アクセス解析ツール「Adobe SiteCatalyst」導入事例
【事例】住宅情報サイト「SUUMO」が教えるWebサイトKPI達成施策の選び方
企業はWebサイトの効果をどのような数値を用いて分析すべきか。また、WebサイトのKPIを達成するための施策は何を基準に決めるべきか。住宅情報サイト「SUUMO」には、施策決定の指標にしている4つのポイントがある。
訪問者数750万人、1億5000万PV(共に月間)を誇る日本有数の住宅情報サイト「SUUMO(スーモ)」。同Webサイトを運営するリクルート 住宅カンパニー ネット推進室 エバンジェリスト 小川 卓氏は、2012年6月に開催されたアドビ システムズ主催のイベントに登壇。同社で導入しているアクセス解析ツール「Adobe SiteCatalyst」(以下、SiteCatalyst)の導入効果を語った。同じくSiteCatalystの導入事例として紹介した、「【事例】Webサイト価値ランキング1位、ANAのWeb分析戦略」では、行動分析によるターゲティングメールの開封率向上や、スマートフォン効果分析、ソーシャルメディアの活用といったANAの施策を紹介した。本稿ではSUUMOにおけるWebサイトでの目標設定手法、目標達成のための施策の考え方を紹介する。
売り上げ目標を達成するために必要なWebサイトの反響数を設定
同社では、アクセス解析ツールのSiteCatalyst、ABテスト/多変量テスト解析ツール「Adobe Test&Target」、セグメンテーションツール「Adobe Discover」などを利用し、日々のWebサイトの効果と訪問者の分析を実施している。売り上げ目標に対するWebサイトの効果として「反響数(資料請求数)」を重視しており、以下の計算式を用いて年間の目標反響数を設定しているという。
- 売り上げ目標=売上単価×反響数
まず、「1資料請求数当たりいくらになるか」という売上単価を換算し、「マンション」「賃貸」「戸建」といった領域ごとの目標反響数を設定する。そして需要のピーク時(住宅の需要は特に1月や3月が大きい)や、テレビCMの実施、リスティング広告への予算などといった年間の施策予定を加味しながら、Webサイトにおける月ごとの必要反響数を設定している。
Webサイト横断の見立てとしては、例えばSEMでどれだけ売り上げが伸びるのか、バナーやリスティング広告にどれくらい予算を割け、それがどれくらい売り上げにつながるのかを過去のトレンドを見ながら分析していく。さらにそれを「北海道」「東北」「関東」といったエリアに細分化し、過去4年間分の資料請求数や目標達成率を見ることで、エリアごとの目標反響数や流入量をKPIとして設定している。
Webサイトにおける反響数をシミュレーション
一方で同社は、反響数の源泉となる流入数を稼ぐために、バナー広告やリスティング広告をはじめとするさまざまな外部からの集客施策を実施している。そのため、「どの集客先からどれくらいの流入があり、コンバージョン率はどれほどか」といった分析に欠かせない予測システムをSiteCatalystで構築している。この予測システムでは、過去のコンバージョン率やトレンドを加味しながら集客先の流入数を指定することで、反響数のシミュレーションが可能だ。これにより、例えば「賃貸」領域は「関東」「関西」エリアでは目標反響数を達成するが、「北海道」エリアは達成しない、といったことが分かる。その後は「賃貸」「新築」などの領域ごとに、実施するキャンペーン施策を踏まえた固有の変数を設定していくことで、さらに目標反響数のシミュレーション精度を上げていくことができる。
「このシミュレーションを行えば、全体で目標反響数を達成できるか、エリアごとに達成する、しないといった議論ができる。逆にどのくらい足りないかも見えるため、例えば年間で1万件の資料請求が欲しいのに現状が9500件、このままでは500件足りないといった場合に、達成のために打つ施策ではどの数値をいくら上げればいいかを洗い出すことができる」(小川氏)
これは、集客数やコンバージョン率、遷移率といった数値を「あとどれくらい足せば目標反響数を達成できるのか」が分かるということだ。例えば、「Webサイトの住宅情報一覧ページから個別の詳細ページへの遷移率34%を39%まで上げれば、他のところは動かさずに目標を達成できる」といったことを、全てシミュレーションしていく。また、PC、モバイル、スマートフォンのシェアが現在日々変動しているため、端末ごとのコンバージョン率も加味することで、さらにシミュレーションの精度を上げていくという。
目標達成に必要な施策の選び方
では、シミュレーションの結果、実際に打つ施策はどのように決定するのか。一口にWebサイトへの流入や資料請求を増やす施策といっても、効果を上げる施策は前述したようにさまざまある。小川氏は以下4つの要素を基準に、実施施策を決定していると説明する。
- ボリュームが多いもの
- 改善効果が見込めるもの
- 施策が行いやすいもの
- コストが掛からないもの
まず重視するのは、その施策によって改善のボリュームが大きいものだ。そして、改善効果としては、これ以上予算投下しても逆に効率が悪くなるところも存在する。そういった施策は無理に実施せず、あくまで効果が見込める施策を重視する。また、コストに関しては、少ないほど社内スキームもスムーズに動かしやすい。これらを指標に改善施策を実施して、毎月の状況をモニタリングしていくという。
同社におけるWebサイトの効果指標は、「売り上げ目標」が起点になっていることが大きな特徴だ。売り上げのために必要な資料請求数の目標を定めることで、領域、エリアといった細分化した資料請求数の目標が可能になる。そこまで落とし込んだ数値をKPIとして設定することで、迷うことなく各施策を実施できているといえるだろう。また、Webサイトのデザイン変更効果やリスティング広告の効果なども、過去の実績と投下可能な予算を加味することで精度の高いシミュレーションを実現している。Webサイトにおける効果指標はさまざまあり、どの数値をもって成功とするかは意見が分かれるところだろう。同社のようにまずは売り上げ起点の目標を設定することで、Webサイトの効果を全社に示すことができるだけでなく、顧客窓口の重要なチャネルとしてのWebサイトの意義を確立できるのではないだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] 「回線速度不足」だけが原因ではない? Web会議の遅延を解決する方法とは -
製品資料
[東京エレクトロン デバイス株式会社] 工場の可用性向上に重要な「7つの領域」と対策 OTセキュリティ強化の基礎知識 -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 問い合わせ対応で本来の業務が進まない、総務や情シスの負担をどう減らす? -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 自社データから高精度な回答を生成、簡単に生成AIチャットボットを構築する方法 -
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] IT運用や従業員サポートは生成AIでどう変わる? 使い方や導入の流れは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
4
ITエンジニア1265人調査 生成AIを使い込むほど「人の確認」が重い理由
-
5
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
6
機械学習について、正しく説明している文章はどれ?
-
7
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
8
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
9
動くコード=安全ではない AIコーディング爆速化でセキュリティ崩壊を防ぐ鉄則5選
-
10
マンガで解説:KSK2稼働で何が変わる? 税務調査の高度化に備えるデータ管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
8
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー