Cloudera、Hortonworks、IBM、MapRの商用製品が対象
徹底比較:Hadoopの主要ディストリビューションを4つの要素で見る(1/2 ページ)
Hadoopの主要ディストリビューションを「デプロイモデル」「エンタープライズクラスの機能」「セキュリティとデータ保護機能」「サポートサービス」という4つの角度から比較する。
Hadoopエコシステムを構成するのは、オープンソースソフトウェア(OSS)コンポーネントだ。だが、ベンダーからサブスクリプションを購入して、商用Hadoopプラットフォームを使用するメリットも極めて大きい。例えば、技術サポートやトレーニングを受けられる。OSSコミュニティーからは入手できない企業向けの機能にもアクセスすることができる。Hadoopの商用ディストリビューションのエンタープライズエディションが提供するコアコンポーネントは、いずれもHadoopエコシステムスタックと変わらない。従って、主な差別化要因はOSS以外の機能になる。
このところ市場の変化によって、Hadoopベンダーの数は減っている。例えば、2016年5月、Pivotal SoftwareはHadoopの自社ディストリビューション販売から撤退し、Hortonworksのディストリビューションの再販を開始すると発表した。それでもHadoopディストリビューションを選ぶとなれば、独立系のHadoop専門ベンダー、クラウドプロバイダー、大手ITベンダーなど、さまざまなグループを検討しなければならない。
本稿では、どのHadoopベンダーが自社に適しているかを判断できるよう、主な特徴に基づいてHadoopの主要ディストリビューションを分類した。具体的に分類の基準にしたのは「デプロイモデル」「エンタープライズクラスの機能」「セキュリティとデータ保護機能」「サポートサービス」の4つだ。
Hadoopビッグデータ管理エコシステムは、スケーラブルなデータストレージとハイパフォーマンスの分散コンピューティングをサポートするよう実装されているが、実際のパフォーマンスは、ソフトウェアの実装など幾つかの要因に左右される。だが、パフォーマンスの問題は、導入予定のアプリケーション自体に起因することが多い。そのため、Hadoopディストリビューションがどのようにユーザー企業のビジネスニーズに対応するかについても確認する。
1.Hadoopデプロイモデル
Hadoopベンダーの多くはデプロイ方法を複数サポートしている。ところが、MicrosoftとAmazon Web Services(Amazon)のHadoopディストリビューションは、クラウド環境にしかデプロイされない。Microsoftは「Hortonworks Data Platform」(HDP)をベースとするマネージサービス「HDInsight」をサポートするために「Microsoft Azure」(Azure)を活用している。HDPはPivotalが再販するHadoopディストリビューションと同じだ。Amazonは、「Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)」と「Amazon S3(Simple Storage Service)」を「Amazon EMR(Elastic MapReduce)」の基盤とする。EMRにはHadoopディストリビューションと多様なツールやテクノロジーがバンドルされている他、MapRのHadoopディストリビューションを使用するオプションも用意されている。
クラウドデプロイモデルでは、Hadoopクラスタを迅速かつ簡単にプロビジョニングできる。MicrosoftとAmazonはいずれも、コンピューティングとストレージ容量のニーズの変化に対応するため、ユーザーが環境の規模を適宜変更できるようにしている。この柔軟性の高さは、コンピューティングやストレージのニーズが、日々変わり続ける企業にとってはうってつけだ。
Hadoopの他の主要ベンダー、Cloudera、Hortonworks、IBM、MapRにもクラウドデプロイモデルがあるが、それだけに限られてはいない。オンプレミスにも、LinuxやWindowsなどのさまざまなサーバのプライベートクラウドにもデプロイ可能だ。さらに、ClouderaとHortonworks、MapRは、VMwareなどの仮想環境で実行できるサンドボックス版も用意している。
おわびと訂正(2016年6月13日21時30分)
以下の通り訂正しおわびいたします。
【訂正前】
ClouderaとMapRはVMwareなどの仮想環境で実行できるサンドボックス版も用意している。
【訂正後】
ClouderaとHortonworks、MapRは、VMwareなどの仮想環境で実行できるサンドボックス版も用意している。
ポイント
ビッグデータ環境を社内で管理するのと、ホスト型サービスを使用するのとでは、どちらが適切なのかを考えることだ。環境を社内で管理するのであれば、環境がオンプレミスの物理プラットフォームであろうと、クラウドベースのサービスを使用して環境をホストしていようと、ソフトウェア環境の監視と保守、そしてシステムの継続的監視が必要になる。オンプレミスのオプションが好まれるのは、経験豊富な社員がいて、システム規模を正確に把握している場合、またはセキュリティを確保するために信頼性の高いファイアウォールの背後でシステムを管理する必要がある場合だ。
もう1つのホスト型サービスでは、運用環境の構成、起動、管理、監視を支援するホスト型サービスプラットフォームをベンダーが提供する。こちらは、必要とするシステム規模が分からない場合や、需要の増加に伴ってシステム規模の拡大が予想される場合に好まれる。クラウドサービスやホスト型サービスを利用するメリットは、ストレージリソースにも処理リソースにも、必要な柔軟性が提供されることだ。
