必要なのは機能追加ではない
ハリケーン直撃を受けた「ひとり情シス」、HCIでどう事業継続計画を構築したか(1/2 ページ)
ストレージ環境や本番環境を構築する場合は、災害からの復旧要件や災害の回避要件を設計目標に含めて、事業継続が確実にできるようにしよう。
2018年の大西洋のハリケーンは早くから予測されていた。一部では「ここ70年で最も大変な周期の年」といわれており、18個の暴風雨に見舞われ、そのうち6つがアメリカに上陸し、3つか4つが大嵐のカテゴリーに分類されると予測している。科学者や気候学者は、これらの天気事象の数がますます増加し、その厳しさが増しているのは海洋温度が高くなっていることが原因だとしている。実際、大西洋における海流の温度は高くなってきている。
これらの嵐は大西洋沿岸やメキシコ湾岸に沿った場所に拠点を構える企業や住宅所有者にとっては大きな懸念である。しかし、この地域の企業や人は、国の土地と人口の一部にすぎない。アメリカ中西部はハリケーンの脅威に直面することはほとんどないが、トルネードなどの気象関連の大災害は免れない。場所や脅威の種類にかかわらず、災害回避はあらゆる人にとって最大の関心事だ。
オクラホマ州の地方銀行First Enterprise BankのIT担当者であるクリス・フッド氏は、2009年2月に悲惨なトルネードが発生して間もなく、この銀行で「一人きりのIT部門」の職務を任されるに至ったいきさつを思い出す。この歴史的に悲惨な災害では、史上最強のトルネードである「EF4」を含めて、7つの州を横切った15個のトルネードのうち6個がオクラホマ州を襲った。それ以来、フッド氏は災害への備えをまず一番に考えるようになったという。
2009年当時、テープバックアップが同行の主要な災害復旧計画の中枢であった。この計画では、嵐またはその他の災害がこの銀行の本店に被害を与えた場合、次に大きな支店に業務を移管復旧するものであった。だが、実はこの銀行はシステム環境を仮想マシンに既に移していた。フッド氏は、災害回避を同行の災害時の事業継続計画で最も重視し、この仮想マシンを利用してさらに能動的な取り組みを実施したいと考えた。
冗長化による災害回避
同行はVMwareハイパーバイザー技術を利用して同行のサーバを仮想化しているさなかであった。また、仮想ワークロードにiSCSI接続しているStarWind Software製ハイパーコンバージドインフラ(HCI)を使用してソフトウェア定義型ストレージ(SDS)を導入するところであった。しかし、フッド氏はこのインフラを最新のものにして先端技術を活用したいと考えた。
まず1つ目の目標が、同行の4支店をつなぐようにWAN型フェイルオーバークラスタを構築することだった。フェイルオーバークラスタとは複数のサーバをクラスタ化し、一部で障害が発生してもシステムが稼働し続けられるようにした構成のことである。「300Mbpsの回線でオフィス間をつなぎ、データを複製するという考えが良いと思っていた。そうすれば、もし特定のオフィスに障害が発生してもワークロードをフェイルオーバーできるようになるだろう」とフッド氏は語る。
フッド氏はストレージをVMwareのvSANに置き換えるつもりだった。しかし、ライセンシングとハードウェアに要する費用の面からみると「単純に言って高価すぎた」と同氏は言った。フッド氏の調査によって「ストレッチクラスタリング」機能を備えたStorMagic製SvSAN(StorMagic virtual SAN)がどのようなものかが分かった。ストレッチクラスタリングとは簡単にいえばvSANを冗長化する機能で、複数の離れたサイト(環境)のvSANを1つのグループにできる。
導入は円滑に進み、コストもVMware製品の87%に抑えられた。コストだけではなく運用の効率化についても効果があった。停電時の復旧に必要な手順は「小さな活字がぎっしり並んだ5ページ」だったものが1ページにまとめられた。「あとはフェイルオーバーの手順だけになった」とフッド氏は言った。さらに素晴らしいのは、SvSANを使えば、同行が連邦規則(Federal Regulations)を完全に順守できることだ。
このようなフェイルオーバークラスタおよびミラーリング機能は、顧客向けの高可用性モデルとしてますます人気が高まっている、とStorMagicの主任マーケティング担当者であるブルース・コルンフェルト氏は言う。
「小規模な店舗では機器の規模も小さく負荷は少ないが、保有する情報は大手企業の所有する情報と同様にミッションクリティカルであることに変わりはない。当社は、ストレージインフラ全体で2TBから20TBの容量を持つ顧客に対して高可用性のサービスを提供できる」と同氏は語る。
コルンフェルト氏によると、この考え方や技術は大型店舗でも活躍しているという。サービスの継続ができるように選択したアプリケーションのストレッチクラスタリングを構築するために利用される。StorMagicの優位性は必要なコストが競合製品に比べ、極めて少なくて済むことだという。
この製品の魅力を高めるために、StorMagicは連邦情報処理規格140-2(Federal Information Processing Standard 140-2)準拠の“データ暗号化”を「暗号化機能の備わったメディアを使わずに」できる機能を発表した。この機能はクラスタノード間で動いているデータを暗号化し、Key Management Interoperability Protocol規格(KMIP)を完全にサポートしている。この機能を使えばKMIPに準拠したあらゆる暗号化キー管理ソフトウェアを使用できる。
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