Computer Weekly製品ガイド
テクノロジー管理のための新しいスキル習得
顧客の時代の組織には、ビジネステクノロジーとITの課題の両方に重点を置くことが求められる。
これまでのITは、マーケティングや業務などのビジネス分野のニーズごとに比較的孤立したシステムを構築してきた。そうしたシステムは極めて複雑になることもあったが、技術管理者はそのやり方を理解していた。
だが“顧客の時代”の組織は、ビジネステクノロジーとITの課題の両方に重点を置くことが要求される。爆発的に増大する顧客データを活用すべき状況の中で、技術管理のためには政治スキルやコンサルティングスキル、組織を横断するスキルの向上が必要になる。
コンサルティング
技術管理の担当者はテクノロジーや方法論の知識を駆使して、ビジネスパートナーにできることとできないことを助言する必要がある。
「影のIT」が横行していたり、顧客に直接的な影響が及ぶ変化を促す業務に着手したりする場合、特にそれが重要になる。最低でも、技術管理者は業務部門の担当者が技術に関する十分な情報を得た上で決断できるよう配慮しなければならない。
技術管理部門に所属するデータ専門家は、データでできることとできないことについてビジネスユーザーの相談に乗る必要がある。別のケースでは、技術管理者がビジネスの先頭に立ちながら、同僚が付いて来ていることを確認しなければならない。だが、コンサルティングはタスクに基づくものではなく、結果に基づくものだ。
技術管理者が新しいタスクを行うためには、間違いなく新しいスキルの習得が必要になる。だがそれ以上に、ビジネス部門による事業成果の定義、追求、達成を支援できるスキルに重点を置くことが大切だ。
例えば、米国のあるヘルスケア製品企業でビジネスシステムを担当する上級管理職は、IT部門が事業部門にとってのコンサルタントになろうと努めていると話し、「われわれは全体像を示して困難な箇所を見極める必要がある」と指摘した。
プロジェクトと変更管理
現在、ほとんどのビジネス変革プロジェクトは、プロセスとシステムと部門の間にグローバルレベルの一貫性を持たせている。多国籍製薬会社のグローバル戦略とアーキテクチャを率いる上級管理職は自社の変革について、「目的は社内を隔てる壁を壊し、地域的な違いに起因する妥協を減らすことにあった」と振り返る。
ここではほぼ全てのビジネスプロセスを実現することにより、技術管理チームが多大な影響力を持つ。だが、そのスキルは組織全体のスケールに合わせる必要がある。
顧客の時代のプロジェクトは、組織横断的になり社外のアプリケーションも取り入れる傾向がある。その種のプロジェクトを管理する手段やスキルは、指揮統制よりも契約に頼る部分が大きくなる。そのため政治性や方法論の応用性、プロジェクト管理担当者に対する監督性が強まる。
具体的には、プロジェクト管理者はプロジェクト管理の方法について事業部門の従業員やサービス事業者に相談する必要がある。そうすることによって、方法論的構造に敏感になる必要が生じ、その方法論が非技術部門や社外部門を望ましい方向へと駆り立てる。方法論の量は適切でなければならず、多すぎても少なすぎてもいけない。
技術管理担当者はユーザーエクスペリエンス設計やエンタープライズプロジェクト管理、社風の変化、そして恐らくは事業変革の仕組みについても知っておく必要がある。
理想的には、そうした分野の多くは技術管理の管轄外とすることが望ましい。だが、他に誰もそれを担おうとしない場合もある。そうなると普通は何も達成されず、ブランド的にも経営的にも多大な影響が出かねない。そして前述した通り、技術管理者は組織のあらゆる部分をサポートする。
ビジネスシステムの上級管理者は、管理の変化にはスキルギャップが生じると話し、「ITがまず変化を切り抜ける。ビジネスはITの後にそれを感じる」と指摘した。
政治性
IT管理の意思決定が顧客や経営上層部に与える影響は大きくなる。経営上層部にはそれに抵抗できる政治力がある。
スポーツ用品小売り企業のオンライン子会社は、負荷がピークに達したときのための新しい注文処理システムを緊急に必要としていた。同社はクラウドシステムを選んだが、それを導入するためにはそれまでのビジネスプロセスを変更する必要があった。CIOとそのチームは、経営上層部の望む範囲を越えて会社が必要とするものに到達するために、強力な政治的スキルを必要とした。
技術管理者にはそうした「ソフトな」スキルが欠けていることも多い。ビジネスシステムの上級管理者によれば、「プロセスを変える必要があっても、IT部門の政治スキルが適切なレベルにない」という。
技術者はデータやアプリケーション、モバイル端末を含む分野で標準や方向性、統制を提供する。これまでその重点はほとんど社内に絞られていた。
だが顧客の時代には、技術者がカスタマーイノベーションの根源や可能性のある消費者を見いだすことにより、革新を促す必要がある。競合他社が技術をどう使っているかを把握し、技術の可能性と限界について社内のクライアントと協議しなければならない。それは技術をどう使うべきかを相手と話し合うことによって、影のITによる被害を食い止め、活用する役に立つ。
特にビジネスアーキテクトはプロセスをどう変更すべきか経営上層部を説得する立場にあり、政治スキルを向上させる必要がある。
サプライヤー管理
顧客の時代におけるサプライヤー管理者は、クラウドなどのサービスを導入する担当者へ助言しなければならない。業務側の人間はセキュリティやメンテナンスのしやすさ、そして実装できるかどうかよりも機能を重視しがちだ。サプライヤー管理者はどのような機能が必要かを見越して、適切なソースを提案する必要が生じる。パートナー選定のための基準に関して非技術者を教育することが求められる。
技術管理部門がそうしたシステムの多くを担うことを前提とすると、サプライヤー管理者には複数のSaaSサプライヤーを管理する能力や、他者がそれを行う場合に助言する能力が求められる。
「クラウドなど外部のサービス事業者のエコシステム拡大に伴い、パートナーの運用実績管理やITサービス管理プロセスの統合といった新興スキルが浮上している」。Capital GroupのIT運用・サポートサービスを担当するトニー・アイオリオ氏はそう話す。
顧客認識
技術管理担当者は、顧客調査や直接的な交流、あるいは他の手段を通じてカスタマーエクスペリエンスを把握する必要がある。
例えば小売り業者のHome Depotは1週間ごとに顧客の満足度を調べ、結果に基づき行動している。
顧客の時代における設計者は業務担当者と連携しながら顧客とも直接的にかかわって、複数の端末で機能を構築し、導入して利便性を高めなければならない。
設計者には社外の顧客と連携するための方法論的スキル、さまざまなプラットフォームをサポートするための技術的スキル、そして顧客の利便性を損なう悪影響を最低限に抑える競争的スキルが求められる。
本稿はForrester Researchの副社長兼主席アナリスト、マーク・セセレ氏による報告書「Acquire new skills for technology management(技術管理のための新しいスキル習得)」から抜粋した。
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