マクロで捉える OpenStackソリューション選定【最終回】
OpenStackに深入りする前に読んでおきたい3つの論点(3/3 ページ)
人材:日本でも流動化は起こるか
世界的に見ると、OpenStack技術者の人材流動性は高いと感じる。2~3年をひと区切りとして、自分の能力が生かせる、評価される企業に移っていく。各開発プロジェクトのリーダークラスの移籍が話題となることも多い。
優秀な人材がベンダーからベンダーに移ったという話は、ニュースになりやすく、目立つ。だが、気付きにくい重要な動きがある。それは、ベンダーからユーザー企業に移る人間もいるということだ。
「OpenStack Summit」などの世界的カンファレンスでは、ベンダーだけでなくユーザーが積極的に情報を発信している。そういった人材の経歴を見てほしい。以前、ベンダーに所属していた人が少なくない。
社内に新しいテクノロジーや文化を根付かせることは容易でない。制度や教育での動機付けは効果が限定的であり、その他の刺激と説得力が必要だ。OpenStackの先進ユーザーはそれを理解しており、ロールモデル、強い刺激となり得る人材が社内にいなければ、外部から少数でも採用する。その人材を中心に輪を広げていくのだ。
日本ではどうだろう。ベンダー間のOpenStack人材の流動性は高まりつつあると感じる。しかし、ベンダーからユーザー企業へ、というケースは、ほとんど聞かない。
OpenStackの外に目を向けると、ベンダーからユーザー企業への移籍例は増えているように感じる。昨今SNSやイベントで、ユーザー企業で活躍するクラウド人材と交流する機会が増えた。経歴を聞くと、過去ベンダーに所属していた場合がある。技術のエキスパートで、かつ刺激になるというだけでなく、「これまで」にとらわれすぎない、転職というリスクを取るマインドがある、情報源や人脈に広がりができるなど、ユーザー企業にとってベンダーにいた人材の招請には検討すべきメリットがある。
もちろん人事戦略に関わる課題なので簡単ではない。また、OpenStackだけを契機に採用を進めることは難しいだろう。しかし、日本においても内製化、IT機能強化の議論が盛り上がりつつある。こういったケースが増えることを期待したい。
4回にわたってOpenStackの現状と今後の展望について、詳細にとらわれすぎず、マクロな視点でお届けした。半面、やや抽象的なところもあったかもしれないが、トレードオフとしてご容赦いただきたい。その分、一般的な製品解説記事では触れられないような情報を提供できたのではと感じている。
OpenStackはオープンソースとクラウドという、エンタープライズITにとっての2大テーマの集合体だ。変化が激しく課題も多い。しかしその分、OpenStackを正しく理解し、使いこなせる組織は、間違いなくIT活用の地力がある。
今後、ユーザーのハッピーな声に触れられる機会が増えることを願っている。
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マクロで捉える OpenStackソリューション選定
当連載はエンタープライズ、中でもベンダーの協力を得てOpenStack環境を構築しようと検討しているユーザー企業を対象に、「どのような観点でベンダーを選定し、協力関係を作り上げ、活用するか」をテーマに、実践的な情報をお伝えしたい。主な対象は、OpenStackそのものを提供するディストリビューションやアプライアンスである。
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