアップの両方にクラウドを使用
クラウド環境でのバックアップ製品には、選択肢として2つのモデルがある。まず1つが、クラウドをバックアップの保存先として限定的に使用し、データやレプリケートされたデータのBLOBを格納するだけのモデルだ。もう1つのモデルはDRオプションとして、電子健康記録(EHR)のサーバとその他の重要なワークロードをクラウドにイメージレベルでレプリケートする方法だ。こうすることで、主要なシステムがダウンした際のフェイルオーバーをサポートする。全てのデータを保護しながらビジネスの継続性を保つには、どちらのオプションも導入する必要がある。
コストの制御と管理
クラウドのコストについては「ダウンロードデータからライセンス料まで、あらゆるものへの課金体制が紛らわしい」という不満がIT部門からしばしば上がる。コストを管理し、正確に予算を計上するには、IT部門は前もってDR戦略に関連するコストを全て定義して、月額全体を見積もる必要がある。
医療機関向けのクラウドベースDRでは、従来のオンプレミスDR製品に必要だった先行投資がなくなる。規模を拡張し続ける医療機関には、急ピッチで拡大するシステムをサポートするための柔軟性が必要だが、このような場合にクラウドは圧倒的なスケーラビリティと柔軟性を提供できることが実証されている。医療機関向けのクラウドベースDRサービスは魅力的ではあるが、多くの場合、コスト、セキュリティ、復旧速度にまつわる問題を念頭に置く必要がある。
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