医療・介護分野における“IT化の徹底”を狙う日本政府
マイナンバーのインフラ活用が不安材料? 「医療等ID」が2018年に始動(2/2 ページ)
医療データの利用拡大のための基盤整備
2020年度までに「電子カルテデータの標準化の環境整備」を実施する。異なる医療機関からのデータ集積や比較分析、データの共有を効率化し、研究開発を推進させる狙いがある。また、2015年度から医療情報のデータベース6種の相互利用に関する研究事業「医療等分野データ利活用プログラム(仮称)」を実施することで、「医療情報の各種データベース事業の拡充・相互利用」を推進する。2020年度をめどに基盤を整備する。データベース6種の現状と拡充計画は以下の通り。
| データベース名 | 内容と現状 | 拡充計画 |
|---|---|---|
| ナショナルデータベース | 全国規模でレセプト・特定健診データを蓄積。受療行動の傾向を把握し、医療費適正化計画の策定などに利用(レセプト約92億5000件:2015年4月時点) | 大学などに限られていた集計データの提供を2016年度から民間企業に拡大 |
| DPC(診断群分類別包括評価)データ | 全国規模の急性期病院の入院に関するレセプトデータなど。診療行為や投薬の実施傾向を把握可能(1500病院、1000万件:2012年度時点) | DPCデータベースを2016年度中に構築。民間提供などの拡大を図る |
| 各種疾患データベース | ナショナルクリニカルデータベース(NDC)が該当する。手術症例に関する実績などを登録、分析する外科系学会の取り組み(手術情報400万件:2013年度末時点) | 各種の疾患データベースについて対象の拡大を図る |
| 国立病院機構 IT事業 | 電子カルテデータが利用しやすくなるよう標準化を推進。2015年度の目標は20~30施設 | 実施病院を順次拡大、経営の効率化や研究への活用などを進める |
| 医療情報データベース | 独立行政法人のPMDA(医薬品医療機器総合機構)で協力医療機関の検査結果や電子カルテデータを分析し、医薬品などの安全性対策を実施(試行期間中) | 2018年度までに300万人のデータ分析・活用をすることを目指し、さらに研究への活用を進める |
これらの施策により、医療の質向上やコスト・経営の効率化、日本発の新薬および医療機器などの開発・安全対策の実現を見込む。その上で、データ提供者である患者へのメリットの還元、医療機関の自律的な経営や診療の向上を狙うという。
日本政府ではマイナンバー制度施行から2020年までの5年間を集中取り組み期間と定め、各施策の実施スケジュールを具体的アクションとともに明確化し、成長戦略の改訂に盛り込むことを目指す。
日本政府は2015年6月11日に産業競争力会議で「日本再興戦略」改訂2015(骨子案)を提示。その中で「国民の『健康寿命』の延伸」を掲げ、「医療・介護分野におけるIT化の徹底」をうたっている。同月、日本年金機構の情報漏えい事件が発覚したばかりで、マイナンバー制度や医療等IDに関して不安視される声も聞かれる。今後の動向に注目が集まる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー