Column
モバイルデータサービスはどれを選ぶべきか?
モバイルデータサービスの評価と選択は、非常に困難な作業になる場合もある。本稿では、モバイルデータサービス(GSM、CDMA、WiMAX)を評価するに当たって考慮すべき主要な要素をチェックリスト形式で示す。
難解な略語
モバイル事業者は、自社の技術をわざと分かりにくく表現しているのではないだろうか――そんな疑問を抱いたことはないだろうか。早い話、なぜEV-DO(Evolution-Data Optimized)やHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)といった名前を技術に付けなければならないのか、ということだ。少なくとも、Mobile WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)はWi-Fiを連想させてくれるが、残念ながらMobile WiMAXはまだ利用可能となっていない。名前が分かりにくいだけではまだ足りないのか、技術の進歩は、EV-DO Rev AやHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)といった同じように難解な新しい名前を次々と生み出している。
主要技術の系列
モバイルデータサービスは、狭帯域音声サービスの「おまけ」から、メインストリームの広帯域サービスへと進化したものである。モバイルワイヤレス技術は数多く存在するが、米国で今日導入されている主要技術の系列は2つだけであり、3番目の技術がもうすぐ登場しようとしている(図参照)。
GSM系列
全世界で約25億人のサービス加入者がGSM(Global System for Mobile Communications)系列の技術を利用している(訳注:ただし日本では採用されていない)。米国の主要なGSM事業者は、AT&T(元Cingular Wireless)とT-Mobileである。
CDMA系列
全世界で5億人以上の加入者がCDMA(Code Division Multiple Access)系列の技術を利用している。米国の主要なCDMA事業者は、Verizon WirelessとSprintである(訳注:日本の携帯電話事業者が採用している)。
WiMAX
米国ではMobile WiMAXサービスはまだ利用可能になっていないが、SprintとClearwireがまもなく提供する見込みだ。この技術はIEEE 802.16e標準をベースとしており、CDMAおよびGSMよりも優れたスループットと通信距離を提供する。
総合的に判断する
モバイルデータサービスの評価と選択は、非常に困難な作業になる場合もある。総合的に分析するには、多数のサービス特性を徹底的に評価する一方で、「木を見て森を見ず」といったことのないよう注意する必要がある。このため、モバイルデータサービスを検討するに当たっては、以下の主要な評価項目に注目することが重要だ。
海外出張は多いか
自社に海外出張をするユーザーはいるか? もしそうだとしたら、GMSベースのサービスを検討すべきである。米国のGSMネットワーク上で動作する携帯電話は、世界中の多くのGSMネットワーク上でも動作する。
契約期間は短く
モバイル事業者は、米国のワイヤレス市場の75%以上に浸透した。浸透率が100%に近付くに従って、サービス提供者間の競争が非常に激しくなり、結果として買い手市場になる。従って、契約期間はできるだけ短くするのがいい。値下げが行われる可能性が高いからである。
通信エリアは自分で確認
主要なキャリア各社は、通信エリアを示した地図を提供している。しかしこういった地図は、通信エリアに関する詳細な情報を提供するものではない。このため、検討中のモバイルサービスを使っている現場のスタッフや同業者、友人などに質問するなどして、通信エリアを自分で確認する必要がある。
スループットは事前に調査
ダウンリンク速度(ネットワークから携帯電話への通信速度)は500Kbpsを超えるが、アップリンク速度は相変わらず低い。EV-DO Rev AおよびHSUPAでは、アップリンク速度が数百Kbpsに改善される見込みだ。実際のパフォーマンスがどの程度であるか把握するために、本格的な導入を決断する前に小規模な試験運用を実施するというのも1つの方法だ。いろいろな地域で、1日のうちの異なる時間帯および1週間の異なる曜日に情報を収集すること。
レイテンシ(遅延)
EV-DO Rev 0やHSDPA(あるいはそれ以前の技術)をベースとするモバイルサービスは、400ミリ秒を超えるネットワーク遅延が発生することもある。遅延の影響を受けやすいアプリケーション(音声通信など)の運用を計画しているのであれば、より新しいEV-DO Rev AやHSUPA(HSDPAとHSUPAの組み合わせが「HSPA」と呼ばれる場合があることに注意)を利用すること。
結論
現在、モバイルデータサービスは、米国の多くの地域にわたって高速なデータ接続を提供しているが、これらのさまざまなサービスや技術を分析する作業は煩雑で、時間がかかることがある。しかし幾つかの重要なポイントを押さえておけば、多数のサービスオプションの中から自分の会社に最も適したものを選び出すことができるはずだ。
本稿筆者のポール・デビーシ氏は、Burton Groupの上席アナリストで、ネットワーキング業界で25年余りの経験を持つ。Burton Groupに入る前には、ワイヤレスコンサルティング会社、ClearChoice Advisorsを設立したほか、ワイヤレススイッチ開発ベンダーのLegra Systemsで製品マーケティング担当副社長を務めた。その前には、新興企業のIPHighwayおよびONEX Communicationsで製品マーケティング担当副社長を務め、Cascade Communicationsではフレームリレー製品シリーズのマネジャーを務めた。同氏のネットワーキングシステム開発者としてのキャリアは、Bell Laboratories、Prime Computer、Chipcom Corporationでのシニアエンジニアとしてスタートした。ボストン大学でシステムエンジニアリングの理学士およびコーネル大学で電気工学の工学修士の学位を取得。
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