2.Hadoop主要ディストリビューションのエンタープライズクラスの機能
Hadoopの独立系ベンダー3社には、開発アプローチに幾つか大きな違いがある。Clouderaは通常、自社開発のアドオンテクノロジーを使ってHadoopコアを補強する。クエリエンジンの「Impala SQL-on-Hadoop」、管理ツールの「Cloudera Manager」、リアルタイム分析アプリケーションに使用するデータストア「Kudu」などがその例だ。Kuduは「Hadoop Distributed File System」(HDFS)に代わるデータストアになる。同社は、こうしたテクノロジーの初期開発が終了すると、基本的にはオープンソース化を行うようになっている。これに対してHortonworksは「Apache Hadoopコミュニティーでソフトウェアを100%強化し、独自の拡張機能は設けない」ことを売りにしている。同社の推進力となるのはプロビジョニングと管理のソフトウェア「Ambari」などのアドオンテクノロジーで、これらは開発当初からオープンソースプロジェクトとして開始する。また、同社は、IBMなどの企業と連携し、Hadoopプラットフォーム共通のコア技術仕様を作成することを目的とする団体「Open Data Platform Initiative」(ODPi)を立ち上げている。これにより、相互運用性を高め、ベンダー固有機能を最小限に抑えることができるというのがODPiメンバーの考え方だ。
第3の道を進んでいるのがMapRだ。同社はHDFSに代わる独自のファイルシステム「MapR-FS」の構築や、独自のNoSQLデータベース「MapR-DB」などの基盤テクノロジーの開発を進めている。こうした独自開発は、エンタープライズクラスのパフォーマンスニーズを持つ、大規模クラスタ展開をサポートすることが目的だ。また同社は、リアルタイムのストリーム処理アプリケーションに徐々に照準を合わせている。2015年12月、同社は製品名を「MapR M7」「MapR M5」「MapR M3」から「MapR Converged Data Platform」に変更した。MapR Converged Data Platformでは、バッチジョブとリアルタイムジョブの両方に対処するため、HadoopとMapRファイルシステム/データベースを、Apache Spark処理エンジンと「MapR Streams」に結合している。MapR Streamsとは新しいイベントストリーミングテクノロジーだ。
機能を見てみよう。Cloudera「CDH」ディストリビューションのエンタープライズエディションは運用管理/レポート/ビジネス継続性サポート用のツールを提供し、「構成履歴とロールバック」「ローリングアップデート」「サービスの再起動」「自動災害復旧」などの機能がある。MapRのエンタープライズエディションは、Hadoopクラスタ内のデータに関して管理性、回復性、信頼性を確保するツールを提供すると同時に、マルチテナント機能や、高可用性機能も追加する。Hortonworksは「HDPサポートサブスクリプション」によってプロアクティブな監視と保守を実現する。
一方、IBMは「IBM BigInsights for Apache Hadoop」というディストリビューションで分析指向の戦略を取っている。これは、ビジネスインテリジェンスと高度な分析ツールの販売に傾注するという同社のアプローチに沿うものだ。IBMは、エンタープライズクラスの機能を備えたさまざまな付加価値モジュールをBigInsightsの一部として提供している。「Analyst」モジュールや「Data Scientist」モジュールなどがその例だ。Analystモジュールは「Big SQL」機能を提供してHadoopなどのデータソースにSQLによるフェデレーションアクセスを可能にする。Analystモジュールに含まれる「BigSheets」は、ユーザーがスプレッドシートのように直感的に操作できるインタフェースを使って、Hadoopに保存されている大きなデータセットを探索、変換、視覚化できるようにしている。IBM BigInsights for Apache Hadoopの別バージョンの1つ「BigInsights Data Scientist Module」には、R言語版やテキスト分析のほか、オープンソースコミュニティーに貢献している「SystemML」という機械学習ライブラリが含まれる。
Amazon EMRの特徴は、そのクラウドプラットフォームにあるが、Hadoopサービスの一環として、クラスタの監視/管理ツールや、アプリケーションとクラスタの相互運用を実現するツールも提供する。
Amazon EMRは、進捗を追跡してクラスタの正常性を測定するためのメトリックを収集する。クラスタの正常性メトリックはコマンドラインインタフェース、ソフトウェア開発者キット、APIからアクセスでき、EMR管理コンソールに表示できる。また監視サービス「Amazon CloudWatch」を、パフォーマンス監視コンポーネント「Apache Ganglia」の実装と併用すれば、クラスタをチェックし、これらのメトリックによってトリガーされるイベントにアラームを設定することも可能だ。
ポイント
付加価値コンポーネントをエンタープライズサブスクリプションの一部として提供するベンダーを選ぶということは、その製品を長期間使用することを意味する。これらのコンポーネントが標準スタックのディストリビューションと緊密に統合されているならばなおさらだ。そのベンダーに縛られてしまうことに不安がある場合は、OPDiに参加しているベンダーを検討するのがお勧めだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー