Interview
バイオメトリクスはスピードも重要――ベライゾンのセキュリティ責任者
ベライゾンのデータセンターのセキュリティ責任者は、重要なのは物理的に保護することよりも、従業員のチェックや監査証跡だという。
米国防総省の元防諜担当捜査官、JP・キャラハン氏は現在、米ベライゾン・ビジネス(ベライゾンのデータセンターホスティング部門)のデータセンターのセキュリティ責任者を務める。キャラハン氏の風貌はCIAのスパイというより、どちらかといえばコメディアンのようだが、同氏は四六時中、データセンターのセキュリティに対する警戒を怠らない。キャラハン氏にセキュリティの問題点やバイオメトリクスについて話を聞いた。
米国防総省の元防諜担当捜査官、JP・キャラハン氏は現在、米ベライゾン・ビジネス(ベライゾンのデータセンターホスティング部門)のデータセンターのセキュリティ責任者を務める。キャラハン氏の風貌はCIAのスパイというより、どちらかといえばコメディアンのようだが、同氏は四六時中、データセンターのセキュリティに対する警戒を怠らない。SearchDataCenter.comでは、先ごろ開催された米アフコムの「Data Center World」カンファレンスに参加したキャラハン氏に話を聞いた。
―― データセンターのセキュリティに関して最も心配していることは何ですか。
キャラハン データセンターの物理的なセキュリティの基本は、「いつ誰が何に手を触れたのか」ということです。サーバマシン本体の金銭的価値目当てでサーバが盗まれることは、心配ではありません。心配なのは、わたしが知らない間にデータが盗まれることです。
われわれは、監査証跡や従業員のチェックも実施しています。データセンターでの最大の脅威は何だと思いますか。
―― 社内のユーザーですか。
キャラハン その通りです。侵入防止用のボラート(車止めなどに使う柱)にお金を掛けるよりも、内部チェックを実施すべきです。最近、自己破産した従業員はいないか、といったことです。ボラートを設置するお金があれば、何人の従業員の経歴チェックができるでしょう。
―― データセンターのセキュリティに関して、誤解されていることはありますか。
キャラハン 伸縮式のボラートを設置しているデータセンターを見たことがあります。米国内でトラック爆弾が使われた事件は、過去35年間で何回あったでしょうか。ウィスコンシン大学ROTC(予備役将校訓練部隊)の爆弾事件(1970年)、オクラホマシティーの爆弾事件(1995年)、そしてニューヨークの世界貿易センターの事件(1993年)。この3回だけです。しかし、トラック爆弾に対する防護を固めるために何億ドルもつぎ込んでいるデータセンターがあるのです。
それならば、対空砲も必要だということになってしまいます。施設の防護につぎ込んだお金で予備のサイトを構築できたかもしれません。
―― データセンターの防護を強化するのは重要でないということですか。
キャラハン 「データセンターのセキュリティはほうっておけばいい」と言っているのではありません。攻撃者の計画プロセスをさらに複雑なものにする必要はあります。しかし障壁を設置するくらいなら、データセンターをもう1つ建設する方がいいということです。
第3の冗長サイトに資金をつぎ込む方が、より大きなROI(投資効果)が得られます。たいていの企業では、社内にメインサイトと冗長サイトを持っています。しかしメインサイトに加えて冗長サイトが2つあってもいいではありませんか。そうすれば、トラック爆弾で会社が爆破されても、冗長サイトが1つ残ることになります。守りを固めるだけでなく、展開していくことも大切なのです。
ITインフラが潜在的な攻撃目標になる分野では、身をかがめ、隠れた方がいいでしょう。ペンタゴンとウォール街は攻撃目標になりますが、データセンターではありません。データセンターをそこに置く必要はありません。わたしの家の前にも光ファイバーは通っているのです。なぜわざわざ攻撃を受けるような場所にデータセンターを置く必要があるのでしょうか。その背景には、自分がそれを所有しており、それに手を触れることができるようにしておきたいという意識があるのです。人々が施設の防護を強化するのもそのためです。
―― バイオメトリクスについてはどう思いますか。
キャラハン われわれが管理しているデータセンターはすべて、HandKey IIという掌形識別装置を導入しています。導入に対する最大の抵抗は、この装置は衛生的でないと人々が考えていることです。しかしドアのノブは平気で触るのです。
われわれは3要素による自動認証システムを施設に配備しています。バッジ、バイオメトリクス、そしてPIN(個人識別番号)と連動したドアです。これらの認証に基づく監査証跡が必要なのです。機器を設置してある場所では、追加的なバイオメトリクス認証も行います。
―― 掌形識別装置を採用したのはなぜですか。
キャラハン 多数の人間がドアを通過する必要があるのであれば、処理時間が重要になります。(パナソニックの虹彩認証システムのように)「一歩後ろに」とか「一歩前に」といった指示を聞かされるのは困ります。HandKeyを採用したのもそのためです。信頼性が高く、処理が速いのです。
指紋読み取り装置は安価です。しかし先ごろ調べたところ、米国民の4%は、皮膚が乾燥しすぎているために、指紋認証技術を利用することができないのです。網膜スキャンは非常に正確ですが、この場合もやはり処理時間が問題となります。また、3~4年前には、社会的な影響がありました。「なぜこんなことをするのだ? この機械に目玉を押し付けろというのか?」といった抵抗があったのです。
バイオメトリクス認証の処理速度をアップしたいのであれば、識別と認証を分けて考える必要があります。識別というのは「あなたは誰か」を特定することであり、認証とは「あなたは本人か」を確認することです。複数要素を組み合わせたシステムでIDバッジを使用することにより、処理がスピードアップします。
(この記事は2006年3月23日に掲載されたものを翻訳しました。)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー