【連載】IT部門のためのアナリティクス入門 第1回
データ分析がビジネス課題の解決に生かせていない本当の理由(3/3 ページ)
練習問題:マーケティングキャンペーンROI最大化のためのアナリティクス
それでは練習問題じゃ。マーケティング部門でのキャンペーンROIを最大化するために何が必要か、考えてみてほしい。
まずはBIツールを使って、現状と課題の把握ですよね。予実データや販売データ、会員属性データ、キャンペーン反応結果などが使えそうですね。データはそれぞれ、いろいろなシステムに入っているから、データ抽出から統合、加工などの準備は私たちIT部門がサポートする必要がありますが、セルフサービスBIを活用すれば、後はマーケティング部門が自由にいろんな切り口でレポーティングできるわけですね。
どんな風に?
例えば販売目標に達していない商品や過去のキャンペーン結果などを簡単に把握することができますよね。
ふむふむ。しかし、それだけでは、キャンペーンROIを最大化することはできないぞ。
ここからがアナリティクスの本番ですよね。過去データからキャンペーンに反応した顧客のパターンを見つけ出しルールを数式化することで、どういった属性の顧客グループに何を訴求すれば最大の効果を得られるかを予測する分析モデルを作成し、高い効果が期待できる顧客グループだけに対象をしぼった施策に結び付けたいと思います。
そうそう。同時に実施できるキャンペーン数やコスト、顧客へのコンタクト回数などの制約条件もあるので、マーケティング部門全体で効果を最大化できるように最適化することも重要ですよね。これで、プロアクティブな意思決定ができます。
そうじゃな。いろんな分析手法があり、統計解析やデータマイニングなど分析の専門知識を必要とする作業じゃな。ただツールを活用すれば効率を上げることも可能じゃ。さらに、最近注目されている機械学習も、最新のアナリティクスツールを使用すれば、高度な専門知識が無くても簡単に精度のよい分析モデルを構築することができる。
おぬしに相談をしてきたユーザー部門、果たして、何をしたいのかのう。
ちなみにアナリティクスの成果は必ず定量的に評価できるはずなので、その辺りにも注意が必要じゃな。例えば、アナリティクスを既に活用している企業は実際にこんな成果を出している。
収益の向上
- クレーム分析により利益率を1%向上、数百万ドルの売上増(1-800-FLOWERS.COM)
- 顧客分析に基づく最適な商品提案により成約率が3%から10%台へ向上(横浜銀行)
- 顧客行動分析に基づくタイムリーな施策により、収益が年間1250万ドル増加(オンライン小売)
コストの削減
- 品質問題の早期検知で保証対応コストを10から15%を削減(Lenovo)
- 製造プロセスの改良を通じ1550万ドルのROIを実現(POSCO)
- 待機要員の予測精度向上により数百万ドルを削減(America West Airlines )
リスクの管理
- 不正請求の特定により年間約5億7000万円を節約(Allianz Insurance)
わお! アナリティクスって、効果が数字で分かっちゃうんですね。しかも、すごい金額! これなら、ウチの部長も説得できるかも……、って、そうか! 私、ユーザー部門が「データ分析」で何をやりたいのか、彼らのビジネス上の目的を確認できていなかったんですね。情報システム部門がビジネスに貢献するためには、その「目的」を理解しなければ、適切なサポートができないですよね。
ふむふむ。だいぶ分かってきたの。そうじゃ、ついでと言っては何じゃが、どんなデータを使おうとしているのかも聞いてきた方が良いぞー……って、行ってしまったな。
と思ったら、戻って来よった。どうじゃった?
2つの意思決定の話、つまり、BIとアナリティクスの違いをガツンと説明してきました。ユーザーの皆さんが何となくイメージしていたのはBIのような見える化どまりのツールだったようですが、効果を出すためにはアナリティクスが必要だって気付いてもらえたようで、「自分たちのやるべき道筋が整理できた」って感謝されちゃいましたよー!
もう、拍手喝采。興奮のルツボでした。握手求められちゃいました。ありがとうございます。
ふむふむ。おぬしがモヤモヤしていた「会社の利益に貢献する情報システム部門」に一歩、近づいたの。
本当だ! アナリティクスってまさに、IT活用による業績への貢献そのものですね。あ、でも、ちょっと気になることがありまして。ユーザー部門の皆さん、何だかどんどん盛り上がってきちゃって「あのデータも使おう」「こんなデータも入手できるはずだ」って。活用するデータが多岐にわたればかなりの大容量になるはずだと思うんですが、どこに置くつもりなのかな……って。あれ? せ、仙人! その象、どこから連れてきたんですか?
(第2回に続く)
執筆者紹介
小林 泉、大島玲子
(小林)SAS Institute Japan株式会社でビッグデータ・アナリティクスのプロジェクト経験を踏まえ、Hadoopソリューションなどの新製品展開の担当を経て、現在は事業企画を担当。最近、仙人になろうと掃除機をインターネットに接続してみたりしている。
(大島)SAS Institute Japan株式会社でB2Bマーケティングのキャンペーン企画/管理を担当。愛犬と一緒に、サッカー観戦をするのがお気に入りの時間。最近、IT部門に興味津々。
2016年5月11日(水)、アナリティクス活用の先進企業による事例講演や、最新テクノロジーを一挙にご紹介するSAS FORUM JAPAN 2016をグランドハイアット東京 (東京都港区)開催。参加費無料(事前登録制)。お問い合わせはこちらまで https://sasforum.jp/
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IT部門のためのアナリティクス入門
ビッグデータアナリティクスのビジネス活用において、IT部門が果たす役割とは何か。アナリティクスの本質と必要なツールについて、分かりやすく解説します。
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