Cloudera、Hortonworks、IBM、MapRの商用製品が対象
徹底比較:Hadoopの主要ディストリビューションを4つの要素で見る(2/2 ページ)
3.Hadoopベンダーのセキュリティとデータ保護
エンタープライズクラスのアプリケーションにオープンソースソフトウェアが使用されるケースが増えているが、セキュリティやデータ保護の点から見ると、運用環境で使用するのが本当に適切かという疑念は払拭されていない。Hadoopベンダー数社は、この不安を和らげる措置を取っている。
例えばHortonworksは、他のベンダーや顧客と連携して「Data Governance Initiative for Hadoop」を立ち上げた。最初このイニシアチブでは、共有メタデータ管理や、データ分類、監査、セキュリティ/ポリシー管理を実行してデータを保護するため、「Atlas」という新しいApacheプロジェクトに力を注いでいた。また、データアクセスポリシーを施行するためのオープンソースセキュリティツール「Ranger」と、Atlasの統合にも取り組んでいる。Clouderaは、ユーザーがCDHプラットフォームのデータセキュリティと、ガバナンスを管理できるようにするツールを提供して、コンプライアンスと法規制のニーズに対応している。
また、Hortonworks、Cloudera、MapR、IBMはいずれもデータ暗号化機能を提供している。HortonworksとClouderaはデータが保存された状態での暗号化をサポートし、MapRは、クラスタ内外を転送中のデータを暗号化する。IBMは、データプライバシーを確保するとともに暗号化と機密データのマスキングを実行する「InfoSphere Guardium」という製品を提供している。
ポイント
Hadoopのベンダー各社は「認証」「ロールベースのアクセス制御」「セキュリティポリシー管理」「データ暗号化」に異なるアプローチを取っている。従って、セキュリティとデータ保護に関して自社に何が必要なのかを慎重に見極め、ベンダー各社がそのニーズをどのように満たしているか確認することだ。
4.Hadoopの主要ディストリビューションのサブスクリプションサポート
OSSモデルの真価は、「サポートとサービスによるシステムデプロイのバンドリングと簡略化」にある。Hadoopをデプロイする場合、オープンソースリポジトリから各コンポーネントのソースコードをダウンロードし、全てのパーツを構築して統合することもできる。だが、これにはスキルも労力も要する上に、恐らくは、反復プロセスになる。オープンソースベンダーを利用するメリットは、わざわざそのような手間をかけなくとも構成済みのディストリビューションを提供し、統合スタックを最新状態に保ってくれるところにある。
ベンダー間で大きく違いが出るのがサポートモデルだ。HortonworksはJumpstartエディションやEnterpriseエディションなど、複数のモデルを用意している。Jumpstartエディションは、営業時間中にはWebベースで対応し、それ以外の対応時間は1営業日だ。Enterpriseエディションは年中無休のサポートを提供し、問題の重要度によっては対応時間がかなり短い。Clouderaは、エンタープライズライセンス保有者に年中無休のサポートオプション1時間分が付いたサポートサブスクリプションを用意している。また、企業向けプレミアサポート用ライセンスとしてFlexエディションまたはData Hubエディションがあり、重要な問題には15分で対応される。
AWSアカウントでは、全てに含まれているのがベーシックサポートで、「年中無休のカスタマーサービス」「コミュニティーフォーラムとドキュメント」「AWS Trusted Advisorアプリケーション」を利用できる。開発者サポートには、重要な問題に1時間で対応するサービスが含まれる。ただし、ほとんどの問題は12~24時間で対応される。ビジネスサポートでは、クラウドサポートエンジニアが年中無休でメール対応する他、重要度によって迅速な対応を求めることができる。そしてエンタープライズサポートでは、非常事態には15分未満で対応するとともに、専用のテクニカルアカウントマネジャーが存在し、さらに製品の発売や運用についてもサポートを受けることができる。
MapRの場合、プレミアムサポートサービスに「Webおよびメールのサポート」「カスタムポータル」「緊急のバグ修正」「年中無休のサポート」「優先度の高い問題への年中無休の電話サポート」が追加される。さらに同社のプレミアムプラスサポートに付加される項目として「チケットのプライオリティキューイング」「専用のサポート担当者」「オンサイトまたはリモートの専用サポート担当者」がある。IBMは「IBM Open Platform with Apache Hadoop」を拡張するライセンスコンポーネント(「付加価値モジュール」ともいう)を購入する企業にサポートを提供している。
ポイント
ベンダーが提供する付加価値の源がサポートサービスならば、さまざまなサポートサブスクリプションのコストは、顧客の期待に沿っていなければならない。専用サポートスタッフが年中無休で15分~1時間以内に対応するのと、営業時間内にWebベースのインタフェースで24時間以内に対応するのとでは、前者の方がずっとコストは高くつく。
Hadoopは、ここ10年でビジネスインテリジェンスと分析業界に変革をもたらした。だがここで見てきたように、オープンソースのHadoopフレームワークが提供する機能は限られるため、より堅牢なパフォーマンスと機能、メンテナンス、サポートが必要な企業は、Hadoopソフトウェアの商用ディストリビューションに目を向けている。ぜひ本稿を参考に、十分な情報を持ってHadoopディストリビューションの購入にはあたってもらいたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
2
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー