CRMソフトの成熟により販売実績は上がっているが、購入サイクルの変化により、販売担当者の課題が変化してきている。
販売コンサルティング会社のCSOインサイツの最近の販売実績調査によると、販売担当者の仕事は少しも楽になっていないようだ。
同社の最近の年次調査の結果、販売ノルマを達成している販売担当者の比率には変化がないが、ノルマそのものが平均で20%増えたことが明らかになった。
報告書の作成に携わったCSOインサイツのパートナー、バリー・トレーラー氏は、「販売実績は明らかに改善しつつある。これは、彼らが努力しているからなのか、それとも賢い働き方をしているからなのか? 興味深いのは、販売担当者の苦労が軽減されているかどうかを判断する指標の多くに変化がないか、悪化していたことである。つまり、彼らの仕事はきつくなっているというのが、われわれの見解だ」と述べている。
トレーラー氏によると、仕事がきつくなっている背景には、購入サイクルの変化があるという。インターネットから膨大な情報が提供されているため、販売担当者が関与するよりもずっと前に購入プロセスがスタートすることが多い。見込み客が“手を挙げて”販売担当者に情報を求めるという単純な構図は、もはや存在しないのだ。
「これは、いずれ深刻な影響をもたらすだろう。なぜなら、営業活動の出遅れに加え、Webサイト、デモ、Webセミナー、ユーザーのブログ、オンラインレビューなどを通じてあらゆる情報が提供されているため、見込み客がようやく手を挙げた段階での会話の性質は従来とは大きく異なるからだ」と同氏は指摘する。
この調査によると、購入サイクルの変化に伴い、企業各社は販売目標の見直しを進めている。販売会社にとって売り上げの増加は依然として最優先課題であるが、それに次いで重視されているのが販売効率の改善ならびに市場シェアの拡大である。
販売担当者の業務におけるCRMソフトウェアの役割も変化しつつある。トレーラー氏によると、CRMを導入済みの企業の約60%では、ユーザーの利用率が75%を超えており、これは1990年代とは大きく異なる状況だという。さらに、回答企業の3分の1以上が、CRMの活用によって販売実績が大幅に改善されたと答えている。目に見える改善はなかった、あるいはわずかな改善しか見られなかったという回答も56%に上ったものの、販売実績以外の分野で重要な成果が得られた企業も少なくない、と報告書は記している。ある専門サービス企業では、コンバージョンレートが300%以上改善された。また、販売サイクルを35%以上短縮できたという医療製品会社もあれば、成約率が45%から80%近くにまで上昇したという金融サービス会社もあった。「こういった成果の多くは、CRMソフトウェアの使い勝手が改善されたことに加え、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)型CRMベンダーの登場で導入が容易になったことによるものだ」とトレーラー氏は述べている。
「これらの成果に最も貢献したのはベンダーだ。これは、CRM市場の成熟化を示すものでもあると言えるだろう。1990年代末から2000年にかけては、何もかもが異常な熱狂状態に包まれ、プロフェッショナルサービス料金はライセンス料金の3~4倍にもなっていた。そういったサービスの多くは、単にCRMを導入するだけというものだった。今日では、プロフェッショナルサービスの低価格化が進み、サービスの内容もフロントオフィスとバックオフィスとの連携や、基盤アプリケーションへのアドオンの組み込みという方向にシフトしつつある」(同氏)
また、CRMシステムを自前で構築するよりもパッケージを購入する企業が増えている。2004年には、回答企業の19%が、CRMパッケージを購入するよりも自社でCRMソフトウェアを構築すると答えた。この比率は2005年に15%に、今年は12%に低下したが、それでもトレーラー氏は、「自社開発」派の企業はCRMをうまく導入していると考えている。ただ、マスコミで取り上げられないだけだという。
「自社開発派は目立たない存在だ。彼らは、それを競争優位の源泉と考えており、成果を公表したがらない。人々が気付かないところで、多くの興味深いことが起きているようだ」(トレーラー氏)
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