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電力小売りの全面自由化など電力システム改革に必要なIT要件を解説――日本オラクル
政府が進める、小売・発電の全面自由化や一般電気事業者の分社化などの「電力システム改革」。関連法案の成立を受けて、より具体的な事業展開の検討が進められている。改革推進に必要なIT要件を日本オラクルの専任組織が解説した。
日本オラクルは2013年12月18日、同社が同年4月25日に設立した「電力システム改革推進室」の活動内容を報道機関に説明した。電力システム改革推進室は、政府が2013年4月2日の閣議で決定した「電力システムに関する改革方針」を受け、その改革の支援活動を行うための専任組織だ。
政府は、電力システム改革の3本柱として
- 広域系統運用(各電気事業者の営業区域を越えた電力のやりとり)の拡大
- 小売りおよび発電の全面自由化
- (一般電気事業者における)法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保(発送電分離)
を掲げている。
電力システム改革推進室では“小売り・発電の全面自由化”“発送電分離”の2つをITが貢献できる領域に位置付け、米Oracleの公共事業向け専任組織「Oracle Utility Global Business Unit」と連携する体制を構築(図1)。国内の既存の電力・エネルギー事業者や新規参入を検討する企業、関連官公庁、自治体に向けた情報提供、製品・サービスの提案などを実施している。
日本オラクルの常務執行役員 通信・公益・メディア営業統括本部長 三露正樹氏は、推進室設立後の電力システム改革における環境の変化として、2013年11月13日に「電気事業法の一部を改正する法律」(以下、電力システム改革法)が成立したことを挙げる。「法律が成立したことで、日本オラクルの顧客企業や新規参入を検討する企業、業界団体などの関心がより高まり、情報収集の問い合わせが増えた。電力システム改革推進室では、成功事例だけでなく、失敗したり苦労したりした点などを含めた海外の事例を継続的に提供している」(三露氏)
電力システム改革法とは?
電力システム改革法は、改革の3本柱の1つである「広域系統運用の拡大」などを実現することで、電気の安定供給の確保や具体的な実施時期を含む改革の全体像を法律上明らかにしたものだ。政府は3本柱の実現を3段階に分ける方針を掲げており、電力システム改革法では第1段階として以下の4項目を推進している。
- 広域的運営の推進
- 自己託送(企業が自家用発電設備で発電した電気を、電気事業者のインフラ経由で他の施設へ送電する)制度の見直し
- 電気の使用制限命令に係る制度の見直し
- 電力システム改革の段階的な実施に関するプログラム規定の整備
日本オラクルの電力システム改革推進室 室長 田積 まどか氏は、電力システム改革推進室の活動には、(4)電力システム改革の段階的な実施に関するプログラム規定の整備が関連すると説明。この項目では「電気の小売業への参入の全面自由化を2016年をめどに実施し、そのために必要な法律案を2014年の通常国会に提出すること」「送配電部門の法的分離を2018年から2020年までをめどに実施し、必要な法律案を2015年の通常国会に提出すること」などを規定している。
電力システム改革推進室の活動報告
こうした状況を踏まえて、田積氏は「電力システム改革推進室では『海外の先進事例の紹介』『電力改革に対応するシステム提案』『パートナーとの協業体制の強化』に取り組んできた」と説明し、電力システム改革推進室の具体的な活動内容を紹介した。
海外の先進事例の紹介の取り組みとしては、フランス電力(EDF)のIT部門ディレクターなど海外の電力会社の関係者を国内のイベントに招聘したり、Oracle Utility Global Business Unitメンバーが海外の規制緩和や発送電分離に関する情報発信などを実施。田積氏は「フランス国営の電気事業者であったEDFは規制緩和や新規参入などを受け、垂直統合型の運用体制から発送電部門を法的に分離した実績がある。同社の事例は、経営モデルが似ている日本の電気事業者の関心も高かった」と説明する。
また、フランスでは法律制定から実際の電力完全自由化まで20年掛かったことを紹介し、「ITは電力システムの改革を進めるために不可欠な要素。Oracle1社だけでは改革を支援するシステム基盤を構築できないため、システム開発ベンダーや関連製品メーカーと協業して取り組んでいる」(田積氏)。
電力改革に対応するシステムとしては、スマートメーターデータ管理や新メニュー体系に対応する料金計算請求管理、大量データを処理可能なシステム基盤などに関する製品・サービスを提案。さらにパートナー向けフォーラムの開催や公共事業向け製品群「Oracle Utility」の説明、トレーニングプランの提供などによる協業体制の強化を図っている。
電力システム改革に必要なシステム要件
田積氏は“小売・発電の全面自由化”“発送電分離”の2業務を支援するITの要件を解説した。小売・発電の全面自由化では、新規参入を含めた関係企業が増えることで、企業間での取引に関するやりとりが頻繁に発生することになる(図2)。そのため、市場取引メッセージ連携基盤が必要になるという。また、電気事業者の送配電網を発電事業者や小売事業者が利用する際の託送料金管理や、価格競争下での適切な料金設定を支援する料金計算請求・顧客サービス、電力の需給状況を可視化できる機能などが必要になると説明する(図3)。
経済産業省の政策審議会の1つである「電力システム改革専門委員会」(第11回 2013年1月21日)では、業界団体である電気事業連合会が「法的分離にはITシステム整備などで9社で約4100億円の負担が必要」という試算を公表するなど、分社・法的分離に伴うIT投資のコスト増も課題の1つだ。
電気事業者における発送電部門の分社・法的分離では、分社化したことで各社間の“情報遮断”が起きないシステムが必要になる(図4)。各事業固有のシステムを構築しつつ、横断で利用する機能や事業者間の連携なども求められる。さらに、人事給与・会計・購買などのグループ企業で共通の管理業務システムを利用することが望ましい。そのため、コンプライアンスやセキュリティ機能が強化されたIT基盤が重要になるという(図5)。
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