企業におけるMDMの立ち位置を整理
スマホユーザーを敵に回しても「モバイルデバイス管理(MDM)」をやめてはいけない
「モバイルデバイス管理(MDM)」は、長い年月を掛けて大きく発展した。従業員からの反発があるからといって、その価値が下がるわけではない。
ユーザーとスマートフォン/タブレットの間には密接な関係が築かれている。対して管理者は何年もの間、過度に厳格でエンドユーザーの操作性を低下させる「モバイルデバイス管理(MDM)」による制御を導入してきた。IT部門は、従業員から好まれる形でMDMを効果的に使用する方法を探し続けている。
MDMが誕生したばかりのころ、多くの管理者は、従業員が所有するスマートフォンをカナダBlackBerryの「BlackBerry」のようなものにして、セキュリティを確保したいと考えていた。だがこのアプローチは、企業環境に一般コンシューマー向け端末を持ち込む問題を解決するには至らず、すぐに従業員からの反感を買うことになった。
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成熟する「EMM」
その直後、MDMの代替策として誕生したのが「モバイルアプリケーション管理(MAM)」だ。IT部門は、全ての端末に企業ポリシーを強制するのではなく、特定のアプリに制御機構を組み込むことができるようになった。
さらに「エンタープライズモビリティ管理(EMM)」の成熟により、私たちはMDMとMAMの両方が必要であること、またこの2つが現代の企業環境で連係できることを認識するようになった。
EMMの成熟は、ユーザーの操作性を重視する米Appleの「iOS」で特に顕著だ。IT部門が端末に対して何を実行できるかは、アクセス権を管理する厳格なシステムが判断する。また従業員は、プライバシー管理の機能を使用して、会社のアプリが自分の位置を特定したり、写真にアクセスしないようにすることが可能だ。
さらにiOSでは、ショートメッセージングサービス(SMS)など特定種類のデータについて、雇用主は確認することすらできない。ユーザーまたは管理者のどちらかが、端末とMDM製品とのつながりを切断した場合、企業は個人データに触れることなく、業務アプリとデータを安全にワイプできる。
近年では、iOS搭載端末にMAMが組み込まれ、会社のアプリ、ドキュメント、ネットワークトラフィックを個人の資産から分離することが可能になった。さらにAppleは、同社の「Device Enrollment Program」のように、大量の会社所有端末を導入/管理するためのオプションも数多く提供している。
Android対応のMDM
米Googleの「Android」搭載端末の管理はこれまで、iOSより困難だった。Androidに備わる中核的なMDM機能は非常に基本的なものだったからだ。ハードウェアメーカーは何年もの間、そのギャップを埋めるために独自の仕組みを追加してきた。
こうしたメーカーの取り組みにより、iOSのMDMに匹敵する機能を持つ素晴らしいAndroid端末も生まれてきた。ただしさまざまな端末が登場することは、特に制限を設けずに私物端末の業務利用(BYOD)を許可している企業にとって、端末ごとに個別の管理を強いることになる。
「Android 5.0」(Lollipop)に組み込まれたGoogleの企業向けプログラム「Android for Work」は、上述の問題を緩和する可能性を秘めている。Android for Workは、端末やアプリに関する多くの強力な管理オプションを用意する。ただし、これらの機能の導入には時間がかかる。Androidでは、完全にMDMに依存するのではなく、MAMや業務専用アプリとの併用が最適な選択肢となることが多いだろう。
構成要素にすぎないMDM
MDMの導入全般に関する予測はさまざまだが、MDMが企業のモバイル戦略を進める中心的要素であり続けるのは間違いない。MDMはノートPCにも広まり、米Microsoftの「Windows 10」やAppleの「OS X」は、MDMに近い機能を多数搭載する。
以前と比べて、MDMの性能や柔軟性は明らかに向上している。ただし、MDMを使うのが適切でない状況は依然として存在する。例えばBYODについて考えた場合、各国の個人情報保護法や従業員の雇用主に対する信用度合いによっては、MDMの導入には慎重な検討が必要になる。
MDMは有益なツールではある。一方で企業のモバイル戦略は、アプリとデータのモバイル化により重きを置かなければならない。モバイル化全般がもたらすチャンスと比べれば、MDMは単なる構成要素にすぎないはずだ。
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