米業界団体が年次CIO調査の結果を公表
CIOが悩む「いつも頭から離れない問題」とは?(2/2 ページ)
ビジネスアジリティよりもITアジリティ
カペルマン氏によれば、2015年の調査結果で特に注目すべきは、上級IT幹部らがいかにしてITとビジネスの連係を図ろうとしているかという点だという。IT幹部は、ビジネス部門がポリシーや優先事項を変更する度にその都度対応するよりも、IT部門内に目を向け、さまざまなビジネス要求に応じられる柔軟で堅牢なITシステムの構築を目指す方が得策であることに気付きつつあるようだ。
これは、ビジネスアジリティとITアジリティのどちらに意識を向けるかの違いだ。ビジネスアジリティとは、ビジネス部門が市場の状況に迅速に対応する能力であり、ITアジリティとは、ITシステムがビジネスの変化に迅速に対応する能力のことである。両者の違いはわずかに思えるかもしれないが、カペルマン氏によれば、こうしたIT幹部らの視点の変化には重要な意味があるという。つまり、上級IT幹部は自分たちがどのようにすれば変化を成し遂げられるかについて、以前よりも実践的かつ現実的になりつつあるということだ。
カペルマン氏は自身の見解を裏付けるべく、幾つかの質問への回答に言及した。例えば、「いつも頭から離れない問題」について尋ねた質問では、2014年には10位にランクインした「ビジネスアジリティ」が、2015年はトップ10から外れている。ビジネスアジリティが10位から22位に後退する一方で、「ITアジリティ」は16位から5位に浮上し、初のトップ10入りを果たしている。
ビジネスアジリティとITアジリティに対するCIOの意識が逆転した背景としては、「ビジネス部門がどう変化すべきかについて自分たちが事細かに知る必要はない」との認識がCIOに広まりつつあることが挙げられる。「ビジネス部門も、その件はご心配なくというスタンスなのだろう。少なくともCIOはそう認識している」とカペルマン氏は言う。そして、「会社がCIOに最も期待している成果は何だと思うか」との質問に言及した。この質問に対する回答では2009年以降、「ビジネスアジリティ」が常に2位か3位にランクインしていたが、2015年は9位まで後退している。
「前年と比べて大きな変化がみられる」とカペルマン氏は語る。同氏によれば、上級IT幹部がITアジリティを重視するようになったのは、ビジネス部門をサポートしながらも、自分たちでコントロールできることに注力しようという実用主義の表れだという。例えば、IT部門はビジネスの変化のスピードについては何もできないが、柔軟で反応が良く停止しないシステムを構築することは可能だ。
大局的な視点が必要
ただし、企業の上級IT幹部は柔軟性ばかりを重視しているわけではない。カペルマン氏によれば、IT幹部らには、統一性のないシステムを解体し、全社的に機能する総合的なシステムを構築したいという思いもあるという。
同氏は、各種スキルに関する質問からこの結論を導き出した。例えば、「会社にとって最も重要なハードスキルは何か」という質問では、「アーキテクト」を挙げる回答者が目立ち、「データ/インフォメーションアーキテクト」が3位、「アプリケーション/ソリューションアーキテクト」が5位、「エンタープライズアーキテクト」が6位、「ユーザーインタフェース/ユーザーエクスペリエンス/ユーザビリティアーキテクト」が9位に付けている。「実際のところ、アーキテクトとは通訳であり、夢の製図家だ。発注者や設計者など、誰であれ、計画の実現に必要なスペシャリストとの間に入って通訳の役割を果たす」と同氏は語る。
調査ではさらに、「会社にとって重要なソフトスキルは何か」という質問もした。結果は、「戦略的思考/戦略的プランニング」が2位、「変更管理」が4位、「体系的思考」が7位、「プロジェクト管理」が9位だった。「いずれも大局を理解するのに必要なスキルだ。システムのアジリティを高めようというときには、大局を念頭に置く必要がある」とカペルマン氏は語る。
ただし、2015年の調査でみられる変化が一時的なものか永続的なものかというのは大きな疑問だという。この疑問に答えるには、2016年の調査結果を待つ必要がある。「ビジネスアジリティからITアジリティへの重点の移行が永続的なものであるのなら、そのときこそ、ITとビジネスを連係させるだけでなく、その連係を維持するという本当に難しい問題に取り組むことになる」と同氏は語る。
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