「Amazon EC2 Container Service」を理解する
Amazon Web Servicesで「Dockerコンテナ」を使うと何がうれしいのか(2/2 ページ)
コンテナとECSの使用に伴う問題点
コンテナはまだ開発途上にある。最も懸念されるのがセキュリティだ。例えばDockerの動作には管理者権限であるrootが必要であり、本来であればrootでしかアクセスできないはずのホスト内のファイルにも、コンテナからアクセスできてしまう可能性がある。
AWSでは、ユーザーの社内データセンターとAWSのデータセンターとをVPN(仮想プライベートネットワーク)で接続できる「Amazon Virtual Private Cloud(VPC)」が利用でき、かつ仮想ファイアウォールの「セキュリティグループ」を設定できる。そのため、AWSでDockerを利用する場合、Dockerにまつわるネットワークおよびセキュリティの懸念は多少緩和される。とはいえ、rootアクセスのジレンマが解消されるわけではない。VPCは隔離レイヤーとしての役割を果たすだけなのだ。
ECSはDockerそのものよりも高度なセキュリティ機能を備えているものの、セキュリティ意識の高いクラウドユーザーにとっては不安が残る。またAWSのユーザーは、ECSで利用可能なスケジューラよりもサードパーティー製のスケジューラを好むようだ。言い換えれば、AWSにはセキュリティの分野でまだ課題が残されているということである。
コンテナ技術に関するAWSの次のステップは何か
AWSが今後どのような方向に進もうとしているのか予測するのは難しい。コンテナの利用で可搬性が高まるのは魅力だが、全ての環境で同一のコンテナを動作可能にするのは、口で言うほど簡単ではないかもしれない。
DockerのコンテナはVMと同じレベルの隔離を実現することはできない。ただし、VMにコンテナをインストールすることで、リスクは多少なりとも緩和される。
コンテナの最大の制約が何なのかは、まだ分かっていない。アプリケーションを要素ごとにマイクロサービスとして隔離する仕組みは、アプリケーションの保護に一定の効果はあるものの、まだ安心感よりも不安の方が根強いようだ。
ECS は、Dockerが利用できる代表的なコンテナ管理サービスだが、改善の余地はある。ECSのリポーティング機能はログ保存だけであり、これはコンテナのスプロール(無秩序な増殖)を引き起こし、余計なコストを発生させる可能性がある。AWSの「AWSマネジメントコンソール」やサードパーティー製のAWS管理ツールを使えば、CPUの利用状況やコストを把握できるものの、いずれにしても監視を怠ると収拾がつかなくなる恐れがある。
ECSを使い、アプリケーションのデプロイや管理を支援するPaaS「AWS Elastic Beanstalk」を実行すると、問題が発生したという事例も報告されている。コンテナへの注目度が高まる中、ユーザーのニーズの高まりに応えるべく、DockerやAWSはこうした問題に対処していくはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー