SSD、オールフラッシュ技術の獲得が相次ぐ
ストレージ業界を変えた2015年の大型買収、DellのEMC買収は序章にすぎない(2/2 ページ)
Seagateは事業の多角化を推進
同じくHDD大手の1社である米Seagate Technologyも買収を通じて企業向けストレージ事業を多角化しており、2015年8月には6億ドル以上を投じて米Dot Hill Systemsを買収している。同社がストレージベンダーを買収するのは過去2年間で2件目。Seagateは2013年には、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)環境向けストレージの英Xyratexを3億7400万ドルで買収している。
Seagateは他にも、2014年に米国・シンガポールAvago TechnologiesからLSIフラッシュ事業部門を4億5000万ドルで買収し、2007年にはクラウドデータ保護とディザスタリカバリの米EVaultを1億8500万ドルで買収している。
2015年12月には、Seagateは買収時に支払ったよりもはるかに少ないわずか1400万ドルの現金取引でEVaultの資産を全て米Carboniteに売却した。Carboniteは一般ユーザーの他、小中規模企業向けにクラウドとハイブリッドクラウドの事業継続製品を販売している。
10億ドル超規模の買収がもう1件
2015年のストレージ業界における買収が全て、CarboniteとSeagate間のEVaultをめぐる取引のように割安だったわけではない。投資会社の米Carlyle Groupは2015年8月、米Symantecから米Veritasを現金80億ドルで購入する計画を発表した。SymantecはVeritasの分社化を計画していた。Veritasのストレージとサーバ管理製品には、人気の「NetBackup」製品ラインが含まれる。
Carlyle GroupはIT業界のベテランであるビル・コールマン氏をVeritasのCEOに任命し、ビル・クラウス氏を会長に任命した。コールマン氏は米Oracleが2008年に買収した企業向けインフラソフトウェアベンダー、米BEA Systemsの創業者兼会長兼CEOであり、米CAが2009年に買収した企業向けクラウドソフトウェア企業、米Cassattの創業者兼CEOでもあった。さらに米Sun Microsystemsと米VisiCorpで経営幹部を務めた経歴もある。クラウス氏はCarlyle Groupの経営幹部であり、かつては米3Comで会長兼社長兼CEOを務めていた。さらに同氏は米Andreessen Horowitzの取締役パートナー、米Brocade Communications Systemsの取締役を務めている。
バックアップ技術の分野では、米Barracuda Networksが2015年9月末、流通チャネルの拡大に向け、米Intronisを6500万ドルで買収すると発表した。Intronisはマネージドサービスプロバイダー(MSP)向けのデータ保護プラットフォームを手掛けており、そうしたMSPパートナーが中堅中小企業にサービスを提供している。現在、2000社近くのMSPがIntronisを採用しているという。
ストレージ大手によるその他の買収
2015年には、米NetApp、米IBM、米Hitachi Data Systems(HDS)もそれぞれ、ポートフォリオの強化に向けた買収を行った。NetAppは12月、オールフラッシュアレイのスタートアップ企業である米SolidFireを8億7000万ドルの現金で買収する計画を発表。加えて、自社で開発したオールフラッシュストレージ製品「FlashRay」の打ち切りを発表した。SolidFireの買収を通じて、NetAppはクラウドサービス事業者や分散クラウドアーキテクチャの導入に関心を持つ企業向けのスケールアウトアレイを手に入れたことになる。NetAppは「FAS」と「EF」シリーズのオールフラッシュ版ストレージアレイの販売も継続する。
IBMはオブジェクトストレージベンダーの米Cleversafeを10月に買収した。買収の狙いは、ハイブリッドクラウドとデジタルアーカイブ戦略の強化にある。IBMはCleversafeのポートフォリオをIBMクラウド事業部門に統合する。
HDSは“ソーシャルイノベーション”戦略を加速させるべく、2月にデータ分析の米Pentahoを買収した。ソーシャルイノベーション戦略とは、ネットワークに接続されたマシンやセンサー、いわゆる「IoT(モノのインターネット)」から集めたデータを最大限に活用することを目指した取り組みだ。Pentahoの買収を通じて、HDSはオープンソースベースのビッグデータ統合分析ソフトウェアプラットフォームを手に入れた。
さらに2015年2月には、Avago Technologiesが約6億600万ドルの全額現金取引で米Emulexを買収し、企業向けストレージへの注力を強めている。Emulexはストレージ用Fibre Channelホストバスアダプターなど、ネットワーク接続製品で知られる。Avagoは無線通信や企業向けストレージ、有線インフラ、産業市場などにターゲットを据えた広範な半導体デバイスを設計、開発、供給している。
また米Citrix Systemsは2015年1月に米Sanbolicの買収を完了した(買収額は非公開)。Citrixによれば、Sanbolicのワークロード指向のストレージ仮想化技術はWindowsアプリケーション配信や仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)展開のコストと複雑さを軽減するのに役立つ。Sanbolicのソフトウェアはワークロードを複数のロケーションやクラウドに配布でき、配備と管理を簡素化できる。Citrixによれば、1月の時点で既に200社を超える顧客がSanbolicを使用して「XenApp」と「XenDesktop」のジオクラスタリング(地理的に離れた場所にあるサーバでのクラスタ構成)を実現しているという。
2015年のストレージ業界における小規模な買収としては、米Imationによる750万ドルでの米Connected Dataの買収がある。Connected Dataは企業向けのプライベートクラウド同期共有機能を手掛けている。Connected Dataの創業者兼CEOであるジェフ・バラール氏は以前からImationの取締役を務めていたが、2015年10月の買収取引後はImationの最高技術責任者(CTO)に就任した。Imationはボブ・フェルナンダ氏を暫定CEOに任命し、2016年早くに組織再編を完了する予定だと語っている。
なおバラール氏は2015年5月には、自らが創業した別会社であるローエンドNASベンダーの米DroboをConnected Dataから分社化しており、米BlueFin Technologiesの元CEOであるミヒル・シャー氏率いる投資グループがDroboを非公開価格で買収している。シャー氏はかつてBrocadeとIBMで経営幹部を務めた経歴を持つ。
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