データ保護の最適解「バックアップアプライアンス」の選定と比較【最終回】
バックアップがデータ活用の中心へ、そのために必要な運用自動化の話
「データを生かす企業が生き残る」といわれる昨今、バックアップデータは単なる保険から、宝の山へと見方が変わってきている。バックアップ製品の進化を考察する。
本連載では、バックアップアプライアンスの製品選定ポイントの解説と、各社の製品比較をしてきた。最終回の今回は、バックアップ製品のこれまでの進化と今後の未来像についてお伝えする。
バックアップ製品はこれまで多くの進化を遂げてきた。その中でも下記が代表的な3つの進化である。
バックアップ製品、これまでの進化
1.バックアップ/リストアの高速化
近年注目されているバックアップ手法の1つである「永久増分バックアップ」は、既に多くのバックアップ製品が実装している。対応しているバックアップの種類は、ファイルバックアップ、VMwareのバックアップAPIであるVADP(VMware vSphere Storage APIs - Data Protection)以外にも広がりつつある。リストアについても、システム全体のバックアップデータをリストアする製品の他、ファイルやアプリケーションデータといった細かな単位でリストアできる製品、リストアすることなくバックアップデータからシステムを直接起動できる製品も増えてきている。
2.ビジネス継続への活用
バックアップ製品が重複排除機能を持つようになり、バックアップ保存先としてテープの代わりにディスクを選択することが、容量的にもコスト的にも現実的な選択肢となった。これによりテープ保管の呪縛(運用の手間、盗難/故障のリスク)から解放された。さらにバックアップ製品がバックアップとレプリケーションを一元管理できるようになったことで、「バックアップデータの複製が遠隔地にある」だけではなく、レプリケーションデータが可視化され、復旧の確実性が向上した。
3.多様化する環境への対応
保護対象のデータの種類や環境が多様化してきている。これに伴い、各種ハイパーバイザーやアプリケーション、ストレージ機能との連係に加え、モバイル端末など新たな業務端末のデータをバックアップ対象に含める動きが進んだ。また物理アプライアンスや仮想アプライアンス、ソフトウェアなどのさまざまな提供形態が可能になったことで、データセンターでの統合バックアップ、ROBO(Remote Office/Branch Office、遠隔地にある支社や支店)で稼働するシステムのバックアップ、クラウドストレージ/パブリッククラウドを活用したバックアップなど適用シーンが広がった。
今後もバックアップ製品は進化していく。「データを生かす企業が生き残る」といわれる今日において、バックアップデータは企業の重要なデータ(および不要と認識できずにいるデータ)が集められたものであり、「宝の山」である。今までバックアップデータは、有事が起きるまで眠らせている企業が少なくなかった。だが現在、データを活用するためのデータ管理の中心に位置付けられるようになってきている。「守りの保険」で終わっていたものから「攻めの積極的活用」をするものへと進化が起きている。2017年はバックアップデータの利活用がさらに進む年になると筆者は感じている。
バックアップ運用も自動化へ、これから起こる3つの進化
次に、バックアップ製品とその周辺において、今後起こるであろう進化をまとめた。
1.保持データの可視化
保持しているバックアップデータの中身を可視化することに加え、「保護レベルの最適化」をバックアップ製品自身が管理者に対して促してくるようになると考えられる。
保護不要なデータの削除や、保護レベルに適切な保持期間、保存場所、スケジュールなど、リスク削減やコスト削減につながる提案をバックアップ製品がしてくるようになるだろう。
2.さらなるビジネス継続への活用
システム復旧の前後処理を含めた復旧の自動化が可能になるだろう。それにより、何十台、何百台のシステムを自動で復旧させることが可能になる。従来のDR(災害対策)の仕組み(参照:VMware環境のBCP/DR対策で陥りやすい失敗)である「グローバルクラスタ」「データレプリケーション(バックアップデータ&本番データ)」が統合管理され、RPO(目標復旧地点)/RTO(目標復旧時間)の最適化が進むと考えられる。
3.バックアップデータの利活用 ~コピーデータ管理
開発やテスト、分析、ビジネスインテリジェンス(BI)を目的としたバックアップデータの活用が進む。従来は本番データをコピーして活用したが、バックアップデータから容量を消費しないスナップショットのテスト環境をセルフサービスで作成可能になれば、ストレージコストの削減やビジネス変革に寄与できるようになる。このような「バックアップ管理とコピーデータ管理の一元化」が進むだろう。
【コラム】現状のコピーデータの課題
調査会社IDCによると、企業はアーカイブ、バックアップ、レプリケーション、テスト、開発、BIなどさまざまな用途のために、本番データに対して、10~20個のコピーデータ(下図参照)を保持しており、それらのためにストレージコストの70%以上を費やしているという。
また、利用者がデータを活用しようとした場合、申請してから利用できるようになるまでに数日かかることが多いようだ。ここで、「コピーデータ管理ソリューション」の出番だ。利用者がセルフサービスで、ストレージの容量を消費せず、迅速に利用することができれば、ビジネスの俊敏性を加速させることができるだろう。
バックアップ/データ保護は、ITマネジメントの一部として管理されるべきである。その中でも、ITマネジメントの一環として運用自動化が注目されている。新しいシステムが払い出された際に自動でバックアップ対象に組み込まれ、必要に応じてバックアップサーバのスケールアップやスケールアウトが自動で行われるような世界が来るかもしれない。システム復旧の際は、システム担当者が運用管理ツールの管理画面から、バックアップデータのリストアに加え、リストア後の後処理や周辺機器の設定変更などを一気通貫で実施できるようになるだろう。
バックアップ製品は運用管理ツールからAPI連係で操作され、管理画面は運用管理ツールが提供する形になると考えられる。バックアップ製品としては、見た目のインタフェースだけにとらわれず「カバー範囲が広く、国内実績が多く、提供元のノウハウが豊富な」製品を選定することが重要になるだろう。今後、バックアップ/データ保護は、データ管理/データ活用の中心となり、ITマネジメントと融合し運用自動化が進んでいく……そのような未来が来るかもしれない。
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データ保護の最適解「バックアップアプライアンス」の選定と比較
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