主要なキャパシティープランニングツールも紹介
仮想サーバのキャパシティープランニング、よくある失敗例
サーバ1台に1つのアプリケーションしか稼働していない物理環境と違い、複数のワークロードを実行する仮想環境ではリソースの使用量や性能が安定しにくい。キャパシティープランニングのよくある失敗例をまとめた。
サーバのアプリケーション負荷は常に変動しているため、サーバのキャパシティープランニングには経験と知識の両方が求められる。コンピューティングリソースとパフォーマンスを時間をかけて追跡し、リソースが不足する可能性を予測して対処する能力が必要となる。キャパシティープランニングの目標は、「各サーバが、必要なときに必要なリソースを確保できるようにすること」だ。ただし、キャパシティープランニングは非常に難しい取り組みであり、仮想サーバとなればなおさらだ。仮想サーバで発生し得る突発的な容量需要に対応するためには、仮想化対応ツールを使用すると同時に、適切な管理慣行を実践することが求められる。
仮想化がキャパシティープランニングを複雑に
仮想サーバのキャパシティープランニングの問題を理解するには、まずキャパシティープランニングの基本、目標を確認しておく必要がある。キャパシティープランニングを行う目的は、「コンピューティングリソースの利用状況を時間を追って測定したデータに基づき、リソースの可用性や割り当てについて適切な判断を下すことで、必要なときに必要な量のリソースを各サーバに割り当てられるようにすること」だ。休眠リソースが多過ぎれば、経費の無駄遣いとなり、逆にリソースがあまりに乏しければ、アプリケーションパフォーマンスが低下し、ユーザーエクスペリエンスが損なわれる。
従来の物理サーバの場合、リソースの経時追跡は比較的容易だった。1台に1つのアプリケーションしか稼働せず、空き容量も豊富にあったからだ。リソース使用量の増加は大概、緩やかなペースで進み、予測も可能だった。
一方、仮想サーバは複数のワークロードを実行し、物理サーバのコンピューティングリソースを大量に使用する。リソース使用率が80%を超えることもざらだ。ワークロードが複数あるということは、複数のアプリケーションが多くのリソースを要求するということだ。そのため、リソース使用量は物理サーバよりも急速に変動する可能性がある。また仮想環境では、ワークロードを物理サーバ間で簡単かつシームレスに移行できるが、仮想マシン(VM)を別の物理サーバに移すと、リソース不足やアプリケーションパフォーマンスの問題につながりやすい。既に高度に集約されているサーバであればなおさらだ。
キャパシティープランニングの問題は、サーバのハードウェアや仮想化ソフトウェアに根本原因があるのではなく、不適切なシステム管理、ITのポリシーや業務ルールの緩さが原因であることが多い。例えば、VMを新規に作成してリソースを割り当てるのは簡単だ。だが、そのVMが不要となった後もそのまま物理サーバに放置されれば、いつまでもリソースを要求し、オーバーヘッドを発生させてしまう。休眠状態が続く不要なVMについては、速やかに削除する方針を定めておけば、その分のコンピューティングリソースを再利用でき、リソース需要の増大に対応できる。
キャパシティープランニングツールの選択肢
キャパシティープランニングに用いるソフトウェアツールには、サーバのリソース使用状況を経時測定してリポートする機能の他、リソースの利用パターンを基に将来の容量予測やアップグレード提案を行ったり、リソース不足に対する早急な対応を促すアラートやアラームを生成したりといった機能がある。
企業向けのキャパシティープランニングツールは数多く提供されている。仮想環境のキャパシティープランニングに特化した製品には、米SolarWindsの「Virtualization Manager」などがある。キャパシティープランニング機能が管理スイートに組み込まれているケースも少なくない。例えば、米VMwareの仮想インフラ統合管理ツール「vCenter Operations Management Suite」には「VMware Capacity Planner」が含まれ、カナダuptime softwareの「up.time Enterprise Edition」にもキャパシティープランニング機能が統合されている。どのツールを選ぶにせよ、「仮想化対応であること」と「社内に導入したハイパーバイザーと互換性を備えていること」が必須条件となる。
ただし、こうしたツールがどれだけ効果を発揮できるかは、結局のところ、IT部門の手腕と全般的な業務環境による。どれだけ強力で高価なキャパシティープランニングソフトウェアを使っても、IT部門がそのデータを活用しなかったり、規定の業務ルールに従わなかったりしていては役には立たない。例えば、高度に集約された環境でのキャパシティープランニングには、大抵の場合、ライフサイクル管理とワークロードバランシングも欠かせない。さもないと、何の処理も実行していない不要なVMがリソースを要求し続け、過負荷となったサーバにフェイルオーバー用のリソースが不足し、移行が不可能ということになりかねない。
キャパシティープランニングの不備がもたらす影響
不十分なキャパシティープランニングの影響はさまざまな形で現れるが、大抵は分かりづらい。よくある問題の1つは単なる怠慢で、導入したキャパシティープランニングツールをIT担当者が使わずに放置しているパターンだ。ITスタッフがリソース需要の増加に注意を払わなければ、ワークロードのリソース不足が発生し、パフォーマンスの低下やユーザーエクスペリエンスの悪化につながりかねない。極端な場合、ワークロードが不安定となりクラッシュすることもある。IT管理者がキャパシティープランニングのデータを定期的に確認していれば、リソース使用量の増加に気付き、リソースをアップグレードするなりワークロードのリバランスを行うなりして、パフォーマンスの問題を回避できていたはずだ。
キャパシティープランニングの不備は、移行の問題にもつながる。例えば、「ローカルVMのリソース使用量の増加に合わせてリソースのプロビジョニングを調整したが、VMのフェイルオーバーや他のサーバからの移行用には十分なリソースを残していない」といったケースだ。こうした問題は通常、リソースが不足しているサーバへの移行が失敗する形で表面化する。キャパシティープランニングのデータを適切に活用していれば、この種の問題はサーバのアップグレードやリバランスで回避できる。
もう1つよくあるのは、VMのライフサイクル管理が欠如している問題だ。VMを新規に作成するのは簡単だが、問題は「何か有用な処理を実行中かどうかにかかわらず、全てのVMがリソースを要求すること」だ。既に役目を終えたVMを無効化することでリソースを回復できる。ただし、この方法はIT管理者がVMに注意を払い、まだ必要なVMかどうかの判断ができて初めて機能する。適切なライフサイクル管理には、VMの新規作成を承認するプロセスを設ける他、VMの利用状況確認と無効化の方針を定めることが必要だ。さもなければ、存在を忘れられたVMがリソースを無駄に消費し続け、会社にシステムのアップグレードを強要することになりかねない。
今日のIT管理者にとって、キャパシティープランニングは極めて重要な責務だ。コンピューティングリソースを追跡し、全てのワークロードに常に十分なリソースが確実に行き渡るようにすることで、VMのパフォーマンスを維持し、ワークロードの中断を回避できる。キャパシティープランニングには仮想化対応ツールが必要だが、その効果を最大限に引き出すためには、こうしたツールを定期的に使用し、同時に適切な業務慣行を実践することが重要だ。さもなければ、ワークロードは危険にさらされ、いずれワークロードのパフォーマンスの低下、不満を抱くユーザーの他、ダウンタイムやデータ損失の可能性、経費の無駄遣いなどの問題への対処を迫られることになる。
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