企業は、モバイルワーカーがSkypeを使用するのを許可あるいは推奨すべきなのだろうか。幾つかのシナリオを検討してみよう。
多くの企業では社内での通信コストを削減するために、VoIP(Voice over IP)を導入し、同一の社内ネットワークに音声とデータを統合している。しかし社外では、VoIPの費用便益の方程式は異なる。モバイルワーカーが従来の携帯電話を使おうがVoIP電話を使おうが、ISPあるいは通信事業者への支払いが発生する。数百万人に上るSkypeユーザーが感じている最大のメリットは、遠距離通話の割増料金が不要になることだ。多くのモバイルワーカーは今日、社外ではSkypeなどのインターネットVoIPサービスを利用することにより、莫大な長距離通話料金の発生を防いでいる。だが企業は、モバイルワーカーがSkypeを使用するのを許可あるいは推奨すべきなのだろうか。幾つかのシナリオを検討してみよう。
どんなリアルタイムプロトコルでもそうだが、Skypeも帯域幅を消費する。Skypeの音声トラフィックは暗号化されているため、企業はSkypeが社内のファイアウォールを通過させるコンテンツをコントロールしたり検査したりすることはできない。
Skypeの「スーパーノード」は、ファイアウォールのパフォーマンスおよびWANの帯域幅に大きな影響を与える。なぜなら、スーパーノードはSkypeユーザーが互いに相手を見つけるための通信ハブとして機能するからである。言い換えれば、Skypeはネットワークとシステムリソースを全世界から拝借することによって、発信者側のコストを下げているのである。あなたは、自社のネットワークがこの目的のためにリソースを寄贈することを望んでいるだろうか。
Skypeはインターネット上で通信するプロプライエタリなP2Pプログラムである。つまりSkypeは、ほかの商用P2Pプログラムを従業員がインストールするのを許可することに伴うのと同じリスクをもたらすということである。例えば、従業員はフィッシングメールや偽のSkype「ヘルパー」ソフトウェア/サービスにだまされないよう警戒しなければならない。不要な電話を防ぐために、コンタクト/承認リストを使用するとともに、Skypeの公開プロフィールに掲載する情報については分別をわきまえるよう従業員を指導する必要もある。また、ほかのSkypeユーザーから受信したファイルをスキャンしたり、Skypeのバグを悪用しようとするパケットをブロックしたりするために、ウイルス対策ソフトやパーソナルファイアウォールを使用しなければならない(現在のバグリストについては、cve.mitre.orgのSkype情報あるいはスカイプ自身のセキュリティ情報を参照のこと)。
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