大原雄介の「最新ネットワークキーワード」
「VLAN」編──全てはVLANの混沌から(2/2 ページ)
VLANでネットワーク技術者は不幸になった
「どの機器がどのVLANに所属するか」を決める方式としては、以下の方法がある。後は利用するスイッチの持つ機能などを勘案しながら設定すればいい。
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| ポートベース | スイッチのどのポートがどのVLANに属するかを決める |
| MACアドレスベース | スイッチにつながった機器のMACアドレスでどのVLANかを決める |
| IPアドレスベース | それぞれの機器のIPアドレスで属するVLANを決める |
| プロトコルベース | どの通信プロトコルを利用するかで属するVLANを決める |
| タグベース | ポートごとにどのVLANのタグを利用可能か決める |
さて、VLANを使うことでネットワーク地獄絵図は消滅したか? 正直言って状況はむしろ悪化した。VLANを使うことで、ネットワーク担当者は確かに柔軟に設定できるようになったが、今度はその設定作業が大変になった。
どの方式のVLANを利用するにしても、それぞれのスイッチに対して設定作業が必要になる。各スイッチのシリアルポートにターミナルを接続したり、SNMPプロトコルをサポートしたりしている場合はこれ経由でログイン(ちなみにWeb経由の設定をサポートするようになったのはごく最近)して設定を行う必要がある。
この設定が分かりにくかった。特に複数のベンダーのスイッチが混在すると、それぞれの設定方式が異なるので「どう設定すべきか」で悩むことも珍しくない。タグベースのVLANだと、物理的に離れた拠点でも同一VLANを簡単に構成できるが、ここで設定を間違えると離れた拠点まで出張して修正しないといけなくなる。
幾つかのベンダーは、離れた拠点でもまとめて設定できて、かつ、GUIで使いやすいツールを用意していたが、対象は自社製品のみ。「ツールで主要な設定が一括で可能」といいながら、実際には細かい設定を個別に行わないといけなかった。既に掲載しているホワイトペーパー「マンガで知る「毎回徹夜作業の連続」のVLAN設定変更作業を一変させるSDNの実力」(提供:NEC)に出てくる話は、必ずしも大げさではなく(筆者もこんな光景を何度か目にしてきた)、ネットワークエンジニアでないことを神に感謝したというのは、大げさではあるが嘘ではない。
そのころ、新しい技術として「サーバ仮想化」や「ライブ・マイグレーション」が登場した。それまでは、サーバは物理的に固定しているから話が楽だったが、サーバ仮想化やライブマイグレーションによる素早い構成変更が可能になったので、これに合わせてVLANの構成も見直しましょう(例えば部門A、B、Cという縦割りから、それぞれの部門の開発、営業、バックオフィスという横割りにしたり、縦横で分けたり、部門Aの開発と部門Cのバックオフィスはサーバ1つに集約したりなど)なんて話になってきて、ネットワーク技術者たちはさらに気の毒なことになった。これまさに地獄。
SDNという発想が出てきたのは、この地獄絵図が大前提にあっての話であるが、直接的には「OpenFlow」という新しい技術の登場がきっかけとなる。次回はこの辺りから解説したい。
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