「vForum 2015 TOKYO」リポート
VDI環境で3D CADの利用を実現、世界の拠点から活用する日揮の取り組み(2/2 ページ)
3D CADの仮想化により従来の課題を一挙に解決
こうした課題を解決するために、日揮では2008年からソリューションを導入。当初はリモートデスクトップとKVMスイッチを活用し、手元のPCからワークステーションを遠隔操作する方式を取り入れた。これによってデスクの省スペース化などには貢献したものの、ワークステーションの台数には変化がなかった。
ちょうどこのころ、仮想化技術が急速に発展し、多くの企業がサーバ仮想化を中心に仮想化技術を導入し始めていた。日揮でも2011年に仮想化技術を導入し、CAD用サーバとワークステーションの物理台数の削減を実現した。しかし、CPUで描画処理をエミュレートするという仕組みから、同時に利用可能なユーザー数が限定されるという課題が残っていた。
そうした中、グラフィックス処理に対応した仮想化技術が進歩。これに合わせる形で日揮は2012年度末に3D CADの仮想化利用を本格的に検討し始めた。
「2013年度上期に導入技術の検討を始め、機器構成を選定しました。われわれの要件は、仮想環境においても3D CADを十分なグラフィックス能力で利用可能にすることでした。下期には実機で技術検証を実施し、2014年度に入ってからはハードウェア/ソフトウェアの基本設計、運用計画の策定を含む詳細設計を行い、2014年11月に3D CAD仮想環境の利用を開始しました」
検証に使用したハードウェアは、Hewlett Packard(HP)のワークステーションブレード「HP ProLiant WS460c Gen8 Graphics Server」。同製品はIntel XeonプロセッサE5ファミリを搭載し、最大2CPU/20コア、64Gバイトのメモリまで拡張できる。また、拡張ブレードにはNVIDIAの高性能グラフィックスカードを最大6枚装着できる仕様だ。ちなみにストレージには、HPのユニファイドストレージ「HP 3PAR」を採用したという。
一方、仮想化ソフトウェアには「VMware Horizon」を採用。VMware HorizonはvDGA(Virtual Dedicated Graphics Acceleration)に対応しているため、3D CADの要求スペックを満たしていたこと、vDGAでは1ユーザーが1GPUを占有できること、NVIDIAのドライバがハイパーバイザーを経由せずに直接GPUを操作して最大性能を引き出せることが選定の理由だという。
実機検証では、3D CADと2D CADをそれぞれ6環境ずつ用意。3D CADのグラフィックスはNVIDIAのグラフィックスカード、2D CADのグラフィックスはCPUエミュレーションを使用した。設計部門のユーザーが機能を検証したところ、操作性は物理ワークステーションと比べても良好、3Dからの材料情報のリポート、工事図面の出力にも問題はなかった。また、ハードウェアとネットワークの負荷テストでも、3D CADを6環境同時に稼働させた最大負荷の条件下において、CPU使用率は最大25%、メモリ使用率は最大80%、海外拠点からのネットワーク接続も良好だったという。
本番導入後は、さまざまな効果が得られている。仮想ワークステーションを最短1時間で配備することが可能になったため、ユーザー部門では人がアサインされたときからすぐに利用を開始できる。運用部門も、ハードウェアの在庫管理から解放され、故障対応も激減した。
「本社で集中管理する仮想環境に世界の各拠点からアクセスして使用する方法に変わったことで、各拠点でハードウェアやデータベースを管理する必要がなくなり、設備コストの削減を実現しました。また、業務の実態に応じた配備が可能になり、稼働率も大幅に向上しています」
(出典:日揮)
なお、現在は1エンクロージャ(シャーシ)に120ユーザーの環境を統合して利用しているが、機能・性能面の問題はないという。ただし、主にハードウェアのドライバやファームウェアの不具合に起因する障害が発生することがある。また、経験不足のために問題解決に時間がかかってしまうことも課題だ。杉氏は今後、これらの解決を急ぐとともに「セキュティの問題を解決し、協力会社がインターネットを経由して3D VDIを利用できるようにする他、グラフィックスの仮想化(NVIDIA GRID)を検証し、より強固で柔軟な基盤へと進化させていきたい」と話す。
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