リスクを管理する枠組み重要に
ますます活気づく「勝手クラウド」がもたらす悪夢
SaaSの普及で「勝手クラウド」がもたらすリスクが組織全体に広がっている。勝手クラウドが革新を生み出すことがあったとしても、クラウドに伴うセキュリティリスクのためにその価値は相殺される。そろそろ管理すべき時だ。
ITの中心部に潜む悪のことを知っている人物がいるとしたら、それは影のIT(シャドーIT)だ。
会社の許可を得ないまま、あるいはIT部門が関与しないまま、個人や事業部門が技術的要望を外部のクラウドに求めれば、会社にとっての打撃は大きい。この「勝手クラウド」または、「シャドーIT」が組織に革新をもたらすことがあったとしても、クラウドに伴うセキュリティリスクのためにその価値は相殺される。
シャドーITは何年も前から存在していた。部門内のPCに隠れた「Microsoft Access」データベースに始まって、「Salesforce.com」や「Yahoo Mail」「Google Docs」でインターネットへと進出。現在に至っては、「Workday」「Concur」「Dropbox」といったSaaS(Software as a Service)が普及して、価値とリスクの両方が組織全体にまん延している。そろそろ「発見」「監視」そして(強すぎない)「禁止令」という昔ながらのやり方で、シャドーITを管理すべき時だ。
発見
シャドーITをコントロールするためには、社内にアプリケーション認識アプライアンスを導入することが第一歩となる。シャドーITがどの程度の問題を投げ掛けているか把握することは不可欠だ。一般的な組織において、その影響は大きい。セキュアWebゲートウェイ(SWG)や次世代ファイアウォール(NGFW)は、組織内で使われているSaaSを発見するための基本的な機能だ。クラウドベースのSWGではモバイルユーザーも網羅できる。こうしたアプリケーションは一般的に、管理下にあるアプリケーションの一覧とURLを照らし合わせる。
SWGやNGFWは、接続リクエストに対してその可否を判断する仕組みで運用される。識別・分類されるWebアプリケーションの数は何千件にも及ぶ。一般的な組織ではこの手順を通じ、会社のポリシーで許可されているかどうかは別として、その多くが使用されていることを確認できる。発見の仕組みは、「クラウドアプリケーション管理システム」の第一歩でもあり、その価値は監視を通じてさらに強まる。
監視
組織の中には、シャドーITアプリケーションのメリットを重視し、単純にITリスクを管理するフレームワーク内で、シャドーITを活用する方法を見いだすケースもあるかもしれない。クラウドアプリケーション管理市場に投入されている最近のセキュリティ製品を利用すれば、SaaSの活用をうまく促進することができる。このアプローチでは、ユーザーとアプリケーションの間に設置されたゲートウェイを通過する全トラフィックをチェックし、SaaSを監視する。ファイアウォールによる単なるアクセス制限ではなく、こうしたシステムではアプリケーションのあらゆる機能を検証できる。データを収集して複数のアプリケーションで横断的にユーザーの行動を監視できる他、複数のユーザーによるアプリケーションの利用を監視できる。
アーキテクチャの観点で見ると、クラウドアプリケーション管理システムは、一般的なプロキシ(フォワード&リバース)としてオンプレミスに導入することも、スパンポートに導入することもできる。だが、その真の価値はモバイルユーザーにも対象を広げられることにある。クラウドベースゲートウェイは、シングルサインオン(SSO)システムとの連係、またはアプリケーションの設定を通じたサービスアクセスの管理によって、この範囲も網羅できる。
クラウドセキュリティ監視にはさまざまなメリットがある。ツールを使えばコンプライアンスの懸念に対応し、将来の利用状況分析に備えてログを記録できる他、機械学習の手法を使って不正な攻撃や不審な内部関係者の挙動を洗い出すことができる。
この分野に進出している数少ないベンダーは、米SkyHigh Networks、米Adallom、米Netskope、米Imperva(2014年2月に米Skyfenceを買収)、米Bitglass、米Elastica、米FireLayersが挙げられる。
禁止令
シャドーITを取り締まる最後の手段が禁止令だ。ユーザーが従来型のコントロールをかわそうとすれば、セキュリティ担当者に懸念が生じ、提供しているサービスの見直しを強いられる。この段階ではよりきめ細かいポリシーの導入が役に立つ。例えば、所在地や利用端末の種類、時間帯、ファイルの種類や機能などに関連付けた具体的なコントロールを適用すれば、(誤検知の減少を通じた)生産性の向上や、目標とするITリスクの低減につながるはずだ。
影はコンピューティングリソースが組織にもたらす真の恩恵を認識している。市場におけるシャドーITの原動力を認めながら、リスクを適切に管理するための運用の枠組みを作り出すことが重要だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー