アプリケーション仮想化Q&A【前編】
専門家が解説する、2つのアプリケーション仮想化
アプリケーション仮想化とはどのような技術で、どのような場合に有効か。専門家のアラステア・クック氏が解説する。
仮想デスクトップとリモートデスクトップがIT環境に浸透し始めると(モバイルデバイスは言うまでもなく)、IT管理者はエンドユーザーにアプリケーションを提供するための新しい方法を模索するようになった。ここで検討する価値のある1つの方法はアプリケーション仮想化である。
アプリケーション仮想化には、リモートアプリケーションとストリーム配信のアプリケーション(以下、アプリケーションストリーミング)がある。リモートアプリケーションは、クライアントデバイスではなくリモートサーバ上で実行される。一方、ストリーミング配信のアプリケーションの場合は、アプリケーションはローカルコンピュータ上で実行される。一部のコンポーネントだけをダウンロードし、ネットワーク接続がなくても動かすことが可能だ。
こうしたアプリケーション配布方法には幾つか利点がある。例えば、IT部門のプロビジョニングコントロールの強化、システムの一元管理、パッチ適用やアップデートの容易さなどだ。しかし、必ずしも全てのアプリケーションがリモートやストリーミングで機能するわけではなく、管理者はしばしばネットワーク帯域幅の問題などに直面することになる。
ここでは、アプリケーション仮想化がどのように機能し、どのような場合に有効か、専門家のアラステア・クック氏が解説する。
アプリケーション仮想化はどのように機能するのか?
クック氏 リモートアプリケーションおよびアプリケーションストリーミングでは、ユーザーのデバイスにインストールされていないアプリケーションを実行する。リモートアプリケーションは、データセンターのコンピュータ上で動いている。アプリケーションストリーミングは、実際にはユーザーのデバイス上にあるネットワーク共有で実行される。
ユーザーがさまざまなデバイスからアクセスする場合は、リモートアプリケーションが有利だ。例えば、今日はiPadを使うが、明日は自宅のPCを使うというようなケースである。アプリケーションストリーミングは、アプリケーションに高い応答性を望む場合に向いている。なぜなら、アプリケーションがユーザーのデバイス上で実行されるからである。ただし、アプリケーションの利用はネイティブで実行できるOS上に限定される。つまり、Windowsアプリケーションなら、デバイスはWindows PCでなければならないということだ。
アプリケーション仮想化の利点には、他にどのようなものがあるか?
クック氏 アプリケーションストリーミングは、最新バージョンのアプリケーションの配布が非常に容易だ。新しいアプリケーションをラップしてネットワーク共有かレプリケーションポイントに置くだけで、全てのユーザーが利用できるようになるからだ。
また、アップグレードごとにソーシャビリティテスト(対象環境でのアプリケーションの総合的な有用性を測定するテスト)をする必要がなくなる。基本的には仮想化ファイルシステムとアプリケーションのレジストリを提供するランタイムを置くだけなので、アプリケーションそのものはサンドボックスの中で実行され、同じ環境にインストールされた他のアプリケーションに影響を及ぼすことはない。
リモートアプリケーションは、パッチの適用やアップグレードでも大きなメリットをもたらす。ユーザーはデータセンターで実行されているアプリケーションにアクセスするため、管理者側は高い接続性を有していることになる。データセンター内で実行される限り、WANが絡むアップデートのような困難さはない。
仮想化はアプリケーションのパフォーマンスにどう影響するか?
クック氏 アプリケーションストリーミングの場合、ファイルシステムとレジストリの仮想化によって多少影響が出る。アプリケーションの実行速度が少し低下する可能性はあるが、ユーザーインタフェースはデバイスのネイティブスピードで動く。
リモートアプリケーションの場合、実行速度は大幅に向上する可能性が高い。というのも、アプリケーションはデータセンターの高性能な機器で実行されるからだ。しかし、ユーザーインタフェースは、ユーザーがどこにいようとリモートにならざるを得ないため、データセンターとユーザーデバイス間のネットワークに大きく依存することになる。携帯電話などの非力なデバイスでアプリケーションにアクセスする場合、処理速度の問題が出てくるだろう。
後編では、引き続きクック氏がアプリケーション仮想化の課題や主要製品について解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
アプリケーション仮想化Q&A
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー