“パスワード限界論”で再考する「認証システム」の現実解【第3回】
Windows 10も搭載、“パスワードのない世界”を作る「FIDO」とは?(1/3 ページ)
ID/パスワード認証に変わる、新たな認証の在り方を提示する「FIDO」。Microsoftの最新OS「Windows 10」にも実装されたFIDOについて、詳しく説明する。
連載第1回「ID/パスワード認証は本当になくなる? 『パスワード限界論』の真実」では、パスワードを使わない新たな認証仕様「FIDO(Fast IDentity Online)」に触れた。FIDOは、認証情報をサーバに送信せず、クライアント側で認証する新しい認証仕様だ。認証関連の米業界団体FIDO Allianceが2014年12月に公開した。
FIDO Allianceに参加する企業は増え続けており、現在200社に上る企業が参加を表明している。NTTドコモもその1社であり、同社が2015年5月に発表したスマートフォンの一部は、FIDO準拠の認証機能を備える。Webサービス側がFIDO準拠の認証を可能にしていれば、エンドユーザーは端末側の認証を済ますだけで、そのままログインできる。
併せて読みたいお薦め記事
FIDOで現実味増す「パスワードのない世界」
ID/パスワード認証の課題
連載:“パスワード限界論”で再考する「認証システム」の現実解
FIDOの理解に不可欠な「多要素認証」「多段階認証」
注目度が高まってきたFIDO。その特徴は以下のようなものだ。
- 2要素認証を採用し認証強度を向上
- 生体情報などの個人情報は端末に保存され、サーバには転送・登録されない
- ログイン認証にはエンドユーザーの秘密鍵(端末に保存)と公開鍵のペアが必要
FIDOの仕組みを詳しく見ていく前に、理解しておくべき技術がある。それは「多要素認証」「多段階認証」という2つの認証技術だ。認証のセキュリティ強度は、認証要素数と認証のステップ数で決まる。複数の認証要素で認証強度を高めるのが多要素認証、複数の認証ステップで認証強度を高めるのが多段階認証である。
多要素認証、多段階認証の重要性を理解する上で、注目すべき事件を紹介しよう。2014年、米国でソースコードのホスティングサービスを展開していたCode Spacesという会社が分散型サービス妨害(DDoS)攻撃を受けた。同社は米Amazon Web Servicesが提供するクラウドサービス「Amazon Web Services」(以下、AWS)を利用してサービスを提供していた。この攻撃の際、AWSのサービス管理ツール「AWSマネジメントコンソール」のアカウントがハッキングされ、データリポジトリおよびバックアップが削除されるという事態に至り、Code Spacesは事業を停止した。
この事件は当地では大きなニュースとなり、セキュリティの専門家はDDoS攻撃対策やイベントモニタリングなど、情報セキュリティに対する備えにあらためて警鐘を鳴らした。こうした中、大きく注目されたのは、セキュリティの基本となる認証の重要性である。AWSは認証強化の一環として、多要素認証/2段階認証サービス「AWS Multi-Factor Authentication(MFA)」を提供している。Code Spacesがこのサービスを利用していれば、アカウントを盗まれるという事態は防げたと考えられる。
それでは、多要素認証、多段階認証について詳しくみていこう。
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“パスワード限界論”で再考する「認証システム」の現実解
ID/パスワード中心の認証システムが岐路に立っている。パスワード撤廃を視野に、認証の仕組みを根本的に見直す機運も高まるが、実現は容易ではない。企業が目指すべき認証の在り方とは何か。その具体策を探る。
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