マクロで捉える OpenStackソリューション選定【最終回】
OpenStackに深入りする前に読んでおきたい3つの論点(2/3 ページ)
市場:プライベートクラウドかNFVか
OpenStackのパブリッククラウドをグローバルに提供できるベンダーとして期待されたRackspaceとHewlett Packard Enterprise(HPE)が、プライベート/マネージド型のクラウドビジネスに軸足を移した。
理由はさておき、パブリッククラウド市場においてOpenStackの存在感は希薄となった。今後新たなプレイヤーが参入する可能性は十分あるが、軌道に乗るまでは数年かかるだろう。
となると、当面OpenStack市場を引っ張るのは、プライベートクラウドと、それをas a Service型で提供するマネージドクラウドである。運用にスキルを要する現時点のOpenStackでは、マネージド型が注目されている印象があり、提供ベンダーは増えていくだろう。
そして、もう1つ大きな市場がある。それは通信事業者むけの「NFV」(Network Function Virtualization)だ。
NFVとは、従来高額な専用機器で実現していた通信サービスを、汎用のIT製品を使い、なるべくソフトウェアで実装しようという考え方だ。そのオープンな規格、スタンダードとして、OpenStackが注目されている。
OpenStackの商業的成功を考えると、NFVは重要なマーケットだ。通信事業者のビジネスに直結する基盤であるため投資が見込める。その規模も大きい。
ただ、このNFVがOpenStackのバランスを崩す可能性もある。
OpenStackはクラウド時代に生まれた。規模が大きくなれば、どこかが必ず壊れる。そのため、壊れることを前提に全体でカバーする。細かいことを気にしすぎない。見えない部分があることも許容する。これがクラウドの考え方だ。
一方、従来の通信サービス基盤でそんな考えは許されない。個々の設備の信頼性を高め、どの設備にどの顧客や機能を収容しているかを可視化し、きめ細かくコントロールしてきた。OpenStackとの間には大きなギャップがある。
筆者もNFVのRFP(提案依頼書)に対し、OpenStackだけでは実現できないと「バツ」を多く付けて回答したことが数度ある。
ユーザーニーズに従い、OpenStackをNFVに寄せていくのは1つの考え方だろう。しかしそうすると、根っこにあったクラウドの特徴は失われていく。全てのユーザーがNFV向けの機能を必要とするわけではない。これが、筆者が「バランスを崩す」と危惧する理由だ。
OpenStackは非常に民主的なコミュニティーで、運営も透明性が高い。全体のバランスを取りながら、いかにNFVのニーズを取り込んでいくか、注目している。
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マクロで捉える OpenStackソリューション選定
当連載はエンタープライズ、中でもベンダーの協力を得てOpenStack環境を構築しようと検討しているユーザー企業を対象に、「どのような観点でベンダーを選定し、協力関係を作り上げ、活用するか」をテーマに、実践的な情報をお伝えしたい。主な対象は、OpenStackそのものを提供するディストリビューションやアプライアンスである。
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