セキュリティは「防御」から「検知」へ
「セキュリティ予算の7割がウイルス対策とファイアウォール」は時代遅れなのか?(2/2 ページ)
セキュリティ予算における「防御」対「検知」
防御のみのセキュリティ戦略は「絶対に確実」といえるものではないことは、これまでのインシデントを見ても明らかだ。では、企業が依然として防御に多額の支出をしているのはなぜか。業界の試算では、企業は歴史的に、セキュリティ予算の75%以上を防御技術に費やしている。残念ながら、攻撃者はこれを攻撃のチャンスだと捉えている。
幸いなことに、防御技術への予算の割合が下落していることを示す調査結果は存在する。ただし、多くの最高情報セキュリティ責任者(CISO)は、防御的なセキュリティ技術の有効性が減少したことを完全には認識できていないか、あるいは最高情報責任者(CIO)との協力がうまくいっておらず、必要な予算を獲得できていないかのどちらかの状況にある。ある意味では、これは当然のことだ。防御製品は過去には機能しており、ベンダーはこれらを改善しようと努力してきたからである。
他の選択可能な方法は、まだ実証されていない新規技術への投資だ。ただし、経営幹部に正当な理由を示すことは難しいだろう。状況を変えるには、セキュリティ予算の使途を防御から検知/対処へシフトし始め、その過程をサポートし容易にする必要があることをCIO自身が理解すべきだ。それには、CIOがCISOに対して、こうした計画を開始するように進言し、道を開くために他の重役との会話を始めることだ。
変更を妨げる要素もある。検知と対処により多くの予算を費やすことが可能になったとしよう。その場合、セキュリティ予算が限られていることを考慮すると、組織が防御に掛けてきた費用を削減することになる可能性が高い。ファイアウォールなど防御に役立つセキュリティ製品は依然として必要であり、やはり維持と保守が必要である。
ここで期待したい2つの潮流が、旧来の技術と最近のセキュリティ技術の融合、そして旧来のセキュリティ製品の急速なコモディティ化である。
例えば、最新の次世代ファイアウォール(NGFW)の中には、サポートを含めて100万~500万円の価格でありながら、侵入防止システム(IPS)の機能を備え、ファイアウォールのスループットは最大36Gbps、IPSのスループットは7Gbpsを確保しているものがある。技術の進歩により、低コストながら高性能のNGFW製品を提供するベンダーも出てきた。これは企業にとって、大きなコスト削減の機会を作り出すはずだ。
「危険なマルウェアの検知に常に大きな効果があるわけではないとしても、多くの組織はコンプライアンスを理由に、依然としてシグネチャベースのエンドポイントマルウェア対策製品を必要としている」。エンドポイントの脅威に検知・対処する「EDR(Endpoint Detection and Response)」専業のあるベンダーは、こう認める。このベンダーは、顧客がエンドポイントの防御コストの負担を取り除きつつ、防御と検知・対処技術双方の恩恵を受けることができるように、知名度が高いベンダーの無償マルウェア対策製品と自社のEDR製品との連係を進めている。
セキュリティの市場力学を変える機会をないがしろにしてはいけない
CIOは、CISOが進んだセキュリティ技術を推進するために、従来の投資分野への支出を抑える方法に関心を持つよう促すべきである。事実、セキュリティ市場の動きを変えることは、企業が検知と対処に掛けるコストを増加させるものの、同時に防御技術のコストを劇的に削減可能にすることにもなる。
予算配分の変化の速度と規模は各組織で異なり、「正しい」割合は存在しない。重要なのは、CIOは今起こりつつある変化を認識するだけでなく、組織内で積極的に奨励すべきだということだ。そうすることで、甚大な攻撃の犠牲となるリスクの軽減に大いに役立つ。
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