有用な機能だが……
IE 8のセキュリティ機能、生かすにはユーザー教育が必要
SmartScreenフィルターやInPrivateブラウズなど、IE 8では幾つものセキュリティ機能強化が図られたが、その恩恵を受けるためにはエンドユーザーに知識を伝える必要がある。
Windows Internet Explorer(IE) 8には、IT担当者が理解しなければならないセキュリティ機能とプロダクティビティー機能が幾つもある。だが、組織が有用な機能改善の恩恵を受けるためには、セキュリティ機能についての知識を手早くエンドユーザーに伝える必要がある。
ITセキュリティの担当者には「Internet Explorer 8 Technology Overview for Enterprise and IT Professionals」の一読をお勧めする。セキュリティ担当者はこれを読んで、IE 8をIE 7と比べた場合のパフォーマンスとセキュリティ機能強化について、従業員向けに概説書を作成するといいだろう。
MicrosoftはIEを、ITで管理された企業とコンシューマーの両方に利用してもらうために開発した。両方のニーズを満たすのは難しい。セキュリティ機能やプライバシー機能の中にはIT部門が集中管理するものもあれば、ユーザー研修と啓発頼みになるものもある。クロスサイトスクリプティング(XSS)防止やデータ実行防止といった、一連のXSS攻撃やバッファオーバーフロー攻撃を難しくする機能もある。以下に理解しておくべきIE 8のセキュリティ機能を説明する。
SmartScreenフィルター
Microsoftのレピュテーションサービスを利用して、フィッシング詐欺やマルウェア配布との関連が分かっているWebサイトにアクセスできないようにする。今や攻撃の50%以上がWebベースであり、攻撃経路としては電子メールをはるかに上回っている。レピュテーションサービスではフィッシングや悪質コードの拠点と関連の深い一過性サイトを認識することにより、従来の定義ファイルを使ったエンドポイント防御を強化できる。SmartScreenフィルターでは、評判の悪いURLに行き当たるとブラウザのウィンドウが赤くなり、アクセスが遮断される。IT担当者はグループポリシーの設定を調べ、ユーザーがSmartScreenフィルターの指示を無視できないようにした方がいい。
InPrivateブラウズ
閲覧履歴、インターネット一時ファイル、フォームに入力したデータなどの個人情報を消去する。一時ファイルやcookie、社内ページURLをポータブルエンドポイントから消去できる機能は、ユーザーが会社のWebサイトを通じて業務を行う際の情報漏えいのリスクを低減する一助となるかもしれない。この機能は、コンシューマーの閲覧習慣を提携サイトに知られてしまうことを防ぐためのユーザー指向機能として設計されたものだが、ブラウザ経由の重要情報流出を減らす一助となり得る。
タブの孤立化
クラッシュから復旧させる機能として宣伝されているが、IT部門にとっての真価は、これによってほかのブラウザセッションのことを攻撃側に知られにくくなることかもしれない。IE 8で新しいタブを開くと、Browser Helper Object(BHO)やActiveXコントロールも含め、孤立性を強めた別のプロセスで新しいセッションが開始される。このアプローチは「Loosely-Coupled Internet Explorer」と呼ばれ、1つのタブのエラーが別のタブに影響を与えるのを防ぐ一助となるが、攻撃を防ぐためのよりセキュアなアプローチともいえそうだ。
ほかのどんなブラウザでもそうだが、MicrosoftのIE 8にも脆弱性はあるだろう。しかしこれで悪質コードが入り込みにくくなるのは間違いない。IE 8の役割は、SmartScreenフィルター、InPrivateブラウズ、タブ孤立化、データ実行防止といった機能を通じて悪質コードとの接触を避けることにある。IT担当者はこれに加えてホワイトリスティング、攻撃シグネチャのパターン照合、行動経験則といった従来のエンドポイントセキュリティ措置を講じ、発見可能なマルウェアの回避と駆除に努めればいい。MicrosoftがIE 8に導入したセキュリティ機能により、ITサービスセンターがソフトウェアの復旧を頼まれる件数は減るはずだ。
本稿筆者のエリック・オグレン氏は、仮想化とセキュリティに特化した業界分析サービスをベンダー向けに提供しているOgren Groupの創業者で主席アナリスト。Ogren Group創業以前はYankee GroupとESGでセキュリティ業界アナリストを務めていた。セキュリティを手掛ける新興企業Okena、Sequation、Tizorのマーケティング担当副社長も歴任している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー