時には強気の価格交渉も必要
“信頼できるパートナー”になれるモバイル管理プロバイダーを選ぶヒント
エンタープライズモバイル管理(EMM)プロバイダー選びは、配偶者を選ぶようなものだ。信頼できるかの確証を得てから堅実に決めたいところ。技術動向の変化や、顧客の要望に柔軟に対応できるかどうかが鍵だ。
適切なエンタープライズモバイル管理(EMM)プロバイダーを選ぶのは、統合が進んだ市場であっても相変わらず難しい。
今日、企業の大半は従業員のモバイルデバイスをサポートして管理することに明らかなメリットがあると考えている。そして、重要なアプリケーションのモバイル化にも着手している。EMMプロバイダーは、この機に乗じる体勢を整えており、EMM市場の成熟が急速に進んでいる。
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モバイル管理ツール選びのヒント
EMM市場は均衡が目立ち、差別化を図ることが一層困難になっている。Appleは同社のモバイルOSである「iOS」を厳しく管理しており、必然的にiOSとそのアプリの管理に関して改革がもたらされることはない。そのため、ほぼ全てのEMMプロバイダーがGoogleの「Android for Work」に融合している。
EMMプロバイダーの選択は重要な判断で、ユーザーの操作性、プライバシー、生産性に影響が及ぶ。特にモバイルテクノロジーとクラウドテクノロジーを優先している企業では、EMMプロバイダーを評価する際にモビリティだけにとらわれることなくプロバイダーを検討することも大切だ。
特定のEMMプロバイダーに縛られるべからず
EMMプロバイダーを詳しく調査する出発点として、自社で必要な特徴と機能を具体的に記した提案依頼書を作成し、評価対象となる全プロバイダーに情報を提示されたい。こうした提案依頼書があれば、入札側のプロバイダーもコストを正確に見積もったり、こちらの要求に合わせて提案を調整したりしやすくなる。また、自社のビジネスや業界に直結する関連プロジェクトの経験も求めるのがいいだろう。特に重要なのは顧客からの紹介を依頼することだ。それから、EMMプロバイダーの収益、顧客層、プロジェクトの納期について、最低必要条件を設定することをお勧めする。
企業が提案したビジネスをめぐるEMMプロバイダーによる競争は苛烈を極める。契約候補のEMMプロバイダーを決めたら、価格交渉では強気な態度を取るべきだ。とはいえ、EMM市場は大きく変化している。そのため、1年や2年を超える契約は交わさないのが肝要だ。そうすれば、企業が長期にわたって特定のEMMプロバイダーに縛られることはなくなり、より優れたEMMが登場したらEMMプロバイダーを乗り換えることができる。多くのEMMプロバイダーは素晴らしい働きをしている。具体的には、自社製品にデバイスを登録するためのソフトウェアのプロビジョニングプロセスとセルフサービスオプションの効率化を図っている。そのため、別のEMMプロバイダーにも容易に切り替えることが可能だ。
セキュリティとプライバシーのバランス
企業はメールや予定表のような基本的な生産性向上アプリにとどまらず、自社のビジネスプロセスの多くをモバイル化している。そのため、そうしたアプリで必要なセキュリティレベルを特定することは不可欠だ。各EMMプロバイダーは、独自の形式のコンテナ化を実装している。コンテナ化により、企業のデータとアプリは確実に暗号化され、デバイスの他のデータから隔離されるようになっている。モバイルOSプラットフォームによって、さまざまなコンテナ化が存在する。ただし、その差はプロバイダーで提供されるアプリのアクセス管理方法などに関するものだ。EMMプロバイダーを評価する際には、こうした重要な機能を比較することを推奨する。
どのEMMプロバイダーを選択するかでモバイル使用ポリシーの内容は大きく変わる可能性がある。モバイルからメールにアクセスできるようにすることが唯一の目的である場合は、モバイルデバイスの使用ルールを略述した付加条項を既存のITポリシーに追加すれば事足りるだろう。だが、企業はモバイルでのアクセス範囲を拡大することを希望している可能性が高い。具体的には、社内で共有されているファイルや重要な生産性向上アプリにアクセスできるようにすることだ。こうした理由からモバイル固有のポリシーを策定する必要がある。その際には、EMMソフトウェアがユーザーのデバイスに対して行う管理に留意しておかなくてはならない。
ユーザーのデバイスを管理する場合は、その意図についてユーザーの承認をしっかり得ておこう。EMM製品がリモートワイプを行う可能性やアプリの使用状況を監視したりする可能性について、ユーザーに注意喚起しなくてはならない。
また、法務部門、人事部門、IT部門、調達部門、営業部門など、さまざまな部門と連携して、各部門のニーズが満されるようにすることも重要だ。法律的な問題は山積している。モバイルデバイスによって、eディスカバリー(電子的証拠開示)プロセスが複雑になる恐れがあるため、規制が厳しい業界の企業の場合は特にそうだろう。
企業のリソースを保護しながら、従業員のプライバシーに対する法律における権利を侵害せず、生産性も妨げないようにする必要がある。そこをうまく両立しなくてはならない。
今後の展望
モバイル管理構想が、デバイスの枠を超えてコンテンツ、アプリ、データにまで及ぶことは避けられない。EMMプロバイダーは、生産性向上アプリ、アプリストア、コンテンツ管理システム、ネットワークセキュリティテクノロジーを統合することで、こうした改革と連動する製品ロードマップを示すことが求められるようになるだろう。
PCとモバイルデバイスの線引きは、どんどん曖昧になっている。EMMサービスは端末に依存することなく、ネットワークに存在し得る全てのソースのデータをまとめられなくてはならない。メールやWebのゲートウェイ、エンドポイントデバイス、アプリもその対象だ。さらに、これらが物理環境、仮想環境、クラウド環境のいずれにあっても対応できる必要がある。
こうした要素を全て管理できることで、企業は潜在的な脅威を特定し、継続してポリシーを施行できる。EMMプロバイダーを評価する際には、そのプラットフォームが拡張と一元管理に対応できるよう構築されているかどうかを必ず確認するべきだ。
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