CRMで本当に売れる仕組みを作れ!【第3回】
ソリューション力とはこういうものだ
データベースマーケティングをメインコンセプトとするCRMはなぜ限界があるのか。最近購入した顧客、頻度の高い顧客、購入金額の高い顧客は優良顧客であるという定義によるRFM分析には、明らかな問題点がある。これらを考察することなくCRMシステムを構築しても、それは売れる仕組みの構築にはならない。全4回の連載で売れるCRMシステムの仕組みを追求する好評企画。第3回のテーマは、売れるための真のソリューション力について考察する。
BREALOGIC(BREA理論)には、営業マンの契約率を高める理論と、店舗、ネットビジネス、通販での顧客維持育成、今月顧客創造によるLTV実現理論との2つがある。
まずは店舗からのB2Cビジネスを中心としたBREALOGICを解説しよう。
データベースマーケティングの限界
これまで店舗系、通販系、ネットビジネスでのCRMといえばデータベースマーケティングであった。データベースマーケティングはデータの見える化を追求する歴史でもある。データベースマーケティングは通販業界の発展と連動している。通販でデータを分析して一番ヒット率が高いであろう顧客に絞り込んで通販カタログを送る。その成否が売り上げや利益に直結するために、データを分析し、購入見込みの高い顧客をいかに見つけるかが最大のミッションであった。その分析の立役者がRFM分析である。
RFM分析は1930年代にアメリカの通販業界で考案した、通販カタログを送らない顧客を発見するための顧客発見方法である。
別の言い方をすれば、企業サイドから関係を切るべき顧客を発見する方法である。
当時、ナンバー1の通販会社は年間1100万部に及ぶ通販カタログを全米に郵送していた。しかし、送付した顧客全員が購入してくれるわけではない。そこで最近購入していない顧客、購入頻度の低い顧客、購入金額の低い顧客にはカタログの発送を止めようと計画したのである。
BREALOGIC(BREA理論)には、営業マンの契約率を高める理論と、店舗、ネットビジネス、通販での顧客維持育成、今月顧客創造によるLTV実現理論との2つがある。
まずは店舗からのB2Cビジネスを中心としたBREALOGICを解説しよう。
データベースマーケティングの限界
これまで店舗系、通販系、ネットビジネスでのCRMといえばデータベースマーケティングであった。データベースマーケティングはデータの見える化を追求する歴史でもある。データベースマーケティングは通販業界の発展と連動している。通販でデータを分析して一番ヒット率が高いであろう顧客に絞り込んで通販カタログを送る。その成否が売り上げや利益に直結するために、データを分析し、購入見込みの高い顧客をいかに見つけるかが最大のミッションであった。その分析の立役者がRFM分析である。
RFM分析は1930年代にアメリカの通販業界で考案した、通販カタログを送らない顧客を発見するための顧客発見方法である。
別の言い方をすれば、企業サイドから関係を切るべき顧客を発見する方法である。
当時、ナンバー1の通販会社は年間1100万部に及ぶ通販カタログを全米に郵送していた。しかし、送付した顧客全員が購入してくれるわけではない。そこで最近購入していない顧客、購入頻度の低い顧客、購入金額の低い顧客にはカタログの発送を止めようと計画したのである。
その結果、1100万部のカタログを800万部にまで落とすことに成功した。
RFM分析は、こうして顧客と関係を切断することを目的として使われ始めた。
しかし、いつの頃か、最近購入した顧客、頻度の高い顧客、購入金額の高い顧客は優良顧客であるという定義が生まれた。
その後、RFM分析は優良顧客発見分析として使われることとなったのである。
RFM分析に限らず顧客を抽出する分析手法の最大のネックはデータが「一定期間に置ける」という点である。
さらに、こうしたデータベースを使った顧客抽出分析方法のもう1つのネックは、顧客そのものにフォーカスしていないで、分析のランクに意味を持たせている点である。
例えばRFM分析を5ランクにし、R5(最終来店日)が3カ月以内、4が6カ月以内、3が12カ月以内、2が18カ月以内、1が19カ月以上未来店者と決めたとしよう。
またF(頻度)に付いては、5は10回以上、4は7回から9回まで、3は4回から6回まで、2は2回から3回まで、1は1回と決めたとしよう。
またM(購入金額)は、5は100万円以上購入者、4は80万円から100万円未満、3は50万円から80万円未満、2は30万円から50万円未満、1は1円から30万円未満と決めたとしよう。
