進化が速いクラウド基盤構築ソフトの運用ノウハウを共有
OpenStackのアップグレードで悩むサーバ管理者を救う「Ops Workshop」の“集合知”(2/2 ページ)
OpenStackでプライベートクラウドをフルスクラッチ開発する
GMOペパボのプレゼンテーションでは、「Nyah」と名付けた同社のプライベートクラウドのOpenStackによる構築と、その運用管理を取り上げた。Nyahは、2014年7月にOpenStackによる構築を開始して2015年5月に稼働した。GMOペパポが提供する各種サービスがOpenStackで構築した仮想インフラで動作している。コンピュートノードが220台、558インスタンスの仮想マシンが稼働しており、21件のテナント(プロジェクト)、12件のサービスを収容する。
9台の物理サーバで運用しているWebサイト作成サービス「goope.jp」は、事前にテストを行い一晩で移行を完了した。プライベートクラウドへの移行で、サービスの開発メンバー自身で仮想マシンの起動やプロビジョニングができるようになり、事業展開に関する意思決定から作業着手、完了までが短期間で可能になったという。また、安定したサービス提供も可能になった。今のところ、物理的なハードウェア故障が発生しても、OpenStackに起因する障害は発生していない。
初期のNyahは、関連会社のGMOインターネットが構築したものをベースにしていた。これを「Nyah-Classic」として、新規に用意するNyahでは、Mitakaをベースに構築した。仮想環境構築ツールには「Vagrant」を、サーバ構築と運用自動化には「Chef」を採用し、仮想マシンの実行イメージは「Ubuntu 16.04」(以前はCentOS 6)に変更して、サーバテストツール「Serverspec」のテストが通るまでひたすら設定を変更したという。
Nyah-Classicでは、OpenStackのブロックストレージサービス「Cinder」を有効にできなかった。これは、仮想マシン管理サービスNovaが管理するインスタンスやこれにマウントするデータの移動が困難で、コンピュートノードのローカルストレージ運用で性能が出ないことや、データベースロール(データベースにアクセスできる複数のユーザーをまとめて管理できる機能)などI/O性能を必要とする機能をNyah-Classicに移行できない問題が影響している。このため、Nyahでは、ストレージアプライアンスを導入してCinderを有効に活用した。
さらに、Nyah-Classicではネットワークにおいても独自ツールとハードウェアのL3スイッチでルーティングしていた。そこでNyahでは、OpenStackのネットワーク管理コンポーネント「Neutron」を標準ツールとして導入した。その上で、ネットワーク制御技術「OpenFlow」で構築した仮想ネットワーク環境で仮想スイッチとして機能するNeutronの「Open vSwitch」プラグインに「DVR」(Distributed Virtual Router:仮想ルーターの機能をコンピュートノード上に“分散”して配置する機能を提供する)を採用し、ネットワークアドレス交換を「SNAT HA」(送信元ネットワークアドレスを変換するSNATに自動フェイルオーバー機能を付加したもの)構成としている。これは、Mitaka以降のOpenStackでは、Neutronによるレイヤー3エージェント(レイヤー3から接続情報を取得する機能)の冗長化が可能になったためだ。
プレゼンテーションの質疑応答ではDVRの動作について「正常に稼働しているのか」という問いがあった。GMO ペポパ側は「稼働している」と回答したが、それとは別に、それぞれのSNAT(送信元アドレス変換)ノードが自身のIPアドレスを持つようにしないと正常に動かないことを構築中に発見したことを付け加えた。また、「『OpenContrail』や『MidoNet』などOSSのSDN(Software Defined Network)コントローラーの利用は検討したのか」という問いには、「標準的なOpen vSwitchを利用したいと考えたため、OpenContrailやMidoNetは検討対象としなかった」と答えた。
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