バックアップ/災害対策にクラウドを使いこなす【最終回】
どれを買う? クラウドを活用したバックアップ/DRに役立つ製品を一挙紹介(2/2 ページ)
レイヤー3:オンプレミス・クラウド間システム切り替え
汎用的なシステムの仮想マシン切り替え
オンプレミスとクラウドの間でシステムを切り替える方式の中で汎用(はんよう)的なのは、仮想マシンを丸ごと、オンプレミスからクラウドへ切り替える方式だ。
これを実現できるマルチハイパーバイザー/マルチクラウド対応のマイグレーション製品としては、「Zerto Virtual Replication」「Veritas Resiliency Platform」「CloudEndure」などがある。その他、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)製品でも可能になりつつあるので、最新情報を確認してほしい。新興ベンダー、メジャーベンダーの各社がリリースしている本ジャンルの製品は、DRツールとしてだけではなく、クラウドからオンプレミスへ、クラウドから別のクラウドへの移行ツールや、ハイブリッドクラウド/マルチクラウドを実現するための基盤製品という側面もある。
製品選定の際は、国内実績、ベンダーのノウハウ/サポート体制、ベンダー体力が重要なのは言うまでもない。ライセンスは仮想マシン単位で比較的、安価な製品が多い。数台からPoC(概念実証)を試してみてはいかがだろうか。
RPO/RTO要求が高いDBシステムのDR
RPO/RTOの要求が高いデータベース管理システム(DB)の場合は、DBのレプリケーション/切り替え機能をオンプレミス・クラウド間で使用することを検討したい。「SQL Server」(「AlwaysOn可用性グループ」機能)、「Oracle Database」(「Oracle Data Guard」機能)などが該当する。
高可用性(HA)クラスタをオンプレミスとクラウドの仮想マシン間で構成することも可能だが、仮想マシンを丸ごと切り替える方式と比較して、仮想マシン数が倍になり、管理が煩雑になるため推奨しない。クラウド内、オンプレミス内での使用を最小限とし、多用は避けたい。HAクラスタシステムを組むには「DataKeeper」と「LifeKeeper」の組み合わせや「CLUSTERPRO」、InfoScale(「Veritas Volume Replicator」+「Veritas Cluster Server」)などの製品が該当する。レプリケーション製品とクラスタ製品の組み合わせや、レプリケーション機能を有するクラスタ製品を使用する。
ハイブリッドクラウドからシングルクラウドマルチリージョンへ、そしてマルチクラウドへ
上記で紹介してきたように、オンプレミスとパブリッククラウドを結合させる「ハイブリッドクラウド」を実現するための基盤製品が充実してきている。クラウドを単にオンプレミスのバックアップ複製先/DR先として使用するだけではなく、通常時からクラウドを利用するニーズも確実に増えている。その際に、クラウドへの移行が重要なテーマとなる。クラウドへの移行は、リフト&シフト(引っ越し)だけではなく、PaaS、SaaSへの移行もあり、サイロ化しないように統合管理する必要がある。
クラウドへの移行は「AWSの7つの基本要素」(AWSのWebページ)が参考になる。新規システムの構築や、疎結合のシステムをクラウドに移行するのが推奨のやり方だ。以下に引用する。
| 1 | 全ての目的を達成するために「経営幹部の賛同を得る」 |
|---|---|
| 2 | 「ITスタッフのリソース」に目標と責任を設定する |
| 3 | 推進力が集まるよう、「クイックWINの実績を作る」 |
| 4 | 全ての課題をカバーできる「パートナーを参画させる」 |
| 5 | 知識とベストプラクティスを拡大できるよう、「中核的研究拠点を設置する」 |
| 6 | アプリケーション移行を合理化するための「ハイブリッドアーキテクチャを構築する」 |
| 7 | 「なぜクラウドなのか」という問いに答えるために「クラウドファースト」の標準化を達成する |
クラウドファーストが進み、シングルクラウドマルチリージョンへ
クラウドファーストが進み、1つのパブリッククラウドを使用する場合でも、地理的な冗長化のためにリージョン間でデータを複製するなどの対策が必要だ。「シングルクラウドマルチリージョン」構成である。
クラウドのメリットを享受するためには、マネージドサービス/PaaSを積極的に利用することが重要になる。PaaSはバックアップ/DR機能をクラウド側で用意しているので、簡単に使用できる。IaaSについても、クラウドの機能(Azureの「Azure Backup」「Azure Site Recovery」など)を使用することも可能だ。だがクラウドの機能を理解すると、オンプレミスと比較して制約も目に付くようになる。その際、クラウドの制約を受け入れるという選択肢と、クラウド機能を強化するサードパーティー製品を使用するという選択肢がある。
IaaS、PaaSのバックアップ/DR機能を強化させる製品
耐久性の高いクラウド基盤で取得したスナップショットやレプリケーションしたデータは、バックアップ/DRに活用できる。クラウドの外部にバックアップとしてデータを複製する製品もあるが、バックアップ/リストアに時間を要するのでお薦めしない。
「Veritas CloudPoint」は、IaaSの仮想インスタンスやPaaSのスナップショット/レプリケーションを管理する製品だ。データの整合性確保、スケジュール/世代管理、保護対象の自動検出、細かな単位でのリストアが可能である。スナップショットをベースにしているので、バックアップ/リストアが高速だ。データの中身を解析し、「このデータは海外リージョンにコピーしてよいかどうか」を判断するなどコンプライアンス(法令順守)対策もできるようになる。NetBackupでの統合管理も可能だ。
Veritas SaaS Backupは、SaaSのバックアップ機能より細かい単位でリストアが可能など優れている点が多い。NetBackupとの連携も計画されており、期待できる。
そしてマルチクラウドへ
複数のPaaSを使い分け、その周辺でIaaSを使っていくと、マルチクラウド構成になっていく。そうなるとサイロ(孤立)化しないように統合管理が必須となるため、サードパーティー製品が必須となる。
複数のクラウドに分散したIaaSのバックアップデータや、PaaS/SaaSのスナップショット/レプリケーションデータを統合管理し、データの中身やメタデータ(所有者、更新日次など)の可視化をする必要がある。コスト面を考慮し、異なるクラウド間でシステムを移動させることも必要になるだろう。Veritas Technologiesのデータ管理コンセプト「360度データ管理」のように、マルチクラウドのデータ管理を実現する手段が注目されるだろう。
特徴のある製品を持つ新興ベンダー(Zerto、Rubrikなど)、データ管理全般をカバーできる老舗ベンダー(Veritasなど)の動きを今後も見ていきたい。
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