バックアップ/災害対策にクラウドを使いこなす【最終回】
どれを買う? クラウドを活用したバックアップ/DRに役立つ製品を一挙紹介(1/2 ページ)
オンプレミスのデータやシステムをクラウドへバックアップ/DRする場合、どのような製品を利用すればいいのだろうか。バックアップ/DR方式別に、製品の組み合わせを解説する。
本連載では、クラウドをバックアップや災害対策・復旧(DR)に活用する際の方式や構成について解説している。最終回の今回は、現実的な方式選定と製品の組み合わせについて紹介する。今回の内容は下記の通りだ。
| ■ | 現実的な構成、方式の全体像 |
|---|---|
| ■ | レイヤー1:バックアップデータのレプリケーション |
| ■ | レイヤー2:ファイルサーバのレプリケーション |
| ■ | レイヤー3:オンプレミス・クラウド間システム切り替え |
| ■ | ハイブリッドクラウドからシングルクラウドマルチリージョン、そしてマルチクラウドへ |
現実的な構成、方式の全体像
これまでの連載で「クラウドをバックアップデータの複製先とするための方式」「オンプレミスからクラウドへサイト間のシステム切り替えをするための方式」について、考えられる方式を網羅的に説明してきた。詳しくは各回を参照していただきたい。
これまでの連載
【第1回】クラウドをバックアップ/DRに活用するには? 目的別に要件を固める
【第2回】「クラウドをバックアップデータの複製先」とする場合の構成と注意点
【第3回】バックアップ/DRで「システムの切り替え先にクラウドを使用する」8つの方式
連載インデックス:バックアップ/災害対策にクラウドを使いこなす
採用する方式の数は少なくすべきだ。方式によっては、対象のシステム数が少ないときはよいが、対象システムが増えることで管理が複雑になるものがある。管理対象のコンポーネント(各方式の構成要素)が増えてしまうために、製品間の互換性の確認やバージョンアップ作業の工数が増大してしまう可能性があるからだ。
現実的な構成/方式は図1のようになる。今回は「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」(Azure)などのパブリッククラウドとの組み合わせ(注)を想定する。
※注:今回は、オンプレミスとパブリッククラウドの組み合わせについて言及する。オンプレミスとパブリッククラウドで同じハイパーバイザーを使用している場合、ハイパーバイザーの機能を用いてバックアップ/DRができるが、クラウド事業者がどこまで権限を解放しているかに依存するため、ここでは言及しないことにする。原稿執筆時点で国内での一般利用ができない「VMware Cloud on AWS」「VMware virtualization on Azure」についても言及しない。
3つのレイヤー(1~3)で理解すると分かりやすい(図1)。「3.オンプレミス・クラウド間システム切り替え」のみを検討するユーザー企業もあるが、「1.バックアップデータのレプリケーション」が必須であることを再認識してほしい。3のデータのレプリケーションは一般的に非同期なので、整合性が確保できないケースがある。そのため1が必須であると理解していただきたい。バックアップデータのリストアだけでは復旧に時間を要するので、目標復旧時点/標復旧時間(RPO/RTO)を短くするために、上位のレイヤー2、3を積み上げていく。目的、要件を整理し長期保管の用途がある場合は、クラウドストレージの利用も検討する。
以下、各レイヤーについて説明する。製品選定ポイントの基本は「シンプルさ」だ。製品数を減らし構成をシンプルにするのに加え、複数製品を使用する際も容易に連携できる製品を選び、運用が楽になるようにしたい。
レイヤー1:バックアップデータのレプリケーション
オンプレミスでのリストア時間を短くするため、オンプレミスにバックアップデータを保存し、クラウドのバックアップサーバやクラウドストレージに重複排除レプリケーション/複製をする。
シンプルに重複排除を構成できる製品を選択しよう
バックアップデータのレプリケーションには重複排除技術が欠かせない。「Veeam Backup & Replication」や「Dell EMC Avamar」など、重複排除ストレージとの併用を推奨しているバックアップ製品は、製品数が増えるのでお薦めしない。大規模なオンプレミス環境でも利用できるアプライアンス(統合型バックアップアプライアンス)や、クラウドの仮想アプライアンスがよいだろう。バックアップサーバのOSとバックアップソフトが一体化しているので、OS分の構成要素を減らすことができる。製品としては「Veritas NetBackup Appliance」(NetBackup)、「Rubrik」などが挙げられる。NetBackupは2018年、UX/UI(ユーザー経験価値/ユーザーインタフェース)が大幅に改善される。Rubrikはスケールアウト可能なアーキテクチャでシンプルな操作性が特徴だ。
「Arcserve UDP Appliance」は非常にコストメリットのあるアプライアンスである。ただし、比較的小規模であれば問題ないが、仮想アプライアンス版がないことと、物理アプライアンスもOS(Windows)とバックアップソフトが分かれる点が、一般的なアプライアンスと異なるので注意してほしい。
クラウドストレージへの複製
クラウドストレージへの複製はDR用途というより、安価な長期保管先だと理解するとよいだろう。クラウドストレージからの読み出しは時間を要するからだ。
単体でオンプレミスのバックアップデータを重複排除し、クラウドストレージに転送できるバックアップ製品を選ぶべきである。NetBackup(「NetBackup CloudCatalyst」機能)、Rubrikなどが該当する。複数のツールでクラウドストレージに書き込みたいのであれば、製品の数が増えてしまうが、クラウドストレージと連携できるクラウドゲートウェイや重複排除ストレージを使用することもできる。
クラウドゲートウェイには「NetApp AltaVault」など、重複排除ストレージ(ターゲット型バックアップアプライアンス)には「Dell EMC Data Domain」(「Data Domain Cloud Tier」機能)などがある。それぞれバックアップデータを書き込むツールが別途必要になる。こうしたツールを選択する際は、オンプレミスからクラウドストレージへのデータ複製を、バックアップ製品で操作できるかどうかを確認すべきだ。バックアップ製品と連携できないツールを選択すると、クラウドストレージへ移動したデータの管理が複雑になる。NetApp AltaVaultはNetApp FASからのレプリケーションとバックアップ製品からの書き込みができる。複数のバックアップ製品や、バックアップ製品以外から書き込みたい場合は、実績豊富なData Domainがお薦めだ。
バックアップ製品によっては、VMwareの「VADP」で取得した仮想マシンイメージのバックアッデータをクラウドストレージの「Amazon S3」に保存し、AWSのインスタンスに変換できるものがある。Rubrik(「CloudOn」機能)、Avamar+Data Domain(「Data Domain Cloud DR」機能)などだ。ただし、こうした機能をDR用途に使用するのは現実的ではない。S3に保存した仮想マシンイメージから、AWSのインスタンス起動に利用可能なAMI(Amazon Machine Image)への変換処理(「VM Import」機能)は、容量に応じて時間がかかり、数時間かかるケースがあるためだ。今後、VM Import処理の高速化に期待したい。
レイヤー2:ファイルサーバのレプリケーション
ファイルサーバに保存されるデータは、一般的に整合性を考慮する必要がないため、ファイルサーバのスナップショット機能、レプリケーション機能でバックアップ/DRをするとよいだろう。バックアップ製品の保護対象に入れると、バックアップ製品の容量ライセンス費用が高額になってしまう。
クラウドのファイルサーバへのレプリケーション
ファイルサーバのレプリケーション先としてクラウドを選択する場合、ファイルサーバの製品選定については、クラウドで構築できることが必須条件だ。オンプレミス側は、物理サーバ(またはアプライアンス)もしくは仮想化基盤に構築でき、スケールアウト/スケールアップができる製品がよいだろう。
製品としては、NetApp FAS(クラウド版:ONTAP Cloud、仮想化版:ONTAP Select)またはSDS(Software Defined Storage)のスケールアウトNASである「Veritas Access」という製品がある。NetApp FASは言わずと知れた国内上位シェアのNAS製品だ。Veritas Accessは、UNIXの堅牢(けんろう)性を支えたストレージ管理製品「Veritas Storage Foundation」(現「InfoScale」)の技術が使われている製品である。ただしWindowsの使用可能なアクセス権限(ACL)に制限があるなど、NetApp FASと比較して動作仕様が異なる点がある。そのため要件を確認し、使用する製品を選定してほしい。
クラウドストレージへの階層化
ファイルサーバの階層化(アーカイブ)機能は、古いファイルや特定のパスにあるファイルをクラウドストレージへ移動させることができる。複製ではなく移動になるため、目的はコストを抑えた長期保管になる。
該当する製品には、前述のVeritas Access、「Dell EMC Isilon」(「Isilon CloudPools」機能)などがある。クラウドストレージに移動したファイルは、直接開くことができても、更新ができないなどの癖があるので、製品ごとに仕様を確認していただきたい。Veritas Accessは「クラウドのファイルサーバへのレプリケーション」「クラウドストレージへの階層化」の両方が可能だ。
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