THE ESSENTIAL LAWYER
責任制限条項の落とし穴にはまらないために
ベンダーが補償すべき損害の額や内容を制限する責任制限条項は、細目に目を通すのを忘れてはいけない。
今回は、契約における最重点事項の1つである、責任制限条項を取り上げる。責任制限条項は、一方の当事者が他方の当事者から回収できる損害補償の量と種類を制限するものだ。ベンダーの書式にはほぼ例外なく、あなたの会社でなくベンダー側に有利な責任制限条項が盛り込まれているということは肝に銘じておきたい。
責任制限条項の例
責任制限条項は次のような形で目にしたことがあるかもしれない。「たとえいずれか一方が起こり得る事態を認識しまたは認識し得た場合であっても、いずれの当事者も結果について責任を負わないものとする」。この条項があると、特定の種類の損害(結果的あるいは「間接的」損害)について、一方の当事者が他方からの補償を受けられなくなる。例えばWebサイト運営のためのソフトを購入したとして、そのソフトのせいでWebサイトが丸1日ダウンした場合、サイトのダウンタイムで発生した事業上の損失を、ベンダーに補償させることはできない。このような損失は性質上、結果的損害とみなされるからだ。
責任制限条項では、当事者から補償される額の上限が定められているのも普通だ。例えば、「いかなる事態であっても、直接的損害に対し甲が乙に負うべき責任は、以下に定める額のうち多い方を超えないものとする。(1)当契約に基づき顧客がベンダーに支払った額の3倍、(2)100万ドル」。ここで細目を検討しよう。損害額の上限が理にかなっていないのもよくあることだ。例えば、今月わたしが目にしたベンダー契約には以下の条項が含まれていた。「いかなる事態であっても、当契約あるいは関連して発生したベンダーの責任は、貴社の注文に基づいて支払われた総額を超えないものとします」。これは一方的であいまいな条項だ(例えば「貴社の注文」というのが1回の注文なのか、複数回の注文なのか)。
2つ目に、特定の期間中(例えば対価が支払われるまでの間)、ベンダーが責任を問われない可能性も残る。もう1つ、「注文」に基づき支払われる総額は、状況によっては賠償額の上限として合理的でないこともある。簡単に言うと、これは責任制限条項がうまく規定されていない1例であり、顧客は必要以上あるいは適切な範囲を越えたリスクを背負い込むことになる。
責任制限条項の例外
IT契約では、幾つかの分野の損害を責任制限条項の例外とするのが通例だ。
例えばベンダーによる秘密保持規定違反が原因で自社が損害を被った場合、一般的に責任制限条項は適用されない(つまり、自社が被った損害について全額補償を受け取ることができるはずだ)。
ほかに例外が適用されるものとして、契約に基づく当事者の賠償義務に該当する事項、当事者の重大な過失に起因する損害、ベンダーが契約で定められた債務を履行しなかったことに起因する損害などがある。
契約の責任制限条項の重要性を考えると、自社のニーズを満たし、契約当事者の間でリスクが公平に分散された適切な契約書を作成するためには、法律専門家の助言を求めることが不可欠になるだろう。
本稿筆者のマット・カーリン氏は法学士、経営学修士で米シカゴにあるニール、ガーバー&アイゼンバーグ情報技術プラクティスグループの会員。
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