ビジネス主導型構想
BPMプロジェクト成功のカギとは
プロジェクトマネジャーは業務部門のニーズを把握するとともに、どのプロセスの改善が最大の価値を実現するかを理解することが不可欠だ。
BPM(ビジネスプロセスマネジメント)はビジネス主導型の構想であり、技術的ソリューションはそれを支援するものだ。それ故、ITプロジェクトマネジャーはBPMの技術ソリューションのトレーニングを受けるだけでなく、業務部門のニーズを把握するとともに、どのプロセスの改善が最大の価値を実現するかを理解することが不可欠だ。
「ITスタッフがBPMプロジェクトを指揮すべきではない。大混乱を招く結果になるからだ」と話すのは、BPMソフトウェアがビジネス戦略に与える影響の評価を専門とする米BPM Focusの創業者、デレク・マイアーズ氏だ。「業務部門自身がBPMプログラムを主導しないと長続きしない。BPMは業務部門による、業務部門のための、業務部門のプロジェクトなのだ」
米Carrierのエネルギーサービス子会社Norescoの場合、当初BPMはIT部門の管理下にある技術ソリューションだった。しかしBPMの対象となる業務が増えるのに伴い、BPMは業務部門が統括するプロジェクトとなった。「今では、業務部門の意思決定を支援することが、プロジェクトの最大の目的になった」と話すのは、Norescoの情報システム部門のディレクターを務めるクリス・ジョンストン氏だ。「われわれがこのプロジェクトを業務部門から取り戻そうとすると、大混乱が生じるだろう。今では、彼らはこの体制でわれわれと共同作業をするのにすっかり慣れてしまった」
では、BPMプロジェクトを立ち上げ、ITスタッフがBPMのビジネス目標を理解し、自動化や再マッピングによって最大の効果が得られるのはどのプロセスなのかを判断するのに必要なBPMトレーニングを受けるようにするには、どういった取り組みが必要なのだろうか。
BPMチームを設立する
BPMプログラムを立ち上げるための最初のステップは、誰がプロジェクトを統括するかを決めることだ。大抵の場合、BPMプロジェクトはIT部門の支援を受けて業務部門が主導するという形で進めるのが最もうまくいく。プロジェクトを推進するリーダーとして、BPM担当あるいはプロセス担当副社長といったポジションが設けられることも多い。このポジションは通常、CIOと同レベルの権限を有し、CIOとともに経営トップ(CEOなど)に直属する。
「これが理想的な体制だ」と語るのは、米調査会社Forrester Researchの上席アナリスト、クレイ・リチャードソン氏だ。「業務プロセスの視点からプロジェクトを理解していないCIOに予算を削られるのは困るからだ」
BPMプロジェクトは、COE(センターオブエクセレンス)を通じて一元的に管理されることが多い。BPMでPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)に相当するのがCOEだ。COEに配属されるプロセスアーキテクトまたはプロセスアナリストは、業務部門と協力して、BPMによってどのプロセスを修正あるいは変更すべきかを決定する。必要に応じて、開発者やITプロジェクトマネジャーもBPMプロジェクトに参加するよう求められる。
「プロセスアナリストあるいはアーキテクトは、プロセスの複雑性、プロセスにかかわるシステムおよび関連部署の数を把握するためのマップを作成する必要がある」とリチャードソン氏は話す。「システムおよび関連部署の数が多いほどプロジェクトが複雑化する」
Norescoのジョンストン氏は、BPMプロジェクトでITプロジェクトマネジャーとシステム管理者を、業務プロセスのオーナーおよび法務部門に協力させている。「われわれはIT部門で幾つもの役割を演じている。このため、プロセスアナリストという役割を担当する資格があるITスタッフはたくさんいた」とジョンストン氏は話す。
この役割で特に重要な部分は、BPMツールだけではなくプロセスを理解することだ。
「プロセスアナリストは、BPMの成功につながる構造型アプローチを開発する方法を訓練する必要がある」とBPM Focusのマイアーズ氏は指摘する。「プロセスモデリングとプロセスアーキテクチャのための特殊スキルも必要だ。こういった訓練は、プロセスの設計および経験の蓄積という点でもプラスになる」
資格認定というアプローチも有効だ。リチャードソン氏によると、CIOはITプロセスアナリストを対象としたBPM資格認定プログラムの導入を検討すべきだという。プロセス選択のフレームワークを提供し、大局的な見地から個別プロセスの問題に対処するスキルを獲得させるのが目的だ。
ジョンストン氏は「IT部門のBPMチームにコミュニケーションスキルを身に付けさせることが重要だ」と強調する。BPMの要は、業務部門と意思疎通を行い、彼らに正しい質問をすることにある。例えば、「このプロセスを改善したいのはなぜか?」とか「このプロセスには本当に価値があるのか?」といった質問だ。さらに同氏は、ITスタッフに対して、「ソリューションモード」に入ることのないよう注意しているという。業務部門は技術を求めているのではなく、プロセスについて議論したいと考えているのだ。
リチャードソン氏は「IT部門はビジネスユーザーの信頼を獲得するために、プロジェクトの最初の時点で彼らの話をよく聞き、適切なときに専門性を発揮することが大切だ」と注意を促している。
「IT部門がビジネスに精通するようになれば、多くのフィードバックをプロセスに提供することができ、BPMチーム内で信頼されるようになる」とリチャードソン氏は語る。
さらにIT部門は、BPMプロジェクトのスケジュールに関する潜在的な問題(並行プロジェクトやシステム準備の問題で遅延が生じる可能性があるなど)を指摘することによって存在価値を高めることができる。
結局、ITの目標は「人々が“できるだけ短時間で最大の価値を与えてくれるのは何か?”という考え方をするように仕向けることだ」とリチャードソン氏は語る。
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