導入前に検討すべきポイント
クラウドストレージの5つのベストプラクティス
クラウドストレージへの移行の効果を最大限に高めるのに役立つベストプラクティスを5つ紹介する。
これだけは押さえておきたいクラウドストレージ活用のポイント
クラウドストレージはまだ使われ始めて日が浅いが、われわれは管理者などの専門家から、この技術への移行の効果を最大限に高めるのに役立つベストプラクティスを集めた。以下に紹介するこれらのベストプラクティスは、この技術をすぐに導入するか、あるいは将来導入するかにかかわらず有益なものだ。
ベストプラクティス1 サービスレベル契約を精査する
クラウドプロバイダーから提供されるサービスレベル契約(SLA)を利用するに当たっては、十分な注意を払う必要がある。つまり、締結前にSLAを精査しなければならない。
「データのリカバリや破損防止の保証といった事項が非常にあいまいなSLAを提供する大手プロバイダーが幾つかある」と、ベスイスラエルディーコネス医療センター(BIDMC)のストレージアーキテクト、マイケル・パース氏は2009年、Storage Decisionsカンファレンスのあるセッションで語った。「文言の具体的な内容を把握しなくてはならない」
Enterprise Strategy Group(ESG)のシニアアナリスト、ローレン・ホワイトハウス氏は、SLAの中で綿密に確認する必要がある領域の1つとして、データアクセスを挙げた。
「SLAは一般的に、データアクセスではなくサービスへのアクセスにかかわるものだ」と同氏。「大抵の場合、サービスが10分以上ダウンしなければ、サービスの停止と見なされない。つまり、9分間の停止が1時間に2回発生しても、サービス停止としてカウントされない。こうした停止があっても、プロバイダーは請求金額を調整するだけだ。このようなやり方が当たり前になっている。このため、『データアクセスについてはどうなるのか』を確認しなければならない」
ベストプラクティス2 ビジネスニーズに対応する
スウェーデンの4万人の農場主がオーナーの食品企業Lantmannenは、EMCのストレージとRiverbed TechnologyのWAFS(ワイドエリアファイルサービス)デバイスでプライベートクラウドを構築し、運用初年度に600万ドル以上のコストを削減したと、Lantmannenの最高セキュリティ責任者(CSO)、デニス・ジャンソン氏は語った。
ジャンソン氏によると、このクラウドは、ユーザーがWebインタフェースで必要なアプリケーションタイプを選ぶようになっている。各サービスには料金とSLAが設定され、エンタープライズセキュリティ管理アプリケーションが統合されているという。
「われわれはビジネスニーズに対応できている」と、ジャンソン氏は同社のクラウドのサービスラインアップについて語った。「ユーザーが必要とするアプリケーションは何かを判断するのは、われわれの責任だ」
同氏によると、クラウドは「統合、仮想化、標準化を一言で言い表す言葉」だという。
ベストプラクティス3 既存リソースを転用する
オンライン広告代理店Gorilla Nation Mediaは、顧客向けのクラウドと自社の社員向けのクラウドを構築した。同社は構築に当たり、既存の社内サーバとクラウドベンダーのParaScaleのHyper-scale Storage Cloudソフトウェアを使って、非構造化データ用にオブジェクトベースのクラスタNASシステムを開発した。Gorilla Nationの技術担当副社長、アレックス・ゴーデルマン氏は、高価なNASシステムをクラウドに置き換えたと語った。
「社内クラウドを拡張するにはノードを追加するだけでよい」とゴーデルマン氏。「システムの設計も非常にシンプルだ。余計な手間が掛からず、そのまま使えると言ってもいいくらいだ。それに、このクラウドでは多額の投資を行った既存リソースが有効活用されている。つまり、われわれはただ同然のコストでシステムを構築できたわけだ」
ベストプラクティス4 将来に備える
自社ではクラウドを利用する準備がまだ整っていなくても、あるいは、クラウドがまだ自社の要件を満たしていなくても、クラウドが今後、自社にどのように役立つかを検討し始めるとよい。
MGM Mirageのシステムアーキテクチャディレクター、チャールズ・シェパード氏は、技術の進歩により外部プライベートクラウドが実現可能な選択肢になったら、その構築を考えると語った。
「Fibre Channel over イーサネット(FCoE)が今後5年間に完全に実用的なものになって広く普及し、標準化が浸透したら、データセンターの外に本格的なクラウドを構築する条件が整ったと判断する」とシェパード氏。「10Gビットイーサネット(10GbE)や100Gビットイーサネット(100GbE)のような十分太い通信回線が利用できれば、データベースインタフェースからクラウド上のバックエンドに円滑に書き込み操作を行えそうだ」
FCoEは、クラウドの重要な要素であるマルチテナント方式にぴったりだろうと、シェパード氏は語った。
「FCoEは本質的に、社内外のマルチテナント環境に合うようにネットワークをセグメント化するようになっている」(同氏)
ベストプラクティス5 隠れたコストに注意する
クラウドストレージプロバイダーは、企業が保存する必要のあるデータ容量に基づいて月間コストを見積もるのに役立つよう、クラウドストレージの1Gバイト当たりの基本料金を企業に知らせるだろう。しかし、そうした基本料金はコストの一部にすぎない。プロバイダーは、データ転送、メタデータ機能、あるいはファイルのコピーや削除に追加料金を課すかもしれない。また、T1回線などによるクラウドへの接続コストも忘れてはならない。
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