バックアップがデータ活用の中心へ、そのために必要な運用自動化の話データ保護の最適解「バックアップアプライアンス」の選定と比較【最終回】

「データを生かす企業が生き残る」といわれる昨今、バックアップデータは単なる保険から、宝の山へと見方が変わってきている。バックアップ製品の進化を考察する。

2017年03月30日 09時00分 公開
[木島 亮伊藤忠テクノソリューションズ]

 本連載では、バックアップアプライアンスの製品選定ポイントの解説と、各社の製品比較をしてきた。最終回の今回は、バックアップ製品のこれまでの進化と今後の未来像についてお伝えする。

 バックアップ製品はこれまで多くの進化を遂げてきた。その中でも下記が代表的な3つの進化である。

バックアップ製品、これまでの進化

1.バックアップ/リストアの高速化

 近年注目されているバックアップ手法の1つである「永久増分バックアップ」は、既に多くのバックアップ製品が実装している。対応しているバックアップの種類は、ファイルバックアップ、VMwareのバックアップAPIであるVADP(VMware vSphere Storage APIs - Data Protection)以外にも広がりつつある。リストアについても、システム全体のバックアップデータをリストアする製品の他、ファイルやアプリケーションデータといった細かな単位でリストアできる製品、リストアすることなくバックアップデータからシステムを直接起動できる製品も増えてきている。

2.ビジネス継続への活用

 バックアップ製品が重複排除機能を持つようになり、バックアップ保存先としてテープの代わりにディスクを選択することが、容量的にもコスト的にも現実的な選択肢となった。これによりテープ保管の呪縛(運用の手間、盗難/故障のリスク)から解放された。さらにバックアップ製品がバックアップとレプリケーションを一元管理できるようになったことで、「バックアップデータの複製が遠隔地にある」だけではなく、レプリケーションデータが可視化され、復旧の確実性が向上した。

3.多様化する環境への対応

 保護対象のデータの種類や環境が多様化してきている。これに伴い、各種ハイパーバイザーやアプリケーション、ストレージ機能との連係に加え、モバイル端末など新たな業務端末のデータをバックアップ対象に含める動きが進んだ。また物理アプライアンスや仮想アプライアンス、ソフトウェアなどのさまざまな提供形態が可能になったことで、データセンターでの統合バックアップ、ROBO(Remote Office/Branch Office、遠隔地にある支社や支店)で稼働するシステムのバックアップ、クラウドストレージ/パブリッククラウドを活用したバックアップなど適用シーンが広がった。


 今後もバックアップ製品は進化していく。「データを生かす企業が生き残る」といわれる今日において、バックアップデータは企業の重要なデータ(および不要と認識できずにいるデータ)が集められたものであり、「宝の山」である。今までバックアップデータは、有事が起きるまで眠らせている企業が少なくなかった。だが現在、データを活用するためのデータ管理の中心に位置付けられるようになってきている。「守りの保険」で終わっていたものから「攻めの積極的活用」をするものへと進化が起きている。2017年はバックアップデータの利活用がさらに進む年になると筆者は感じている。

バックアップ運用も自動化へ、これから起こる3つの進化

 次に、バックアップ製品とその周辺において、今後起こるであろう進化をまとめた。

1.保持データの可視化

 保持しているバックアップデータの中身を可視化することに加え、「保護レベルの最適化」をバックアップ製品自身が管理者に対して促してくるようになると考えられる。

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