RFM分析ではR5・F5・M5、つまり3カ月以内に購入していて、期間内の購入頻度は10回以上で、期間内の購入金額は100万円以上の顧客を優良顧客としている。
しかし、この決めは顧客一人ひとりに紐付いているものではなく、R5・F5・M5のセルに入った顧客を一律に優良顧客と名付けているに過ぎないのである。
例えれば、幼稚園のキリン組に配属された園児をキリン組さんと言っているのに似ている。キリン組の園児はキリンではない。翌年、キリン組の園児は年中さんになり今度はゾウ組に名前を変えた。だからと言って園児はゾウではない。
これと同じようにR5・F5・M5のセルに入っている顧客を、優良顧客かどうかの正しい判断とは別に、ただこのセルに入ったから、優良顧客と言っているだけである。なぜならこの分析は期間分析であり、タイムスライス分析だから、別の期間分析をすると同じセルにいる人が変化するからである。
流通業では、売上ABC分析をして上位20%に入る顧客(優良顧客と称している)は、1年間で約40%が入れ替わる。すると、優良顧客を大事にするといってもR5・F5・M5のセルに居続ける顧客などほとんどいないのが現実であるから、ある瞬間にごそっと優良顧客セルから脱落し、新しいR5・F5・M5客が優良顧客セルに流入するのが普通である。すると、これまで手厚くDMを送っていた優良顧客セルから脱落した人たちには、DMを送ることを止めることになる。そもそもRFM分析は顧客関係切断のために作られた分析であるから、ここで本領を発揮するわけである。
CRMパッケージの宣伝文章を読むと、顧客維持育成、LTVなどと書いてあるが、やっている分析はほとんどがRFM分析かABC分析である。この分析方法では、直近に購入し、幾度も購入し、たくさん購入したとしても、継続しつづけない限りいつかは優良顧客セルから脱落した時点で企業サイドから関係切断顧客のレッテルを貼られることになり、これでは顧客育成もLTVもあったものではない。顧客育成理論も顧客創造理論も何もないのに等しいのである。
さらにもう1つネックがある。
こうした分析を機械に抽出させても実施するのは人間である。人間がやるのであれば、難しいこと、複雑なことはできない。常にR5・F5・M5の顧客にしかDMを出すことはできない。販売の現場に、真の優良顧客を抽出することなどはできるものではない。さらに顧客育成ができるような気の利いたDMを出せるはずもないから、ただ郵政公社に貢ぐだけのDMをせっせと出しているのが現実なのである。
BREALOGIC(BREA理論)は、発想が根本的に異なる
(1)顧客ターゲティングする
一方、BREALOGICは、育成するべき顧客条件を決めることからスタートする。
この作業を「顧客ターゲティング」という。どの顧客を育成するかを決めるためには、顧客育成モデル(どのように育成するかを決めるためのモデル)を構築する。顧客ターゲティングでは数値的に選定する条件を定めるが、売場の感覚で「この人はポテンシャル度の高い顧客である」という現場の直観力も無視せずにシステム上に取り込んでいく。
もっとも、現場の直観力と言っても一定のルールを課して、直観力を数値化し標準化することも忘れてはいない。
こうして顧客ターゲティングした顧客は条件が揃えば、BREAシステムが自動的に育成対象顧客として、わかりやすくいうと育成データベースに顧客を移すことをやる。これまでのRFM分析などのタイプスライス分析で顧客を抽出し、優良顧客セルにいる間だけリレーションシップを行うのではなく、育成するべき顧客を特定し(顧客ターゲティング)育成を開始するのである。
(2)顧客育成シナリオを描く
ターゲティングした顧客に対しては顧客層ごとに顧客育成シナリオを描いていく。この育成シナリオは、広大・精緻・複雑なものになる。顧客育成シナリオは大きく商品販売シナリオと関係深化シナリオに分けることができる。商品販売シナリオは、1年間の販促シナリオなど、商品を販売するために必要なシナリオを描く。関係深化シナリオは商品販売以外、顧客との関係を深めることを目的としてシナリオを描いていく。
例えば顧客をクラスター分析でクラスター層化し、クラスターごとに顧客ターゲティングをして育成シナリオを描くことや、グレードごとのシナリオ、グレードアップシナリオ、新規顧客を定着させるためのシナリオ、GR分析、GF分析、GM分析での上位移行シナリオ、疎遠客防止シナリオなど広大・精緻・複雑なシナリオを人智で作成していく。
このシナリオを人智で作成するところが重要である。
これまでのCRMではシステムで分析した顧客を抽出してDMやメールを出していたが、BREALOGICでは、育成するべき顧客をターゲティングすること、さまざまにセグメントした顧客ごとに育成モデルを作成し、育成シナリオを描いていくことは人間の智恵が行うのである。
いわばPDCAサイクルのPを人智が行うのである。人智とはコンサルティングで行うということである。育成するべき顧客をターゲティングする手法、広大・精緻.複雑な顧客育成シナリオを描いてシステムに登載する手法、プロセスごとに最適なオンデマンドリレーションシップ(オンデマンドプリンティングによるDM、eメール、マイページ、アウトバウンドコールセンターへの指示、営業マンの訪問計画、営業マンの電話作戦指示、FAX送信等、必要な時に、必要な顧客に、必要な内容を、必要なツールで、必要なタイミングでリレーションシップをとる)への指示など、人智がPCより勝る部分、つまり創造的な分野は人間の智恵でシステム登載するのである。
(3)Doの自動生成
システムに登載したシナリオはBREAシステムの中で自動生成され営業マンなどリレーションシップをとる必要のある担当者へToDoリストとして指示される。
例えば、ポイント3000になった顧客にそのお知らせをいつからいつの間にDMでしなさいとToDoリストに表現する。そのDMがツールとしてBREAシステムに登載できるほか、オンデマンドプリンターに直結して印刷できるようにすることも可能である。また、結婚記念日だから記念ギフトを創始しなさい、とギフト送付担当者に指示をすることもできる。
こうしたToDoリストに基づいて実行をすれば、それは広大・精緻・複雑な顧客育成シナリオを寡黙に愚直に実行していることになる。
ここでのポイントは「Do」の自動化である。BREAは広大・精緻・複雑な顧客育成シナリオを人智で作成し、それをシステムに登載する。後はITが得意な計算能力を使ってアクションを自動化する。だから広大・精緻・複雑な顧客育成シナリオが人間の頭脳を介さないで実現することができるのである。
(4)多様な売り上げ要因分析による売り上げ改善チェック体制
売上=顧客数×頻度×一客点数×商品単価
BREAでは、この公式を最大に活用して売り上げのアップダウンの要因がどこにあるかを発見する。売り上げが立てばすべて要因分析ができる。営業マンごとの売り上げ要因分析、製品ごとの要因分析、顧客ごと、顧客層ごとの売上要因分析、前年対比、移動平均法による製品ごとの売上要因4項目(顧客数、頻度、一客点数、商品単価)の近未来予測などを駆使して、売り上げ要因の強みと弱みを具体的に落とし込んでいく。そこで担当者は次の一手を考案していくわけである。
手法としては次の一手をシナリオ化する方法と、随時手作業で実施していく方法の2案がある。そして、次のアクションPDCAの「A」を再実行してスパイラルアップしていくのである。
以上がBREALOGIC(BREA理論)の概要である。BREAは大手旅行会社ジェイティービーの基幹マーケティング戦略システムとして採用されているほか、小売流通業など多数の企業で採用されているが、これまでのCRMの概念とはまったく異なるマーケティング理論であることがお分かりになったと思う。
服部 隆幸
CRMコンサルティングの第一人者として広く知られている。1985年の創業時から、一貫して顧客数を拡大することにより売上を拡大する方法を実施。現場での積み重なった事実を理論化し、BREA LOGIC(BREA理論)として集大成した。顧客育成、今月顧客創造、Lテレビを追求する全く新しいIT「BREA」を開発。大手旅行会社、大手百貨店、流通小売業、大手ハウスメーカー、国内自動車メーカー、外国自動車メーカー直営販売会社、食品メーカー、有名アパレルメーカー、建築資材メーカーなど幅広い業種業界で売れる仕組み、契約がアップする仕組みを導入し、成功に導いている。
主な著書
『売れる仕組み、そのお客様をつなぎ止めろ』(共著)、『お客様づくりハンドブック』(社内共著)『One to Oneマーケティングすべてが分かるQ&A100』(共著)(以上、ダイヤモンド社)、『2倍売れる営業プロセス』、『ワントウワンマーケティング文庫版』、『入門ワントウワンマーケティング』(以上PHP研究所)、『脱片想いマーケティング』(日経BP社)、『製造業のCRM』(共著)(日刊工業新聞社)ほか多数
株式会社ブレアコンサルティング
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