「vForum 2015 TOKYO」リポート
VDI環境で3D CADの利用を実現、世界の拠点から活用する日揮の取り組み(1/2 ページ)
エンジニアリング企業の日揮は、3D設計およびシミュレーションに利用する高性能グラフィックスワークステーションを仮想環境に移行し、世界各地から利用できる運用体制を整えた。導入時のエピソードをリポートする。
エネルギー、化学、医薬、環境分野を中心にエンジニアリング事業を展開する日揮。同社は、3D設計およびシミュレーションに利用する高性能グラフィックスワークステーションを仮想環境に移行し、世界各地の拠点から利用できる運用体制を整えた。従来のワークステーションの運用課題を解決するとともに、各拠点の設備コスト削減、稼働率の向上といった導入効果が得られているという。2015年11月に行われた「vForum 2015 TOKYO」の模様をお伝えする。
関連記事
CAD on VDIの事例
CAD on VDI最新動向
ワークステーションについて
Horizon Suiteについて
EPCプロジェクトを支えるワークステーションの課題
日揮は、日本初のエンジニアリング企業として1928年に設立以来、主に石油、ガス、化学などのプラント、施設の設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を一貫して請け負う、いわゆるEPCサービスを中心に世界中でビジネスを展開してきた。近年は、医薬、医療、環境などの分野に進出している。それらの豊富な実績によって蓄積された技術とノウハウを生かし、スマートシティやメガソーラーなどの企画・マネージメントサービスも手掛けるようになっている。
同社の主要ビジネスは今もEPCプロジェクトだが、そのプロジェクトの“物量の多さ”にはいつも悩まされていたと、日揮 エンジニアリング本部 プロジェクトIT部の杉 修氏は言う。例えば、同社が建設しているカタールのガスプラントは、東京ドーム約70個分に相当する巨大な敷地面積であり、その現場で使用する鉄骨、配管、機器の総重量は東京スカイツリーの6.5本分、27万トンにも及ぶ。こうした巨大プロジェクトで使用する図面や手順書、マニュアルなどの書類を積み上げたとすると、約300メートルの高さになるとのことだ。
こうしたEPCプロジェクトの業務遂行体制は、エンジニアリング本部の配下にある装置エンジニアリング部、シビル建築部、機器エンジニアリング部といった各部署から担当者がアサインされるというマトリクス組織になっている。それぞれの現場では、プロジェクトごとに異なるベンダーの製品、異なるバージョンの3D CADシステムを運用している。プロジェクトで差異があるのは効率的ではないが、依頼主からの指定されるなどやむを得ない事情もあるのだという。
一方、EPCプロジェクトで使用するワークステーションにも課題があった。3D設計や高度なシミュレーションで利用するワークステーションには、効率のよい設計業務を遂行するために高性能グラフィックスや計算処理が求められる。それが日本の本社では約350台、世界の各拠点では1000台以上が使用されている。これらのワークステーションには、ユーザー部門と運用部門の双方で運用上の課題があったと杉氏は話す。
「例えばユーザー部門からは、人が既にアサインされているのにワークステーションが配備されていない、一方の運用部門からは、すぐに配備したくても在庫がないと言われます。故障への対応やバージョンアップも実施しなければならず、運用担当者はこの業務だけで年間1000時間以上費やしていました」
さらに日揮特有といえるのが、グローバル運用の課題だ。日揮は国内外に多くの拠点を抱えており、各拠点を専用線で接続してデータベースの同期処理により3Dモデルを共有している。そのため、各拠点にワークステーションの運用担当者だけでなく、データベース管理者も置かなければならないことも負担になっていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー