これを使わないのは損失大
「GitHub」でデータセンター運用を自動化、その活用例は?
「GitHub」はソフトウェア開発者に向けた共同作業のための総合ユーティリティだが、データセンター管理者にとっても、自動化スクリプトの作成やオープンソースコラボレーションに役立つ。
多くのソフトウェア開発が利用している「GitHub」は、データセンターの運用管理にも便利だ。GitHubと呼ぶ人が多い「Git」リポジトリ(分散型バージョン管理システムのGitで使う、ファイルの各バージョンを管理するデータベース)は、直感的な変更管理機能や、共同でコーディングを行うプロセスの簡素化のために用意した多くの機能を利用して、プロジェクトを一元管理できる場所を開発者に提供する。
Gitの中央リポジトリはプロジェクト全体のソースコードを保持する。データセンター管理者もGitHubを使って、オープンソースのデータセンター自動化プロジェクトを進め、世界中の管理者がそのコードを改良したり、自社のインフラに合わせて実装するための出発点として利用したりできる。
この記事では、データセンター運用チームがどのような分野でGitHubを利用して、特定の社内チームや大きなITおよびデータセンターコミュニティーの力を借りられるかを示す例を幾つか紹介する。
自動化の品質を高める:資産管理
現在のデータセンターでは、資産管理が極めて重要だ。資産管理は「何があり、何がないか」の追跡に単純化しがちだが、適切な方法では、データセンター内の全てのコンポーネントに対して微小な細部まで追跡する。IT関連部署は「VMware vCenter Server」で資産追跡を行うことが多く、ほとんどのデータセンター管理者はvCenterプラットフォームに精通している。
データセンター管理者は、特定のニーズに合わせてvCenter環境をカスタマイズするのにGitHubを利用できる。例えば、CPU使用率が特定のしきい値に達するたびに、電子メールでアラートを受け取りたい場合、そのためのPowerShellスクリプトを作成する他に、GitHubを使って他の管理者のアイデアを募ることもできる。そのためには、アラートのためのコードをGitHubに提出し、他の管理者に「スクリプトや、コメント、編集を適宜加えてほしい」と依頼すればよい。別のデータセンター管理者は、元のコード内にあるエラーに気が付いたら手直しできる。こうした他の管理者による変更を最終的に確定するまでに、元コードの作成者は“修正した”コードを提出し、さらに他のメンバーのレビューを受けることが可能だ。コードに対する変更を受け入れるか却下するか選択可能だ。こうして他の管理者との協同作業の効率が一気に改善し、コードはより正しく記述できるようになる。
ソフトウェア開発者はどのようにGitHubを使っているか
大きなプロジェクトで特定のモジュールを担当するソフトウェア開発者は、Pythonコード、テキスト、JavaScript、HTMLなどを含む幾つかのファイルを使っている。プロジェクトにおいて自分の担当部分を完成させると、開発者はこれらのファイルをGitHubのリポジトリに提出する。他の開発者もリポジトリでこの開発者のソースコードにアクセスできる。
コードにエラーや矛盾があると、開発チームはファイルを編集し、必要に応じてコードを再提出する。GitHubはその間、個々の開発者が提出した各変更を全て追跡している。Gitリポジトリが確立する以前は、他の開発者のコードを検証して編集するには、他の開発者のファイルをワークステーションに逐一ダウンロードし、変更を加え、編集済みファイルをその開発者に送り返すしかなかった。プロジェクトを完了させるためにこのプロセスを数回繰り返さなければならない場合、どれほどの混乱が起こるかは容易に想像できるだろう。
自動化を微調整する:ネットワーク監視
「ネットワーク監視」という言葉の意味は、人によって異なる。データセンターの文脈では、データセンター管理者がこの曖昧さを避けるために、全体的な責任を特定のタスクに絞り込む手段として、ネットワーク監視業務をスクリプト化することがある。
例えば、ネットワークスループット監視の担当者が、「データセンター内にあるシステムのスループットが設定したしきい値に達する→アラートを送信」というスクリプトを作成する場合、そのコードを、GitHubを介して自社チームメンバーに公開し、別の管理者がコードの内容をチェックして「システムがスループットに関する特定のしきい値に特定の回数達した場合にアラートを送信するように、スクリプトを改良しよう」と判断できるようになる。こうした共同作業によってデータセンターチームは、より正確で目的にかなうコードを完成できる。
脅威や問題を特定する:ITセキュリティ
データセンターにおけるITインフラのセキュリティ確保は難しい課題だ。データセンターの各ブロックがそれぞれ適切に分離していない場合や、ファイアウォールルールを適切に設定していない場合、悪意あるコードがシステムを構成する多数のセグメントで増殖し、機密データの流出につながる恐れがある。一方、セキュリティ保護を過度に重視し、データセンターを厳しくロックダウンする管理者では、エンドユーザーから強い反発を受けることになる。賢明な管理者は、生産性を阻害せずにデータセンター内のアクティビティを監視する。
ここでも、データセンターのオペレーターや管理者は、GitHubを利用すれば時間や労力を浪費することなくセキュリティを向上できる。例えば、Windows Server管理者が、SMSvchost.exeプロセスに関連する新種のマルウェアの存在を知ったものの、IT部門が運用しているウイルス対策ソフトウェアでは、シグネチャがまだ対応していない場合、管理者は、クラスタ内の仮想マシンがSMSvchost.exeプロセスを生成するたびアラートを送信するPowerShellスクリプトを作成する。そうすれば、ウイルス対策ソフトウェアがサーバを保護できるまで、セキュリティ上の脅威がないか監視可能だ。
さらに、そのスクリプトをGitHubに提出すれば、他のメンバーがチェックして編集や追加できる。別の管理者が、「SMSvchost.exeプロセスがC:\Windows\Microsoft.NETディレクトリ以外の場所に対する操作を行う場合にのみ、アラートを送信するようにスクリプトに手を加える」といった提案が可能だ。セキュリティに関しても、GitHubの活用が協同作業の効率を高め、その結果としてより正確なコーディングにつながる。
GitHubの利用拡大は、ソフトウェア業界に大きなインパクトを与えているが、データセンター管理者は、自分の担当分野におけるGitHubの可能性を考えていなかったかもしれない。だが、正確なスクリプトやコードを短時間で作成することは、データセンターの数多くの分野でも役立つ。GitHubで公開している「VMware vSphere」の日次レポートスクリプトをチェックアウトしてみよう。そこには、ここで述べた考え方の実践例の1つがある。その内容を参考に自分たちの業務にGitHubを活用する取り組みを始めてみるのは、決して無駄な作業ではないはずだ。
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