徹底解説「ランサムウェア」の脅威と対策【第1回】
「ランサムウェア」は約30年前から暗躍していた? 凶悪化の歴史を振り返る(2/3 ページ)
ランサムウェアの変遷
記憶に残っている方も多いかと思いますが、2015年12月に暗号化型ランサムウェア「CrypTesla」の亜種が「vvvウイルス」として世間で大きな話題になりました。これを受けて、ランサムウェアは比較的新しいマルウェアだと思っている方もいるようですが、実はそうではありません。世界初のランサムウェア「AIDS」は、既に1989年に確認されているのです(画面4)。
サイバー犯罪者によって、ランサムウェアは現在に至るまでさまざまな変化を遂げてきました。ここではランサムウェアの変遷について解説します。
「CryptoLocker」が転換期に
世界初のランサムウェアが登場して以降、次にランサムウェアが注目されたのはポリスランサムが流行し始めた2011年ごろです。ポリスランサムの感染被害は世界中に拡大し、端末ロック型ランサムウェアがランサムウェアの主流でした。その後、2013年9月ごろに暗号化型ランサムウェア「CryptoLocker」が登場し、ランサムウェアは大きな転換期を向かえます。
それまでの暗号化型ランサムウェアは、データを暗号化するための鍵をランサムウェア自身が持っており、解析することで暗号化されたデータの復号が可能になることがありました。しかしCryptoLockerは、暗号化の際に外部の不正なサーバから入手した情報を使用し、ランサムウェア自身は復号に必要な情報を保持しない手口を実現したのです。
その結果、ランサムウェアに暗号化されたデータの復号が著しく困難となり、被害者はデータのために身代金を支払わざるを得ない状況に追い込まれました。現在では、ほとんどの暗号化型ランサムウェアが、この手口を採用しています。
ネットワーク内データの暗号化で企業に危機感
2015年にはランサムウェアに新たな攻撃手法が導入され、法人組織でのランサムウェアに対する脅威が高まりました。このころから暗号化型ランサムウェアでは、感染した端末内のデータだけでなく、感染端末からアクセス可能なネットワーク内のデータも同時に暗号化する手口が一般的に用いられるようになったのです。適切な対策を取っていない場合、法人組織内のたった1台の端末がランサムウェアに感染しただけで、共有ネットワーク内にある業務データが次々に暗号化されて大きな被害を引き起こす可能性があります。
ランサムウェアの変化はそれだけではありません。2016年に入ってからもランサムウェアは新たな機能を取り入れ、より一層凶悪化してきています。3月には感染した端末のマスターブートレコード(MBR)を上書きして起動不能にする暗号化型ランサムウェア「PETYA」が出現。米国メリーランド州ユニオンメモリアル病院に被害を及ぼした暗号化型の「SAMSAM」は、Javaで実行されるオープンソースのアプリケーションサーバ「JBoss」の脆弱(ぜいじゃく)性を攻撃に利用していました。
その他にも、身代金の支払いをライブチャットでサポートする暗号化型ランサムウェア「JIGSAW」の亜種や、スクリプト言語「JScript」で記述された暗号化型の「RAA」などが確認されており、サイバー犯罪者がランサムウェアの改良に力を入れていることが分かります(図1)。
ランサムウェアの感染経路
こうしたランサムウェアは、どうやって法人組織の中に入ってくるのでしょうか。ランサムウェアの侵入経路は大きく「Web経由」と「メール経由」の2つに分かれます。2015年は不正広告などによるWeb経由のランサムウェア感染被害が多かったのですが、2016年に入ってからはメール経由によるランサムウェアの拡散が顕著となっています。
このように攻撃手法のトレンドは時間とともに変化します。法人組織としては、Web経由とメール経由、この2つの感染経路に着目して対策を検討する必要があります。
Web経由
ごく普通にWebブラウザでインターネットを閲覧しているだけでも、改ざんされたWebサイトや不正広告によって知らない間に脆弱性攻撃サイトに誘導され、OSやソフトウェアの脆弱性を攻撃されてランサムウェアに感染します。
メール経由
サイバー犯罪者はスパムメールにマルウェアを添付し、「ばらまき型メール」として不特定多数へ送信します。スパムメールを受信したエンドユーザーがスパムメールの本文中にあるURL、または添付ファイルをクリックするとランサムウェアに感染します。
2015年までは、ランサムウェアの拡散に用いられたスパムメールは英語のものばかりでした。ただし最近では日本語のスパムメールも確認されており、メール経由の感染には注意が必要です。
Webとメールでの感染経路が主流ではありますが、2016年に入りUSBメモリのようなリムーバブルメディア経由でも拡散をするランサムウェアも確認されています。
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徹底解説「ランサムウェア」の脅威と対策
個人だけでなく企業にも影響が広がる身代金要求型マルウェア「ランサムウェア」の脅威。ランサムウェアとは何者なのか。企業はどう対処すべきなのか。詳しく解説する。
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