Hyper-VとVMware vSphereのライセンス対決
ライセンスが簡素化された「System Center 2012」、VMwareに対する優位性は?
マイクロソフトは、仮想環境を管理できるソリューションスイート「System Center」のライセンス体系を2つに簡素化する。これによってVMware vSphereの牙城を切り崩すことはできるのか?
2012年、米Microsoftの「Hyper-V」と米VMwareの「VMware vSphere」の対決が繰り広げられるのは間違いない。仮想化ユーザーが両者の競争から恩恵を受けるのは確実だ。
Microsoftは1月17日、仮想環境を管理できる同社の運用管理ソリューションスイート「System Center」のライセンスと料金体系の簡素化を打ち出した。
同社は、System Centerの次期バージョン「System Center 2012」の新しいRC(リリース候補版)をリリースした。System Center 2012では、これまで8つに分かれていた管理製品を1つのパッケージに統合することを明らかにした。
System Center 2012はライセンスが簡素化され、サーバマネジメントライセンス(サーバML:サーバを管理するためのライセンス)が、これらのコンポーネント製品を全てバンドルした「Standard Edition」と「Datacenter Edition」という2つのエディションのみを提供することとした。Datacenter Editionでは、従来のSystem CenterにおけるサーバMLスイートの1つである「Server Management Suite Datacenter(SMSD)」と同様に、1つのライセンスで無制限の台数の仮想マシン(VM)がサポートされている。
「System Center 2012ではアーキテクチャが変更され、コンポーネント製品全体にわたってパフォーマンス管理や自動化といった仮想化管理機能が豊富に提供されている」と、米IDCのエンタープライズシステム管理ソフトウェアチームのアナリスト、メアリー・ジョンストン・ターナー氏は語った。
狙い撃ちされたVMware
Microsoft幹部は、System Center 2012の新しいバンドル構成とライセンス体系を発表した際、これらはライバルのVMwareに対抗したものだと率直に認めた。VMwareは、Microsoftのこうした新方式とは対照的に、「VMware vSphere 4.1」以来、「VMware vCenter Operations」や「VMware vCenter Site Recovery Manager」といった管理製品ごとに、VM単位でライセンス料を請求している。さらに、「VMware vSphere 5」では、1ライセンスで使用できる仮想RAM量の上限を新たに設定している(参考:ユーザーが物議を醸す、VMware vSphere 5の新しいライセンス)。
VMwareがこのようにライセンスモデルを変更したのは、物理CPUソケット単位でライセンスを提供し続けるのではなく、クラウド型の従量制ライセンスモデルにユーザーを移行させるためだ。一部のユーザーは、ソケット単位のライセンスよりも、VM単位のライセンスの方が実は効率的だと主張している。このライセンスが適用される製品は、使う分だけ料金を支払えばよいからだ。
Hyper-Vに注目するVMware顧客
Microsoftは、次期サーバOS「Windows Server 8(コードネーム)」に搭載される次期バージョンのHyper-Vをまだリリースしていない。同社がVMwareに対抗する万全の態勢を整えるには、この次期バージョンが必要だ。
それでもHyper-Vの現行バージョンは、ライブマイグレーションなど基本的な機能に関しては、VMware vSphereに追い付いており、VMwareの顧客も注目している。
「われわれのVMは、今のところ2対1くらいの割合で、VMwareベースのものがHyper-Vベースのものよりも多い。われわれは数年前からVMwareを使っているからだ」と、米ワシントン大学のネットワーキング&オペレーションマネジャー スコット・ラデウィグ氏は語った。「新しいVMは、全てHyper-Vで作成、運用するようになっている。いずれ将来は、われわれの仮想環境はHyper-Vで統一されると思う」
米Lyrisのオペレーション&IT担当副社長 ナサー・マーザイ氏は、Windowsサーバの運用も統括しているが、同氏のチームが運用しているメインのOSは、Red Hat Enterprise LinuxやCentOSだ。だがMicrosoftは、「魅力的な提案を行っている」と同氏は語り、Hyper-Vの実用性や安定性について良い評判を聞いていると付け加えた。
「Microsoftのバンドルパッケージの料金は、間違いなく魅力的だ。とはいえ、MicrosoftのハイパーバイザーでWindows以外のOSを運用するのは大変だ」(マーザイ氏)
VMwareは、MicrosoftのSystem Center 2012の新しいパッケージ構成とライセンスモデルについてコメントを控えた。
System Center 2012のライセンスの詳細
前述したように、System Center 2012のサーバML(マネジメントライセンス)は、Standard EditionとDatacenter Editionのみで提供される。両エディションの違いは、1つのライセンスでカバーされるVMの台数またはオペレーティングシステム環境(OSE:Microsoft用語)の数のみだ。
Standard Editionは、管理対象が物理サーバまたは小規模な仮想環境である場合に適しており、1つのライセンスで2個の物理プロセッサと2台のVMまたは2つのOSEをカバーする。
Datacenter Editionでは、1つのライセンスで2個の物理プロセッサと無制限のVMまたは無制限のOSEをカバーする。
これらのエディションには、いずれもSystem Center 2012の8つのコンポーネントが全て含まれており、これらのコンポーネントは単体では提供されない。これらのコンポーネントの1つとして、仮想環境を管理するための「System Center 2012 Virtual Machine Manager」がある。このVirtual Machine Manager新版には、Server App-Vという新しい仮想化機能などが追加されている。これまでVirtual Machine ManagerのサーバMLは、スイート製品の一部および単体で提供されてきた。
また、System Center 2012では、ライセンスモデルが変更されるだけでなく、コンポーネント間の新しい統合機能も提供される。例えば、「Operations Managerのアラートによって自動的にService Managerが問題の修正指示を出し、これを受けてOrchestratorがVirtual Machine Managerを利用して修正タスクを実行する」と米ダートマスヒッチコック医療センターのシニアシステムエンジニア ロブ・マクシンスキー氏は語った。
「デモを見た限りでは、これまでよりも統合が強化されている。しかし、全てのコンポーネント製品を1つの画面で管理できるようにはなっていない」(マクシンスキー氏)
System Center 2012の定価は、Datacenter Editionが1ライセンス当たり3607ドル、Standard Editionが1ライセンス当たり1323ドルとなっている。Microsoft Partner Networkサイトによると、現行のSystem CenterのサーバMLのスイート製品であるServer Management Suite Datacenter(SMSD)は1ライセンス当たり1310ドル、Server Management Suite Enterprise(SMSE)は1ライセンス当たり1569ドルだ。
System Center 2012と現行のSystem Centerのライセンス料を比較するのは難しい。System Center 2012の両エディションは、1ライセンスで2個のプロセッサがカバーされるのに対し、SMSDはプロセッサごとにライセンスを購入する必要がある上、2プロセッサ以上から購入可能であり、SMSEは物理サーバごとにライセンスを購入する必要があるからだ。
また、System Center 2012 Datacenter EditionとSMSDは、1つのライセンスで無制限のVMをサポートするが、System Center 2012 Standard EditionとSMSEは、1つのライセンスでそれぞれ2台、4台のVMをサポートする。
さらに、バンドルされるコンポーネントの数も、System Center 2012の両エディションはそれぞれ8つだが、SMSDとSMSEはそれぞれ4つだ。このことは、System Center 2012の両エディションは、SMSD、SMSEよりも機能が拡充されていることを意味する。
Microsoftは、System Center 2012 RCのリリースを機に、顧客とパートナーに対して直接、個別の状況と将来のニーズを踏まえて、料金体系を明確に説明しようと努めていると、Microsoftの広報担当者は電子メールで述べている。
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