コラボレーションツールでのトラブルを防ぐ
SharePointガバナンスドキュメントの必要性
Microsoftのコラボレーション技術「SharePoint」の利用での思わぬトラブルを未然に防ぐため、企業はガバナンスドキュメントを作成しておく必要がある。
SharePointガバナンスドキュメントとは何か。どうしても必要なものなのか。
Microsoftの企業向けコラボレーション技術「SharePoint」のガバナンスドキュメントは、社内におけるSharePointの使用・保守方法のポリシーと手続きを記述したものだ。このドキュメントでは多くの場合、バックアップ手続きやセキュリティ設定のような事項が取り上げられ、一般的にエンドユーザー向けの利用ポリシーが盛り込まれる。
SharePointガバナンスドキュメントを用意しておくことはなぜ重要なのか。
わたしの顧客の1社が数日前に陥った状況は、こうしたドキュメントの必要性を浮き彫りにするものだ。この顧客のプライマリSharePointサイトには、ユーザーがお互いに共同作業ができるディスカッション掲示板が設置されていた。ほとんどのディスカッションエリアはビジネスに関連するものだが、一部は息抜き用だ。
このサイトのディスカッションエリアの1つとして、「何でもあり」というタイトルのものがあった。社員の1人がこのエリアに、レッドネック(米国の南部や田舎の無学で偏狭な白人労働者を指す侮辱的な言葉)に関するジョークを投稿した。この社員に悪気はなかったが、別の社員が腹を立て、「これは自分の故郷である南部の伝統に対する侮辱だ」と主張した。たわいないジョークが差別問題に発展し、最終的に数人の社員が会社を辞めることになった。この顧客がSharePointガバナンスドキュメントを作成していたら、こんなトラブルは起こらなかったかもしれない。
ちなみに、この会社は早速SharePointガバナンスポリシーを導入した。「何でもあり」エリアはまだあるが、このエリアでどんな投稿があっても怒らないことを誓約した社員だけがアクセスできるようになっている。
SharePointガバナンスドキュメントの詳細
残念ながら、SharePointガバナンスドキュメントを作成するための汎用的なテンプレートはない。SharePointの利用形態は企業によって異なるため、必要となるSharePointガバナンスドキュメントのタイプも企業によってさまざまだ。
以下のリストに挙げた作業の成果として、ガバナンスの重要な要素が得られるが、企業の規模や複雑さによってはほかにも必要な要素があるかもしれない。Microsoftから非常に包括的なSharePointガバナンスチェックリスト(英文、要ダウンロード)が提供されており、それをドキュメント作成に役立てることができる。
まず、SharePointガバナンスドキュメントに記載する必要があるポリシーと手続きの要素を決める委員会を設置し、その上でドキュメント作成に取り掛かる。以下の作業の成果が、ガバナンスドキュメントに盛り込むべき重要な要素の一部だ。
- SharePointサイトの構造を示すサイトマップを作成する
- SharePointサイトの追加作成や、既に使われているサイトの大きな変更を行うための基準となるポリシーを作成する
- 誰がサイトのサポートと保守に責任を持つかを文書化し、連絡先リストを作成する
- ITスタッフがSharePoint環境のサポートにおいてどのような役割を果たすかを明確に定義する
- SharePointサイトの新規作成や既存サイトへの変更を、どのような場合に誰が要求できるかを決める
- SharePointサイトの変更管理プロセスを整備する
- サイトの旧バージョンのアーカイブポリシーを設計し、それらのアーカイブの保持期間を定める
- 個々の部門によるSharePointサイトの利用に対して課金するかどうかを決める
- ヘルプデスクスタッフにトレーニングを提供し、ヘルプデスクスタッフがユーザーの問題解決をどのように支援するかについてのポリシーを作成する
- バックアップポリシーを作成する
- SharePointサイトの開発と保守に利用できるツールをあらかじめ決める
- サイトのすべての新規ページのベースとなるテンプレートを作成する
- テンプレートのどの部分をサイトオーナーが変更できるかを決める
- どのような内容のコンテンツをSharePointサイトに掲載可能とするかを決める
- ドキュメントライブラリに保存すべきドキュメントのタイプを指定する
- ドキュメントライブラリのワークフロー設定を行う
- ドキュメントのアーカイビングと保存のポリシーを作成する
- エンドユーザー向けの利用ポリシーを策定する
SharePointガバナンスドキュメントの運用
SharePointガバナンスドキュメントを作成したら、まず、その内容をSharePointサイトにできるだけ直接反映させるようにする。例えば、ガバナンスドキュメントにワークフロー手順が記述されていたら、会社のポリシーの一部としてユーザーがその手順に従ってくれると考えるのではなく、その手順をSharePointに組み込むべきだ。
最後に、重要なことをもう1つ。毎年レビューを行い、SharePointサイトがガバナンスドキュメントの内容に適合しているかを確認するとともに、ドキュメントを更新する必要があるかどうかを調べなければならない。
わたしは15年以上くらい前にIT業界に入って以来、多くのまじめな企業がネットワークやセキュリティに関連するさまざまなドキュメンテーションプロジェクトに取り組む中で、その対象ドキュメントを常に最新に保つ方針を述べるのを見てきた。しかし、そうした企業がそれらのドキュメントを、長期にわたって最新に保つのはごくまれだ。
SharePointガバナンスドキュメントの作成は大変な仕事だ。だが、作りっ放しでは効果が得られず、せっかくの苦労が水の泡になってしまう。このため、ガバナンスドキュメントは最新に保つ必要がある。そうすれば、かなりの問題を未然に防げること請け合いだ。
本稿筆者のブライエン・M・ポージー氏は、Windows Server、IIS、ファイルシステム/ストレージ、Exchange Serverに関する仕事でMicrosoft MVP(Most Valuable Professional)アワードを5回受賞した。全米規模の病院/医療施設チェーンでCIO(最高情報責任者)を務めた経験を持つほか、フォートノックス(ケンタッキー州にある米軍施設)でネットワーク管理者を務めたこともある。
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