iPhoneもPCもまとめて管理へ
いずれ消え行く「モバイル管理製品」、ネットワーク管理に統合の“必然”
モバイル端末とネットワークとで管理チームが違うからといって、管理ツールまで別個に用意する必要性はあるのだろうか。ベンダーは、製品開発やM&Aなどで、双方の管理機能を統合させつつある。
ネットワークエンジニアは、インフラ管理の合理化に取り組んでいる。ここ数年は、有線と無線のネットワークを統合的に管理することが優先事項だったが、ここへきて、モバイル端末も統合的に管理したいというニーズが高まっているのだ。
IT部門は従来、モバイル端末を管理するためにスタンドアロン製品を使用してきた。だがIT環境が複雑さを増す中、複数の管理ツールを導入するやり方は、もはや好まれない。こうした中、包括的なネットワーク管理ツール群にモバイル管理機能を統合する動きが加速している。
誰がモバイル端末を管理するか
「ベンダーは、ユーザー企業にネットワーク管理のフルパッケージを提供する方向へと確実にシフトしつつある」。そう語るのは、米調査会社Frost & Sullivanで無線およびモバイル分野を担当する上級アナリストのトッド・デイ氏だ。「モバイル端末の適切な管理には、実にさまざまな側面が関係している。統合できるツールが多ければ多いほど、IT部門にとっては優れた手段となる」と、同氏は続ける。
BYOD(私物端末の業務利用)が広まり、社内ネットワークに接続するモバイル端末が急増する中、IT部門は「モバイル端末の管理を誰に任せるか」の再考を迫られている。「この任務は当初、デスクトップPCとノートPCの管理者に委ねられた。会社支給のモバイル端末の管理は、既にそうした管理者に任されていたからだ。それまで主にBlackBerryを中心に携帯端末を管理してきた人たちにとって、新しい端末の管理を引き継ぐのは当然のことに思えたはずだ」。米調査会社Gartnerで無線およびモバイル担当調査副社長を務めるマイケル・ディサバト氏は、こう指摘する。
BYODの急激な広まりを受け、特に大企業を中心に、専任のモバイルマネジャーを任命したり、IT部門内にモバイルチームを設置したりといった動きが広がっている。ただし、モバイルチームを別個に設置したからといって、管理ツールまで別個に用意する必要はない。
米カンザス州のアンドーバー公立学校区のIT責任者、ロブ・ディクソン氏によれば、同区は米Cisco Systemsのポリシー管理製品「Cisco Identity Services Engine」(ISE)を導入し、有線・無線インフラへのアクセスの管理と、新しい端末の迅速なプロビジョニングに役立てているという。同区内にある11校の学校には計5500人の生徒が通っており、その他に5400人の生徒がオンラインの遠隔学習環境で学んでいる。
アンドーバー公立学校区はさらに、学校承認のiPadの管理にクラウドベースのネットワーク管理製品「Cisco Meraki」を使っている。ディクソン氏によれば、Merakiが持つクラウドベースのインタフェースのおかげで、学内LANの外にあるオンライン遠隔学習環境で使われている米DellのノートPCの管理も楽にできるという。
ISEを導入する以前は、ディクソン氏のチームは新しい端末のオンボーディング(ネットワーク接続)とセキュリティ設定を手作業でしなければならず、先々に大きな負担となることが予想されたという。だがISEを使えば、新規ユーザーのオンボーディングはネットワーク管理者が担い、日常的なモバイル管理業務は他のIT技術者に任せることができる。「IT担当者は全員、少なくともリポートレベルでISEへのアクセス権限を持つので、新たに追加された端末を確認でき、不適切なプロビジョニングがあれば把握できる」とディクソン氏は語る。
ディクソン氏によれば、アンドーバー公立学校区は統合ネットワーク管理製品を使うことで、動的なネットワークをよりはっきりと見渡すことができ、BYODも大きな問題なく運用できているという。「ISEのおかげでIT担当者は、有線や無線のネットワークにユーザーが接続しているかどうかを確認できる。ポートやアクセスポイント、接続が認証されているユーザーなど、接続に関するあらゆる情報を確認できるようになった」
さらなる統合が予想されるMDM市場
「ネットワークの統合が進む中、モバイルデバイス管理(MDM)やモバイルアプリケーション管理(MAM)のスタンドアロン製品を提供するベンダーは今後、ネットワーク管理ツールとの統合を進めなければ消滅することになりかねない」と、前出Gartnerのディサバト氏は指摘する。「IT担当者は何百、何千ものエンドポイントを管理しなければならない。各端末のセキュリティパラメータを設定するのに、複数のシステムやベンダーを使いたくはないはずだ。こうしたやり方では、アプリケーションのプロファイルとエンドポイントのプロファイルに確実に不一致が生じてしまうからである」
ネットワークベンダーや無線LANベンダーの中には、買収を通じて、自社の管理製品にMDM機能を追加しているところもある。「まだMDM機能を全く持たない無線LANベンダーがそうした機能をエンタープライズレベルでフルに提供するためには、企業を買収するしかない。仮想化大手の米VMwareがモバイル管理製品の開発/販売を手掛ける米AirWatchを買収したようにだ」と、ディサバト氏は語る。
米Aruba Networksは、米Avenda Systemsのネットワークアクセスセキュリティ機能を買収し、豪Amigopod Softwareのゲスト管理ソフトウェアを買収した後、2011年に有線・無線ネットワークの統合認証基盤「ClearPass」を発表した。ClearPassのMDM機能を使えば、IT部門は無線ネットワークの管理用と同じインタフェースを用いて、モバイル端末環境を管理できる。またClearPassは現在、従業員の個人用端末の他、社内ネットワークのゲスト端末を自動構成できる。Aruba Networksの製品ソリューションマーケティング担当上級ディレクター、マナフ・クラナ氏によれば、この機能は多くの企業に広く支持されている人気の機能だという。
「ClearPassによって、IT部門はネットワーク管理とアクセス制御、モバイル管理を1つのプラットフォームで実現できる」と、クラナ氏は語る。
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