年齢にとらわれず、有能であり続けるために
IT部門“30年選手”がクラウドを受け入れる日
従来型のIT担当者は、生き残るためにビジネスの大局とクラウドの利点を理解すべきだ。ビジネスの全体像を理解し、自己変革を行うことで、歳をとっても役に立つ人材でいることができるだろう。
筆者のことを若いと思う方が多いかもしれないが、もう決して若くはない。子どものころに親から言われたことが分かる年齢になったとだけ言っておこう。ITの良い点は年齢に関係ないところだと思う。退職間近い従来型IT担当者の中にも、DevOpsの人々に何か教授できる人はいるし、筆者より若いITマネジャーやコンサルタントにも、頭脳明晰でMBA(経営学修士)などの資格を有し、大いに成功している人もいる。
筆者自身、根は技術者で、何かを分解したり、作り直したり、修理したりするのが大好きだ。それはこれまでの仕事やコラムの文章を見れば分かってもらえるだろう。だが、年齢を重ねるにつれて、仕事の手間を増やすような出来の悪い製品や、故意あるいは悪意からきちんと仕事をしないベンダー、設定に暗記力や多大な労力を要するシステムやアプリケーションが耐え難くなってきている。従来型ITにはもはや挑戦しがいのあるものは残されておらず、一見そう見えるものがあったとしても実はシステム設計の欠陥が原因だったりする。テクノロジーの問題より人間とプロセスが成否を左右するクラウドの方へ関心が移ったのは、自然なことだった。
あらゆる作業負荷をクラウドに移すのに、ビジネス上の変更は一切必要ない。ただし、クラウドの利点を活用して、アプリケーションとシステムのデザインをシンプルにするというビジネス目標を達成するには、ITに対する見方を根底から変えなければならない。ITの問題はソフトウェアとハードウェアを正しく組み合わせることだというこれまでの考え方は捨てて、プロセスと整合性の問題として見直す必要がある。従来型のITはビジネスと同じ方向を向いていなかった。過去30年をかけて開拓してきたプロセスと地盤は、企業の方向転換を阻む重荷になってしまっているのである。
従来型ITの世界にとらわれ、クラウドがもたらす利点に目を向けないまま何年も過ごしている同僚や仲間のことが非常に気掛かりだ。彼らは脇目も振らずに古いインフラを維持継続することに没頭し、新しいものについて考える暇がない。だが、そのような仕事をしていては、彼ら自身、ビジネスの前進を阻む重荷になってしまう。経営陣がビジネスを必要な方向へ進めるためには、そのような重荷は投げ捨てねばならない。
だが、彼らを捨てることは企業にとって多大な損失だ。IT要員や経営陣と一緒に仕事をしていると、彼らのようなIT要員が会社の資産と見なされていないことを実感する。IT要員が持っている組織に関する膨大な知識は、コンサルタントやクラウドで置き換えることのできない貴重なものだ。ところが、彼らにその仕事について質問し、なぜそうするのか、それがビジネスにどう役立つのかと尋ねても、彼らは答えられない。誰も彼らにビジネス目標について教えていないからだ。
筆者自身はこれまで仕事を続ける中で幾度か自己変革を行い、IT要員と経営陣の間で働く今も、自己変革を続けている。もっと多くのIT要員がこのように自己変革を行い、ビジネスの全体像を理解し、それを周囲に説明し、それに基づいてシステムの設計と運用を進めるべきだろう。IT要員と企業経営の間の溝は埋めねばならず、そのためにはIT要員が自分の仕事について「何を」「どうする」の他に、「なぜ」という問いにも答えられるようにしなければならない。
誰もが新たなことを学べるとは限らないものの、たとえ少数でもIT要員が全体像を理解し始めれば、そこで起こる変化は経営陣にとってうれしい驚きとなるだろう。
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