Case Study
守備範囲を広げるSaaS型CRM――リモートサービスにも対応
オークマアメリカのシステム担当者はホスティングサービスのセキュリティに不安を感じていたが、ウェブエックスの実績を調べ、同社のSaaS型CRM製品導入に踏み切った。
工作機械メーカーのオークマアメリカで情報システム担当シニアマネジャーを務めるブライアン・ニューマン氏は、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)にずっと懐疑的だった。セキュリティに不安を感じていたためだ。ところが、同氏は約2年前、ウェブエックス コミュニケーションズのRemote Supportのパイロット導入に踏み切った。
「もともとわたしは、ホスティングソリューションを敬遠していた。システムは自前で運用したいと考えている」とニューマン氏。「だが、ウェブエックスの実績などを調べ始めたら、彼らが信頼性の高いネットワークを持っていることが分かった。彼らは、われわれが独自に取り組むよりも高いセキュリティを経済的に実現している」
SaaSベンダーは、顧客のデータセンターよりも大規模で、適切に保護されたデータセンターを基盤に、優れたセキュリティを提供できる。そのため、ホスティング型CRMサービスは、セキュリティに関する顧客の懸念を克服して普及が進んでおり、同サービスをはじめとするSaaSアプリケーション全体も、利用拡大に大きな弾みがついている。ホスティング型CRMサービスの草分けであるセールスフォース・ドットコムは先ごろ、ユーザー数が50万人に達したと発表している。さらに、アバディーングループの最近の調査では、回答企業の半数以上がSaaSアプリケーションを利用しているか、その利用を検討していた。
また、最近発表されたCRM市場調査によると、SaaSをけん引役としてCRM市場は急成長しており、2004年の伸び率は105%、2005年の伸び率は60%に達している。CRM SaaS分野ではセールスフォースドットコムなど既存の大手ベンダーが活況を呈しているだけでなく、新規参入も相次いでいる。この数年間に、従来型のCRMパッケージソフトウェアを提供していたSAPやシーベルシステムズ(現在はオラクル傘下)がSaaS版をリリースし、マイクロソフトもCRM製品のオンデマンド版を2007年から提供する計画だ。Web会議システムでよく知られているウェブエックスもこの分野に乗り出している。
オークマアメリカがWebEx Remote Supportを導入したのは、同社がマイクロソフトのWindowsとインテルプラットフォームの上で動作するPCベースのNC(数値制御)システムをリリースした時のことだった。
「それまでは、モトローラのプラットフォームをベースに、OSをはじめすべてわれわれが開発したプロプライエタリなシステムを提供していた」とニューマン氏。「ウィンテルプラットフォームに移行することで、新たな可能性が開けた。われわれがまず目指したことの1つは、顧客をリモートでサポートすることだった」
オークマアメリカは午前7時から午後7時半まで、コールセンターに2~4人の応対スタッフを配置している。同社は現在、CDを郵送したり、フィールドサービス担当者を顧客の元に派遣するという多大な時間とコストが掛かる対応を取ったりする代わりに、顧客にインターネット経由でWebベースのサポートを提供できている。
「工作機械業界は、それほどハイテク化が進んだ業界ではない」とニューマン氏。「われわれは数日がかりではなく、数時間で解決できた問題事例を文書化している」
オークマアメリカは、通話履歴管理に対応したピープルソフトのナレッジベースを導入し、サポートスタッフがよくある問題の回答をすぐに参照できるようにしている。だが、オークマはこのナレッジベースをまだWebEx Remote Supportと統合しておらず、Remote Supportの最近リリースされた自動通話転送機能を採用しようと考えている。
「顧客が適切なスタッフとチャットセッションを始められるようにし、それがサポートセッションに円滑に移行するようにすることが狙いだ」とニューマン氏。「このようにして、われわれはデータを大量に蓄積し、より多くの問題についてあらかじめ答えを用意して、サポートエンジニアの対応体制を向上させるという大きな構想に取り組んでいる」
オークマアメリカの顧客はいずれもSaaSモデルを受け入れているが、それはオークマがセキュリティ対策を保証したからだとニューマン氏は語る。実のところ、大手SaaSベンダーのいずれかが大規模なセキュリティ侵害を受けたとしても、ニューマン氏はSaaSの利用を取りやめはしないだろう。もちろん、同氏は、ウェブエックスがオークマのデータを守るためにどんな措置を講じているかを改めて厳しくチェックするだろうが、SaaSモデルに見切りをつけることはしないはずだ。
「すべての条件が同じなら、わたしはシステムを自前で運用したい。その方が安心だ」とニューマン氏。「だが、近視眼的に、ホスティングソリューションを選択肢から外すのは禁物だ」
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